• 「買ったものを “買い物ノート” に記録し、40年以上になる」。取材の始まりは、読者ページに投稿された、一通のメールでした。「人は保護色の生き物」とは、だれの言葉だったでしょうか。よく身に着けている服、寝る前に読む本の題名……ふだん、そばにあるものを見れば、人となりが垣間見える気がします。さて、40年以上も綴られた買い物ノートには、どんな人となりが隠れているのでしょうか。今回は、40代、50代から現在まで続くノートを拝見します。
    (『天然生活』2012年10月号掲載)

    40代 「記録するのが楽しくて、絵も描き込むように」

    画像1: 買った記録と歩んだ43年。ものへの想いを育てる「買い物ノート」・40代、50代〜現在のノート

    地元の雑貨店で購入したノート。このころから縦開きにして使用するスタイルが定着。1984~1998年

    1991年6月10日(42歳)

    画像1: 1991年6月10日(42歳)

    雑誌で見て取り寄せた博多ばさみ。「道具は高くても質がいいものを選びたいと思うんです。安いなりの使い勝手で満足できないまま使いつづけることにがまんできなくて……」。用途別に数本注文し、ときどき、研ぎにも出して、いまも使っている。

    画像2: 1991年6月10日(42歳)

    1991年10月14日(43歳)

    画像1: 1991年10月14日(43歳)

    ヨーガンレールのツイードスーツ。「雨がしとしと降る季節はずれの寒い日、母と三人姉妹で鎌倉に行った帰り、ひとりで寄った横浜そごうで購入したの」。もともとあったフリンジを取り、裾上げして着ていたが、その後、妹さんに譲ったもの。

    画像2: 1991年10月14日(43歳)

    1992年9月30日(44歳)

    画像1: 1992年9月30日(44歳)

    ゆったりとしたシルエット、柔らかなドイツ製の生地が気に入ったコーデュロイパンツ。「逗子にある『閑』の、信頼しているオーナーさんから勧められて即購入。形の好みが変わったので、今後は家でのリラックスウエアに」

    画像2: 1992年9月30日(44歳)

    40代 のころの買い物

    近所の店を譲り、自宅の1階で再び喫茶店を始めた40代前半。3年続けたあと、閉店し、機関誌編集の仕事をフルに再開。服や小物は、より素材重視に。安いものはボタンを替えるなど、必ず手を加える習慣も。

    まだあるもの

    画像: 東京・六本木で買った「布」のストールはシンプルなスタイルのときに大活躍。ガーゼ風の生地で柔らかく、なじみもいい

    東京・六本木で買った「布」のストールはシンプルなスタイルのときに大活躍。ガーゼ風の生地で柔らかく、なじみもいい

    50代 「好きな買い物も、より吟味するように」

    画像2: 買った記録と歩んだ43年。ものへの想いを育てる「買い物ノート」・40代、50代〜現在のノート

    最近のお供は、紙質がよく描きやすい、美篶堂のノート。廃番を恐れて、予備に2冊購入。1999~現在

    2005年4月10日(56歳)

    画像1: 2005年4月10日(56歳)

    ヨルクハインツのクラスプ(留め具)付きネックレス。留め具とネックレスをさまざまに組み合わせられる楽しさにすっかり魅せられてしまい、次々とオーダー。「高額なので迷いもあったけど、後悔はなし。いまでも大切に愛用しています」

    画像2: 2005年4月10日(56歳)

    2006年3月26日(57歳)

    画像1: 2006年3月26日(57歳)

    服のリフォームをする友人にオーダーした麻のコサージュ。柄が長いチューリップ形は、帽子に巻いて飾り付ける楽しみも。「同じようなタイプを持っていたけれど、麻が欲しかったので、お願いしてみたの。自分にぴったりのものを手に入れる秘訣は、注文にこたえてくれる人を見つけること」

    画像2: 2006年3月26日(57歳)

    2012年2月6日(63歳)

    画像1: 2012年2月6日(63歳)

    『天然生活』2011年6月号に掲載されていた、オントルポの記事を見て注文したかご。「寸法と編み方を変更して依頼したの。せっかくのオーダーだもの、自分の使い勝手に合わせたいでしょう? 半年待って届いたときはうれしかった!」

    画像2: 2012年2月6日(63歳)

    50代〜現在 の買い物

    大切なものとは、とことんつきあう金谷さん。「幅広のストールは、半分にカットして2枚に。バッグの持ち手がくたびれたら、布や革でリメイクします」。違う表情になったお気に入りの姿を見るのも、楽しみのひとつ。

    まだあるもの

    画像: アニエス・ベーの麻のスカートは何回か染め直して長く着用。最終的にはリボンを付けて、腰でキュッと巻くエプロンに

    アニエス・ベーの麻のスカートは何回か染め直して長く着用。最終的にはリボンを付けて、腰でキュッと巻くエプロンに

    若いころは東京・表参道で医療関係の雑誌の編集もしていたという、金谷さん。

    服や小物が好きで、昼休みには外へ飛び出し、ウインドーショッピングを楽しんだとか。

    結婚後は、ジャズ喫茶を経営したり、地元の友人とフリーペーパーをつくったり。朗らかな人柄がひきつけるのか、常に好奇心いっぱいの仲間に囲まれてきた様子です。

    「いま楽しみなのは、自宅を開放して行っているガレージセール。最近では、台所道具展、文房具とお便り展、大人の女のスタイル展、なんてテーマを決めて、いらなくなったものに値段をつけては皆で持ち寄っているの」

    そして、好きなものとはとことんつきあうのも、金谷さん流。

    気に入らないボタンは付け直せばいいし、持ち手がくたびれてきたら自分でリメイクすればいい。

    いらなくなったから捨てる、というやり方では、物とのつきあいはそこで終わり。どうやったら捨てずにまわせるかの工夫をとことん楽しめば、たとえ自分の手を離れても、それはまた別の場所で生き返ります。そして、それが自分の新たな喜びに。

    その物に出合い、初めて手にしたときの気持ちを覚えているからこそ、芽生えた習慣。金谷さんとともに年月を重ねてきたノートの束が、教えてくれることなのかもしれません。

    買った記録と歩んだ43年。ものへの想いを育てる「買い物ノート」・20代、30代のノートへ ⇒

    <撮影/大森忠明 取材・文/道広哲子>

    金谷 操(かなや・みさお)
    20代は医療関係の雑誌編集を経験。結婚後はジャズ喫茶経営を経て、再び商業関係の機関誌編集に。現在は自宅の一角でフリーマーケットや手づくり展などを開催している。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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