手間や時間を惜しまず、風味を優先に
有名寺院が立ち並ぶ観光の名所、北鎌倉。駅からの道沿いには、古民家をリノベーションした飲食店やアンティークショップが立ち並び、観光客がそぞろ歩く姿が多く見られます。
そうして、3分ほど歩いた先に佇むのが、レトロな店構えが印象的な「にちりん製パン」。店を営む津野さんご夫妻が、やさしい笑顔で出迎えてくれました。
![画像: 秋田の赤味噌と酒粕を生地に練り込んだ「秋田味噌のパン」。味噌の豊潤な香りと塩気が後を引くおいしさ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/4a3a2f9726be3ae0581c40339baec5c029e1bad9.jpg)
秋田の赤味噌と酒粕を生地に練り込んだ「秋田味噌のパン」。味噌の豊潤な香りと塩気が後を引くおいしさ
![画像: 夫婦ふたりでお店を切り盛りする。大吾郎さんがパンづくりを、こずえさんが販売を担当](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/7dc3d703feb3505292aff9d373afcbb191a99a5d.jpg)
夫婦ふたりでお店を切り盛りする。大吾郎さんがパンづくりを、こずえさんが販売を担当
![画像: 2015年のオープンから、近所の住人や観光客、遠方から訪れるパン好きたちに愛され続けている](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/8341579b3fc24701bc2c86ff503f28aeb5b543f4.jpg)
2015年のオープンから、近所の住人や観光客、遠方から訪れるパン好きたちに愛され続けている
都内の有名店「メゾンカイザー」で数年働いた大吾郎さん。フランスの伝統的なパンの製法をしっかりと身につけた後、鎌倉屈指の人気店「KIBIYAベーカリー」で働くことになります。自家製粉を使い、自家製の天然酵母で焼き上げるその製法に衝撃を受けた大吾郎さんは、独立後もそのやり方を踏襲します。
「どのパンにも湘南小麦の全粒粉を配合し、自家製酵母で焼き上げています。全粒粉は、店の小型の電動石臼で挽いたものと、製粉所にお願いして電動石臼で挽いてもらったものの両方を混ぜて使っていますね」
![画像: 厨房にある小ぢんまりとした電動石臼。木製の台で、見た目も愛らしい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/e3b540ef10d0fa8418f717abf1516bd3ac18648b.jpg)
厨房にある小ぢんまりとした電動石臼。木製の台で、見た目も愛らしい
![画像: 玄麦を丸ごと挽いたものが全粒粉。表皮や胚芽を含み、栄養価が高い](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/211a5de86bcf2f95fb2967a619ae4e90e106122f.jpg)
玄麦を丸ごと挽いたものが全粒粉。表皮や胚芽を含み、栄養価が高い
![画像: 挽きたての粉の香りをチェック。私たち取材スタッフも嗅がせてもらうと、小麦のなんともいい香りが](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/28ef45c1902eb7aa19adc6dcfc1eb4dc1adfeb55.jpg)
挽きたての粉の香りをチェック。私たち取材スタッフも嗅がせてもらうと、小麦のなんともいい香りが
製粉所の電動石臼はサイズが大きく、そのぶんゆっくりしたスピードで粉を挽くことができるから、より風味が残せる。一方、店の電動石臼なら挽きたての鮮度がいい粉を使えるというメリットがあるといいます。
「挽いた翌日に使ったり、そうじゃなくても一週間以内には使うようにしています。鮮度がいいと風味がいいし、全粒粉のパンにありがちなエグ味もでなくて。ただ、パンの場合、挽いてすぐの粉は扱いづらいから、ほんとはエイジングといってわざと粉を寝かせて扱いやすくするんです。でも、こね方だったりつくり方で、扱いにくさは対処できるので、風味を優先しています」
![画像: 全粒粉が85%も入った「湘南小麦の全粒粉パン」。一口頬張ると、挽きたての粉と同じ鮮やかな香りが!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/9e28733333242e1b156e412250e57be30cf9a478.jpg)
全粒粉が85%も入った「湘南小麦の全粒粉パン」。一口頬張ると、挽きたての粉と同じ鮮やかな香りが!
そこで、全粒粉パンのおいしい食べ方を教えていただくことに。
「全粒粉の旨みがチーズと合うのかなと。エメンタールやラクレットなど、加熱するととけるハードタイプのチーズをのせて焼くとおいしいです」
![画像: この日は家に残っていたというモッツァレラチーズを使用。「いつもはもっとケチっているんだけど、今日は特別」とチーズをたっぷりのせてくれました](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/f1bf9fa1cd1cc347a2df3ba3fa96a1b19518a34e.jpg)
この日は家に残っていたというモッツァレラチーズを使用。「いつもはもっとケチっているんだけど、今日は特別」とチーズをたっぷりのせてくれました
![画像: 全粒粉の強い風味と、チーズのコクが相性抜群! ぜひお試しを](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/95436eabdfd38586521ce5cbc5834fb23ff31052.jpg)
全粒粉の強い風味と、チーズのコクが相性抜群! ぜひお試しを
自家でつくる酵母はレーズンから起こしたレーズン種と、小麦から起こしたルヴァンの2種類で、パンによって使いわけ。一次発酵に、レーズン種は12~24時間、ルヴァン種は4~5時間もかけているのだとか。
「店のオープン当初よりどんどん長くなっていっちゃって(笑)。最近はこれぐらいの時間で落ち着いています」という大吾郎さん。
![画像: ご近所の設計事務所の協力を得て、古い物件をリノベーションした](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/e4b9aa8795c4a6c9d047585dd6e9df82434c5da8.jpg)
ご近所の設計事務所の協力を得て、古い物件をリノベーションした
![画像: 店内には、イラストレーターでもある奥様のこずえさんが描かれた絵が飾られている](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/557ded513d73254aad02272ffbb1bc91a720baaf.jpg)
店内には、イラストレーターでもある奥様のこずえさんが描かれた絵が飾られている
自家製粉した全粒粉を使い、発酵はゆっくりと。手間を惜しまず、時間をかけて、小麦本来の甘味や旨味をできる限り引き出す「にちりん製パン」。だからたくさん焼くことはできないけれど、ひとつひとつに誠心誠意が込められたパンが、今日もあなたを出迎えてくれます。
![画像: 手間や時間を惜しまず、風味を優先に](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/09/03/09e966bc8624202a139b1bcf391720df6108c618.jpg)
<撮影/山川修一 取材・文/諸根文奈>
にちりん製パン
0467-67-3187
10:30~17:00
木・金休み
神奈川県鎌倉市山ノ内1388
最寄り駅:JR横須賀線「北鎌倉」
https://www.facebook.com/pages/category/Wholesale-Bakery/にちりん製パン-928442977167389/
※臨時休業などはfacebookにてお知らせしています。