お米もりもり「小豆玄米ダイエット」
かわいいスタンプとともに娘からメールがきました。
9月の大きな台風の晴れ間に、1年生が稲を刈り、はざ掛けをしたようです。
翌日に大雨が来るという予報だったため半分は機械で刈り込んだそうで、「稲は雨に降られたあとだと機械に巻き込んでしまうから晴れ間に刈るのがいいそうだよ」とのこと。
街中に住む私は畑体験はあるけれど、稲刈りをしたことがありません。
へー、ほーと聞くしかない私には、聞くことすべてが新しくどれもおもしろそう。
この米は、ゴールデンウィークにコロナの影響で帰省できなかった生徒たちが中心になり、田植えをしたとのこと。
16歳の初夏を田植えとは、なかなかいいじゃないの。ステイホームするしかない東京の初夏とは大違い。
そして頭を垂れ実った秋。新米だ。
できたお米は寮でも食べるし買うこともできます。
親バカな私は、お世話になった方々にお渡しすべく、何俵でも買う気でしたが、それでは寮のみんなで食べる分がなくなるからと笑って断られました。
翌日、うちで頼んでいる福井県の米農家・黒田さんから連絡がきて、
「次回より新米です。今年は稲の幼少期に長雨で不安でした。その後の猛暑はこたえたねー。うちの米は気温が35度過ぎちゃうとダメなのよ。米は30度超えないくらいがちょうどいいのよ。それに、北陸では例年にないカメムシが発生しちゃって。でも、今年の米は量は少ないけど食味が本当に良いのがありがたいね。東京のお客さんに食べてもらってね。おいしいから」
と、やさしい北陸なまりがなんだかホッとする電話でした。
例年になく米を大事にせねば! そう思わせてもらえる新米の便りが2件。
40歳を少しすぎて、減らない体重にごはんを減らしている場合ではないな……。
娘の新米と米農家・黒田さんの思いの詰まったごはんを目の前に、米をもりもり食べよう!! そう決意したけれどもやはり痩せたい。さてさて、どうしたものか・・・。
自粛も少し緩和されお客さんが動き出した秋葉原。懐かしいお客さまが顔を見せてくださる。
キャーキャーー! 久しぶり!! と喜んでいると、なんだか雰囲気が違う……少しスッキリされている。
不躾ながら伺ってみると、
「コロナ太りを改め、夏から7合ダイエットをしているのよ。ただひたすら玄米を食べるだけ。幸せなことにもりもり食べられて、いままでどれだけ抵糖質でもジムに通おうともなんにも落ちなかったのに、スルスル落ちて。ただもりもり玄米を食べるだけであれよあれよと……」
私の目は丸くなりました。
いや、玄米は確かにダイエット的にも良いのはわかるけれど、もりもり食べていいの? しかも暑い夏に玄米は胃に重たくないの? 中高年ともなると炭水化物がもりもり食べられなくなるし……。
そもそも7合ダイエットは、日本人型栄養学のパイオニア「マクロビオティック」に基づいているので、それは逆に安心できます。
体にとって余分なものを出し、体内を循環させていく、病気にならない体をつくる食養生です。
ということは、いまのこの体は余分ものだらけなので、体から排出するべきなのではないかと、風呂上りに鏡に映った自分を眺めながら思い、人体実験を始めることに。
決意したその時に黒田さんにメールを送り、新米を頼みました。わが家は人数こそ少ないくせに 30キロで米を買いたいタイプ。
翌々日にドン!!! と届いた米を水につけて、3日ほど毎日水を変えながら発芽させます。ぷっくり膨らんだので、小豆・塩を入れて炊飯し、3日ほど保温して寝かせたら、さあ! 実験開始。
カフェインもアルコールも飲まず、ただもりもりすりごまをかけて食べるのです。あー、おいしい。
私はダイエットのベテラン。マダム・ポッチャリ。
いまからビキニが似合う体型を求めているわけではありません。ただぎっくり腰予防のために程々のポッチャリをキープしているのです。
ボクササイズのジムにも通っているので、筋肉をつけるため「プロテイン〇〇g……」など計算して食べるのが日常でした。
整体の先生から私は筋肉が付きやすい体であることを教えてもらい、来年のオリンピックにオバハンの部があれば……などうっすら考えていたぐらい。
―― ということもあり、日々、低糖質は意識していたので、こんなに米を食べるのは久しぶり。
あー、なんと米のうまいこと。ため息も出てくる。
小豆を入れて炊いて寝かせているので、かなり黒いごはんですがおいしい。
4日ほど食べ続け飽きてきたところで、体重測定をしてみたがなんと良い感じ。もちろん個人差はあると思いますが、ちょうどよい数字を指していました。
風呂上りに小躍りをしてしまったくらい。お酒も好きなので、いまはちょっと飲みすぎたらデトックスということで上手に「小豆玄米」を取り入れています。
このおいしいお米は、食べた後体重計に乗り小躍りするだけでなく、娘の稲刈りの姿と米農家・黒田さんの顔が浮かんでくるのが嬉しいところ。
さあ! 今日も米を食べよう! もりもり食べよう。
藤井小牧(ふじい・こまき)
東京・秋葉原にある「カフェ風精進料理 こまきしょくどう」店主。臨済宗僧侶であり、精進料理家としても知られる藤井宗哲氏と、精進料理家の藤井まり氏との間に生まれ、幼いころより精進料理とともに育つ。現在はお店に立つかたわら、東京の生産者・加工業者を応援する活動「メイドイン東京の会」にも参加している。著書『こまき食堂』(扶桑社)が発売中。
ホームページがリニューアルしました。
こまきしょくどう 鎌倉不識庵
https://www.kamakura-komaki.com/
ウェブショップもできました。
こまきしょくどう商店
https://gomagomagohan.stores.jp/
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