(『天然生活』2016年12月号掲載)
ずうっと愛せる、料理道具だけを
台所道具を専門に扱う「つきじ常陸屋」で商品の開発などを手がける廣田有希さんは、干し野菜の専門家でもあります。そのため自宅には、干しかごや盆ざるなど、“干す” 道具がたくさんありました。
とくに愛用している干しかご(下の写真・7番)は常陸屋のオリジナルで看板商品のひとつ。ファスナーで開け閉めできるため食材の出し入れがしやすく、すべて国内でつくっているのが特徴です。
「扇状のファスナーで出し入れしやすく、なにより丈夫だし、手づくりならではのぬくもりがあります。カラッと晴れた日には、干しかご、盆ざるなどもフル活用してベランダにずらーっと並べ、野菜や果物、ハーブやお茶など、何でも干しています」
1 フリーマーケットで購入した計量スプーンセット
2 ステンレスの網も干し野菜に活用
3 小ぶりな、すり鉢2個。「つきじ常陸屋」のオリジナル商品で、名古屋の職人さん作
4 8の字たわしの「たわしのはっちゃん」は野菜洗い専用
5 石のスパイスミルは旅先のペルーで購入。ほうろくは、ごまやお茶を炒るのに多用
6 にんじんなどを抜き型で抜いてカラカラに干し、来客時、汁もののトッピングに使うのが廣田さん流
7 店オリジナルの干しかご。盆ざると組み合わせても使える
8 新調した国産の和せいろは、ひのきのやさしい香りが広がる
9 じっくり煮込む料理は「ストウブ」で
10 炊飯は万古焼の土鍋を愛用
11 クリステルの鍋は最も使用頻度が高い。野菜の下ごしらえや雑穀を炊く際にも使用
12 大矢製作所の銅のおろし金。便利はけとともに、なくてはならない存在。
13 悩みに悩んで、今年、購入した南部鉄瓶
14 「リバーライト」の鉄フライパンは扱いやすさがピカイチ。浅い木のおたまは旅先のスリランカで購入
15 行平鍋のよさをいま一度知ってもらいたい、と廣田さん。一番上のホウロウの小鍋は液の切れが抜群で、チャイをつくる際に使用
さて、かごやざるはさておき、そのほかの道具は、それほど多くはありません。お店に置く商品は、事前にほぼ試し使いするそう。ここにあるのは、そのお試し期間のあと、廣田さんの台所に定着した特別優秀な面々ということです。
「好きなものだけに囲まれていたいけれど、その数が多すぎても心を配れないような気がして。使い方が限定されすぎないもの、代用が利くものも多いですね」
便利すぎる昨今、台所道具も数えきれないくらい多種多様。だからこそ、本当に必要なもの、長く愛せるものだけを手元に置きたいと廣田さんは続けます。
「ただ料理をつくるだけの道具というのではなくて、道具自体にも命が宿っていると思うんです。“道具の神様” って私は呼んでいます」
ちょっと大げさかもしれないけれど、と、はにかむ廣田さん。迷いに迷って一年越しで手に入れたという鉄瓶でお茶を淹れるその姿は、道具の神様と、そっと手をつないでいるようにみえました。
廣田さんの台所道具
● ステンレス鍋 | 1個 |
● 鋳物鍋 | 1個 |
● 土鍋 | 1個 |
● 行平鍋 | 1個 |
● 鉄フライパン | 1個 |
● ミルクパン | 1個 |
● ステンレスミニパン | 1個 |
● ごはん釜 | 1個 |
● せいろ | 2個 |
● 鉄瓶 | 1個 |
● 玉子焼き器(鉄) | 1個 |
● 干しかご | 5個 |
● 竹盆ざる | 8個 |
● ボウル | 3個 |
● ざる(ステンレス) | 3個 |
● バット | 3枚 |
● すり鉢 | 2個 |
● 山椒すりこ木 | 2本 |
● 銅おろし金 | 1個 |
● 包丁 | 4丁 |
● まな板 | 2枚 |
● カッティングボード | 1枚 |
● キッチンばさみ | 1丁 |
● ピーラー | 1個 |
● スライサー | 1個 |
● 計量カップ | 1個 |
● 計量スプーン | 1セット |
● 菜箸 | 2組 |
● 木べら | 1本 |
● ゴムべら | 3本 |
● トング | 1本 |
● おたま | 1本 |
● しゃもじ | 1本 |
● 石乳鉢 | 1個 |
● 茶こし | 1個 |
● ほうろく | 1個 |
● 便利はけ | 2本 |
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いつもの台所道具 “ほぼ全部” 教えます|jokogumo店主 小池梨江さんへ⇒
<撮影/有賀 傑 構成・文/結城 歩>
廣田有希(ひろた・ゆき)
家業の「つきじ常陸屋」で商品開発などを行うかたわら、干し野菜の専門家として活動中。2016年には東京・築地にナチュラルワインとグロッサリーのお店「酒美土場」をオープン。
http://www.tsukiji.org
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです