心地よい暮らしって何でしょう?
心地よさってたぶん、「自分にぴったり」ということ。それがたとえ、ちょっぴり古ぼけて、ちょっぴりダサくても、自分にぴったりであれば、気にならない、むしろ愛しい。
ところが、自分にぴったりの暮らしって、どこにも売っていません。だから自分でつくらなきゃならない。
この世で一番の贅沢って、「おあつらえ、オーダーメイド」だと思うんです。だって、自分のためだけにつくられたものなんですから。でも、自分でやれば、お金はかかりません。
自分の暮らしを自分であつらえる楽しみ、始めませんか?
買い物で失敗したくない!
買い物って基本的に楽しいことですよね。新しいものが家に来る、いままでより便利になる。ちょっとしたものであっても、やっぱりワクワクします。
でも気をつけないと、モノが増えすぎて家の中が窮屈になってしまったり、買ったはいいけれど自分に合わなくて、あとあと後悔したり。
せっかくお金を払うのですから、買う前よりも生活が楽しくならなきゃ! だから、買い物をするときは、
「モトをとるぞ!」
という気持ちで臨みます。安価なものであっても、衝動買いはしません!(←若い頃、痛い目をみた)
大きなものを買うときは
電子レンジ、洗濯機と、大きなものを買うときは慎重になるものですが、実はあまり迷いません。
カタログを集めたり、エクセルで機能を比較する表をつくったりもしません。
それは、「こういう使い方がしたい」というのがもう決まっているから。
たとえば、先ごろ買い替えたオーブンレンジであれば、
「パンやお菓子を一度にたくさん焼きたい」
というが一番の希望だったので、
「発酵ができる/天板が二段になっている」
がクリアできていればもうOK。
あとは「見た目」つまりデザインです。
細かい機能は必要ありませんが、ゴチャゴチャたくさん文字やボタンがついているものや、妙に派手な色のものは好きではないので除外。
それだけで、選択はだいぶ絞られます。
情報機器を除き、「最新型」にこだわることもしません。
だって、今の最新型だって、来年はもう旧モデルですから。
マイナーチェンジ程度なら、そんなに気にすることもないと思っています。
ただ、絶対に気を付けているのは、置く場所の寸法を正確に計っておくこと。
1センチの違いで、置くことができなかったり、使いづらくなったりしてしまうことがあるからです。
また、家具などは、売り場では感じなくても、家に置くとびっくりするほど大きく見えることがあるので、買う前に新聞紙や段ボールなどで実寸大を再現してみることもあります。
小さなものを買うときも
小さなものを買うときも気をつけています。
たとえ100円ショップで消耗品を買うときも、買い物メモをつくり、それ以外のものは買わないように心がけています。
値段の安い店では、どうかすると気がゆるんで、あれもこれもとついでにいろいろ買ってしまいがちですが、買いすぎてしまったり、結局使わなかったりという苦い経験をしているからです。
たとえ100円のものでも、なるべく一度では買わず、家に戻ってもう一度検討したり、置く場所のサイズを計ったりして、それでも必要となったら買うようにしています。
「やっぱりいいや」となることは、けっこう多いんですよ。
なるべく実店舗で買う
大きなものも、小さなものも、なるべくなら実店舗で買うようにしています。
特に、洋服やタオル、食器など、直接身体にふれるものについては、素材の質感に違和感があると、使っていてイヤになってしまうことがあるからです。
家具・家電であれば、自分なりに調べてきた疑問点を、店頭で販売担当者に全部尋ねます。
これは、買うものに対する「取材」だと思っています。
きちんと「取材」することで、使い方がよくわかりますし、ほかのお客さんがどう使っているかとか、メリットだけでなくデメリットも教えてもらえるからです。
最安値だけを目的として、ネットで買うことはしません。多少安くなることより、得る情報量の多い対面販売の方が、私にとっては価値があると思っています。
一方、ネット通販でしか買えないよいものもたくさんあります。
そういうものは、届いた時が「購入完了」ではなく「試着タイム」。
少しでも「合わないな」と思ったら、返送料が自己負担でも、迷わずすぐに返品します。(それが面倒なので、実店舗派なのですが……)
「欲しいものメモ」をつくっておく
若い頃は、欲しいモノがたくさんありました。
でも、いま思えば、あの頃の私は、「欲しいモノ」と「必要なモノ」の区別がついていなかった。
だから、「欲しいモノ」を先に買ってしまって「必要なモノ」が買えなくなるなど、バランスの悪いモノの持ち方をしていたと思います。
それに気づいたある時、「欲しいモノ」と「必要なモノ」を分けて、それぞれどんなモノが欲しいのか、必要なのかを、色や形、価格、購入したい店舗など細かく書き出すようにしたら、買い物がうまくいくようになりました。
「必要なモノ」がちゃんと手に入るようになりましたし、出先で素敵なモノに出会っても、自分が書き出していた「欲しいモノ」の条件に合っていなければ買わずに済むようになり、買い物の失敗が減りました。
この「欲しいモノ メモ」のいいところは、「こんなのが欲しい」と書き出せば書き出すほど、なんだかどうでもよくなってしまい、物欲がだんだん減っていくのです。
おなかがすいていても、料理をしているうちに、空腹感が消えていくのと似ているような気がします。
「もったいない」も過ぎるとソンをする
私はなぜか家電運がよく、わが家の冷蔵庫は17年、オーブンレンジは25年以上使っていました。
壊れないのはよかったのですが、
「まだ使えるからもったいない」
と使い続けていたせいで、ソンをしたかもしれません。
たとえば、以前使っていた冷蔵庫は、その間に生まれた2人の子どもがどんどん育ち、容量200リットルでは到底足りないのに、
「壊れてない、まだ使える」
と、延々と使い続けていたのです。
壊れてはいないかもしれないけど、そんな冷蔵庫では生活がうまく回りません。
忙しいのに買い物の頻度は下げられないし、生協から届いたものは入りきらない。当時は冷蔵庫にパズルのように食品を詰め込んでいました。
事実、新しく容量2倍の冷蔵庫に買い換えた途端、毎日が圧倒的にラクになりましたし、電気代だってむしろ安くなったのです!
もっと早く、生活に合ったサイズに買い換えればよかった。
モノと場合もよりますが、あまりに「もったいない」にこだわると、暮らしの質が低迷してしまうんだなあ……と反省した経験です。
<撮影/林 紘輝>
金子 由紀子(かねこ ゆきこ)
1965年生まれ。出版社での書籍編集者を経てフリーランスに。1973年、第一次石油ショックで大人たちの買いだめにショックを受ける。自らの出産・育児経験から「現実的なシンプルライフ」の構築の傍ら、All About「シンプルライフ」初代ガイドを務める。近著に『クローゼットの引き算』(河出書房新社)amazonで見る 、『50代からやりたいこと、やめたこと』(青春出版社)amazonで見る 、『ためない習慣』(青春文庫)amazonで見る ほか20冊以上。