フランスで学んだ夫婦がつくる、やさしい味の本格パン
大谷石でつくられた趣のあるカウンターのうえに、ハード系パンから総菜パン、おやつパン、サンドイッチまで多彩なパンがずらりと並び、フランスを意識したインテリアとともに目を楽しませてくれる「ジャンティーユ」。訪れるたびにわくわくさせてくれるパン屋さんです。
店に入るとやさしい笑顔で出迎えてくれたのは、店主の坂口実さん、さおりさんご夫婦。パン屋の3代目だった実さんは、パリの「ル・コルドン・ブルー」で製菓・製パンを学び、同じ頃、料理の勉強のためにフランスを訪れていたさおりさんと出合いました。
帰国後、店を継いだ実さんは、“町のパン屋さん”だったお店を2007年にリニューアル。さおりさんとともに、フランスのパン文化を取り入れて、本場の息吹を感じられるお店へと変身させました。
パン好きが遠方から訪れるだけでなく、元々“町のパン屋さん”だったことから、近所の方が気楽にパンを買いにくる店でもあるため、フランスのパンのほかにも、あんパンやカレーパンなどなじみのあるパンも揃えているのだとか。
そんなあんパンも、ほかもパンもすべて洗練された表情。なのに、食べてみると上質な味ながら、ほっと和めるやさしい味わいがします。どんな風につくっているのでしょうか。
「パンにはすべてライ麦で起こしたルヴァン種を使い、添加物は加えずにつくっています。小麦はできるだけ国産のものを使うようにしていますが、国産だけだと食感が重くなりすぎて僕の好みではなくなるので、歯切れや口溶けをよくするために外国産もブレンドしています」と実さん。
そんな数多あるパンの中から、坂口さん夫妻のおすすめを教えていただきました。
まずは、バゲット生地でつくるしっとりモチモチの「リュスティック」。季節替わりの野菜を贅沢に包み込んであり、春は菜の花とたけのこが。取材に訪れた6月はそら豆がたっぷり入っていました。野菜や果物は、生産者さんの顔が見える野菜を扱う近所の「旬八青果店」で調達することが多いのだとか。
お次は、人気の「クロワッサンサンド」。発酵バターを織り込んで焼き上げた香り豊かなクロワッサンにレタス、マリボーチーズ、ロースハムをはさんだもので、クロワッサンの甘さと具材の塩気がからみ、甘じょっぱさがクセになる一品です。
最後は、ブリオッシュ生地でつくった「フランボワーズショコラ」。フランボワーズジャムのきりりとした酸味と、チョコクリームの濃厚な味わい、カカオを練り込んだ生地のほろ苦さが三位一体となって、絶妙なおいしさです。
「ジャンティーユ」のもうひとつのお楽しみは、さおりさんが腕をふるう2階のカフェ(現在、カフェ利用は一時休止中)。お店のパンでつくる創意工夫に満ちたランチセットを、アンティーク家具が並ぶおしゃれな空間でいただくことができます。
フランスのアンティークが彩る素敵なインテリアに心をときめかせ、何度も目移りしながら自分好みのパンを選ぶのは、何ものにも代えがたいひと時。そんな体験をしに「ジャンティーユ」にぜひ足を運んでみてください。
<撮影/山田耕司 取材・文/諸根文奈>
gentille(ジャンティーユ)
03-3712-9610
8:30~19:00(カフェ12:00~14:00 ※現在、カフェの利用は一時休止中)
日・祝日休み
東京都目黒区目黒3-1-1
最寄り駅:JR「目黒」、東急東横線・東京メトロ「中目黒」
http://www.gentille.ne.jp/