(『天然生活』2019年11月号掲載)
今回付録にしたのは、活版印刷の一筆箋。製作をお願いしたのは、東京・蔵前に本社を構える、長井紙業です。和紙の卸から始まり、現在は和紙の印刷を中心に手がける、和紙のプロ。
営業の小倉弘陽さんは、「今回選んだ愛媛の伊予和紙は、光沢もあり、筆記適性が高いんです」と話します。
印刷しているところを見学に、埼玉・幸手の工場へ。迎えてくれたのは活版印刷歴37年の清水康晴さん。

印刷を担当してくださった清水さん。活版印刷でのグラデーション印刷も得意で、菓子慶弔品の掛紙印刷も手がける
「この活版印刷機は、四六半裁版の大きなサイズまで印刷ができる貴重なもの。職人が銅板をつくり、12面同時に印刷しました」

長井紙業では、2台の活版印刷機を所有している。どちらも四六半裁版(54.5×78.8cm)までの印刷が可能

今回の一筆箋用に、オリジナルの銅板を作成。3mmの深さで彫り、活版印刷ならではの凹凸を出した
和紙は繊細で、圧をかけすぎると破れやすい素材でもあります。熟練の職人さんの技で、加減を見ながら印刷していきます。
実際に使っていただいた山本ふみこさん。「なめらかでありながら、つるんとしすぎない。どんな筆記具でも気持ちよく書けそう」
ていねいな日本の手仕事。その美しさもお楽しみください。

刷りあがったばかりの一筆箋。これを12枚にカットし、仕上げる
<撮影/林 紘輝>
山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
文筆家。東京都武蔵野市教育委員。『家のしごと』(ミシマ社)、『忘れてはいけないことを、書きつけました。』(清流出版)ほか、著書多数。
※トップの写真について
一筆箋に皆さまへのありがとうの気持ちを込めて。愛用のパイロットのミリペンで素敵な言葉を綴ってくださった山本ふみこさん。「罫線の間隔にも感心しました」
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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