(『天然生活』2025年12月号掲載)
知らない世界を知りたい、その気持ちをずっと大切に
『しごとば』や『大ピンチずかん』など、数々のヒット作で知られる絵本作家の鈴木のりたけさん。訪ねた仕事場の一角に、楽しげな雰囲気を放つ本棚がありました。
「知りたいことを読んだら手放すことが多いので、本の数は決して多くないんです。ノンフィクションが好きで、子どものころも手に取るのは図鑑や科学の本などでした。最近では、新聞の書評や定期購読している科学雑誌で紹介されている中から読みたい本を見つけることが多いですね」

仕事場にある本棚は自由に組み合わせられる「つんどくボックス」。自宅に置いている本や漫画も多い
自然や動物に関するものから社会や文化を扱うものまで、ジャンルはさまざま。資料として読む本も含め、最近はもっぱら自身の創作と結びついた読書が多いといいます。とはいえ、純粋に読みたいと思って手に取る本との差はそれほど大きくありません。
「結局、知らないことを知りたいという気持ちが強いんだと思います。『しごとば』を描いたときも、いろんな職業の人に取材したんですが、知らないところにドキドキしながら足を踏み入れるのが面白くて。本を読む際も、無意識のうちに自分が手がけているものとは違うジャンルやテーマのものを選んでいる気がします」

鈴木さんの『大ピンチずかん』の1コマを再現したフィギュア。仕事場には作品やグッズなどが飾られていて、楽しい雰囲気
未知の世界に出合う喜びを自分の読者にも届けたい
知らない世界の扉を開けたときの「宝を掘り当てたといううれしさ」や「心にドライブがかかる感覚」。そうした気持ちを自身の絵本を通じても読者に届けたいと、鈴木さんはずっと考えてきました。
新しい作品のテーマを考える際も「読者はきっとこういうものが好きだから」という予定調和ではなく、「まずは自分自身が好きな世界に飛び込んでみて、心に火がついたものを育てていく」のだそうです。
「たとえ失敗や衝突があったとしても、世界のさまざまなものや人に実際に触れてみたり向かっていったりして、ときには自分の気持ちをぶつけてみる。そういうことが大事だし、それこそが生きる意味なんじゃないかな」
その一歩を踏み出したくなるような好奇心の種が、鈴木さんの生み出す絵本にも、鈴木さんの本棚にも、たくさん詰まっています。

子どものころも夢中で読んだ動物の図鑑を手に取って。「“動物園の1日”“動物オリンピック”など、動物紹介以外の企画ページもすごく楽しいんです」





