(『天然生活』2015年10月号掲載)
引田さんのクローゼット
素敵な何かを、迎え入れる余裕をつくる
クローゼットは、大きくふたつに分けています。
まず、寝室にあるつくり付けのもの。メインのこちらには、シャツ、ニット、ボトムなど、そのシーズンに着るふだんのアイテムを中心に収納。もうひとつは、なんとリビングに。こちらに収納されているのは、アウター類とバッグ類。
実はこのアイデア、とても秀逸です。出かける前に着替えを済ませ、そのまま家の用事を手早く終わらせる……なんてパターンはよくあること。
そこからまた奥の寝室まで戻ってコートとバッグを取り出すのは、実はとても面倒です。
「それに、外に出てみて、意外に寒かったりすることってあるでしょう? そんなとき、玄関からすぐのリビングにアウターを置いたほうが何かと便利じゃない?」
ちなみに、リビングのクローゼットは、元は押し入れだった場所。クローゼットにしては奥行きがあるため、バーを前後に2本渡したのですが、これが大正解。
まだ暑さの残るいまの季節は、手前に薄手のカーディガンなどの羽織り物を、奥側にはダウンジャケットやウールのコートなどの厚手のアウターを収納。衣替えは、さっと前後を入れ替えるだけの手軽さです。
さらに、注目すべき点がもうひとつ。それは、このすっきり感。しかも、寝室のクローゼットの中に置かれたかごにはいったい何が入っているのかと尋ねたら、なんと “空っぽ” とのこと。
「余白がないと、落ち着かなくて。このかごには、たとえば……クリスマスシーズンに、だれかのために買ったプレゼントを入れておいたりする。一時期だけ手元にあって、でも出しっぱなしにするものではない何か。とくに用途は決まっていなくて空っぽのことのほうが多いくらい。でも、 “ここに入れられるよ” という、いってみれば空間をとっておくためにあるのね」
かごのほか、リバティプリントでつくられた衣服収納ケースなどが飾るように置かれ、実用性に加え、心地よさも重視して整えられています。実は引き出しの中も、相当余裕が。
それは、何か素敵なものに出合ったとき、 “もう入らないから” とあきらめるのが嫌だから。まだ見ぬ素敵なもののために、キープしてある場所なのです。
収納のポイント
アウター類は玄関近くが便利
リビングのサブ・クローゼット。手前には薄手の羽織り物、奥は厚手のコート類。衣替えは、前後を入れ換えれば完了。アウター類は、形崩れ防止に、厚手のハンガーを使用
バッグの収納は、バッグにおまかせ
ひとつひとつ並べたのでは場所をとりすぎてしまうから、形崩れの心配がない布バッグは、大きなサイズの布バッグの中に入れて収納する。よく使うものは手前に
引田さんのクローゼット歴
結婚まで
母の好みもあり、制服のような紺、グレー、白のアイテムばかりを身に着ける
25歳
夫の海外転勤でサンフランシスコへ。西海岸らしい色とデザインの服を着る。肌の露出の激しい服を着ていたのは、このころだけ……。子育て真っ盛りで “動きやすさ重視” の時代
40代
帰国。子育ても一段落。「ミナ ペルホネン」などの洋服を好んで着るようになる。自由におしゃれを楽しむことを覚える
50代
仕立てのいいシンプルなものに魅力を感じる。子ども時代のファッションに、少し戻った気も
クローゼットの内訳
[ 引田さんの服グラフ ]
[ 春・夏 ]
カットソー(Tシャツなど半袖) | 8 枚 |
ブラウス、シャツ(半袖) | 3 枚 |
タンクトップ、キャミソール | 3 枚 |
ワンピース | 4 枚 |
スカート | 0 枚 |
パンツ | 5 本 |
デニムパンツ | 0 本 |
レギンス | 0 枚 |
ジャケット | 1 枚 |
巻き物(リネンやコットン) | 3 枚 |
カーディガン | 3 枚 |
[ 秋・冬 ]
カットソー(長袖) | 4 枚 |
ブラウス、シャツ(長袖) | 2 枚 |
ニット(プルオーバータイプ) | 4 枚 |
ニット(前開きタイプ) | 3 枚 |
パーカ | 2 枚 |
ワンピース | 0 枚 |
スカート | 0 枚 |
パンツ | 4 本 |
デニムパンツ | 0 本 |
レギンス | 3 枚 |
ジャケット | 2 枚 |
コート(薄手) | 2 枚 |
コート(厚手) | 3 枚 |
ブルゾン | 1 枚 |
ダウン | 2 枚 |
ベスト | 3 枚 |
巻き物(ウールやカシミヤ) | 5 枚 |
[ 通年 ]
カットソー(長袖) | 2 枚 |
ブラウス、シャツ(長袖) | 3 枚 |
ニット(プルオーバータイプ) | 2 枚 |
ニット(前開きタイプ) | 4 枚 |
パーカ | 1 枚 |
ワンピース | 3 枚 |
スカート | 2 枚 |
パンツ | 4 本 |
デニムパンツ | 5 本 |
レギンス | 2 枚 |
ジャケット | 0 枚 |
コート(薄手) | 2 枚 |
ブルゾン | 0 枚 |
巻き物(コットン) | 3 枚 |
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「クローゼットの中身」・ギャラリーfèveオーナー 引田かおりさん/春夏秋冬の装いへ ⇒
<撮影/柳原久子(https://water-fish.co.jp/) 取材・文/福山雅美>
引田かおり(ひきた・かおり)
東京・吉祥寺にて「ギャラリーfève」、天然素材のパン屋「ダンディゾン」を営む。著書に、「二人のおうち」「しあわせのつくり方」(KADOKAWA)がある。
http://hikita-feve.com
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです