農家の無人販売所の愉しみ
あっという間に7月に入りました。散歩をすると野原の草花がいっきに伸びて、緑も濃くなり、麦畑は一斉に金色に様変わりしています。
ここコッツウォルズに引っ越して、ありがたいとじみじみ感じるのは、新鮮な野菜や卵、質のよいお肉などが購入できることです。よくお世話になっているのは、農家の方の無人販売所で、新鮮な卵や季節ごとの旬の野菜を楽しみに通っています。
いままで調理したことのない野菜を買ったり、挑戦してアヒルの卵も買ってみました。
「アヒルのたまごは、ケーキとかにおいしいよ。」と教えてもらったので、さっそく、パンケーキに。ニワトリのたまごより約1.5倍ほど大きく、黄身が鮮やかな黄色です。パンケーキも濃厚な味わいで、はちみつたっぷりかけて、大満足の味でした。
この無人販売所、外出制限が始まるまでは、鉛筆で購入金額を書き込んだ小さな封筒に、お金を入れて、この農家さんの郵便ポストに入れてました。新型コロナウイルスが蔓延してからは、カードの支払いもできるようになりました。野菜の棚にくくりつけた小さななブザーを押すと住人が出てきて、カードの支払い処理をしてくれます。
このおかけで、この農家さんと顔見知りにることができ、野菜のことや、アヒルはたまごを生む時期が決まっていることを、いろいろ教えてもらえるようになりました。地元の旬の食材で料理ができるようになり、体も喜んでいるように感じます。
外食の「応援」で、料理と会話を楽しむ
イギリスでは最近になって、やっとカフェやパブ、レストランが再オープンしました。ソーシャルディスタンス、除菌ジェルなど新しいルール付きですが、やっぱりみんなこの日を楽しみにしていました。
お家時間に、いままでつくったことのない料理に挑戦したりするのも楽しかったですが、やっぱりプロがつくった料理とお店の空間、スタッフやお客の笑顔や会話が聞こえるなかで食事をするのは特別です。
早速、夫と娘と車で30分ほどで行けるブロードウェイという街に行ってみました。普段は、観光客でにぎわっている街ですが、その日はちらほらと人が歩いているだけ。
「応援」と称して、早速、ティーショップでクリームティーを。スコーンと紅茶のセットをジャムとクロテッドクリームをたっぷりつけていただきます。
お店のスタッフたちも、とてもうれしそうで、「ロックダウン中は大丈夫でしたか?」などと聞いてくれたり、会話もはずみます。みんな、家族以外の人と、オンラインではなく生の会話がしたかったのがよくわかります。
子どもの頃、育った神戸の山あいの街には、活気あふれる商店街と市場があり、お店の人とのテンポのいい会話が楽しく、そんな環境で育った私は、ちょっとした会話が元気にしてくれます。
「応援、応援」と称しては、夫を外食に誘う今日この頃。久しぶりにご近所パブにも行ってみました。
パブは、イギリス人にとっては特別な場所です。仕事帰りに同僚と一杯、週末に家族や友人とサンデーランチなど、パブにはたくさんの思い出が詰まっています。天気がよかったので、外のテーブルに座りロゼをいただきながら、この3カ月半、みんなよくがんばったと夫と乾杯です。
周りのテーブルには、犬と一緒のカップルや、若い家族など、みんな笑顔です。今年の夏のコッツウォルズは観光客が少なく寂しいですが、お天気がいい日には、サイクリングやオートバイのグループが走り抜ける光景が戻ってきました。
さて、今週末は、どのレストランを応援しに行こうかしら。
<写真・文/コズエ・ガーナー>
コヅエ・ガーナー
神戸市出身。イギリス・コッツウォルズ在住。ソフトファニシング・インテリア、風水インテリアデザイナー。2008年からMisty Interiorをスタートし、ロンドンを中心に活動している。