新型コロナ下での「ステイケイション」
森の木々の色が黄色や赤に染まり始め、コッツウォルズの秋もだんだんと深まってきました。
いつもなら海外にバカンスに出かける人達も、今年は、「Staycation (stay + vacation、ステイケイション)」で国内旅行に切り替えた人たちも多く、コッツウォルズの村々にも少し人が増えたような気がします。
普段の生活を離れて、違う景色を見て、空気を吸い、おいしいその土地の料理を食べ、人と触れ合うことは、実は、知らないうちに心の栄養となっていると信じています。なかなか旅行がままならないいま、今月は、「コッツウォルズからの手紙ツアー」と題して、魅力たっぷりの小さな村々をご紹介したいと思います。
人気ドラマの舞台「ブロックリー」
まずは、ブロックリー(Blockley)、BBCの人気ドラマ、『ブラウン神父』が撮影された村です。ドラマは、ブラウン神父が毎回、村で起きた事件を解決する内容ですが、映し出される風景がすばらしく、なんともほのぼのしていて、イギリス人もこの小さな村を観光で訪れるようになりました。
丘陵のはざまの谷間にすっぽりとおさまってる村。ドラマでは、ブラウン神父が自転車に乗っているシーンが多いですが、実際にはけっこう坂があります。ブラウン神父の教会では、ロックダウン中に医療従事者、キーワーカーへの感謝を石に表現し、飾られていました。
教会を通り抜けると、まるで絵本に出てくるような家が立ち並んでます。ブロックリーの村を歩いていると、透き通ったきれいな湧き水をところどころで見かけます。自然の湧き水のほかに、19世紀に村の資産家のご婦人が村人のためにつくらせたラッセル スプリングが有名です。湧き水好きな私は、必ずボトルを持参して、湧き水を少しいただきます。
村を抜けると、森に繋がるフットパスを歩きます。森では、乗馬の女性たちがおしゃべりしながら、「ハロー」と軽く挨拶しながら私たち夫婦の横を通り過ぎ、私は落ちた松ぼっくりを拾ったりして、緩やかな時間を過ごします。小さな村でとくになにがあるというわけでもないですが、そのなにもないというのが、私にはとても魅力です。
アイ川が流れる「アッパースローター」と「ローワースローター」
次にご紹介する村は、ご存知の方もたくさんいらっしゃるかもしれません。アッパースローター(Upper Slaughter)とローワースローター(Lower Slaughter)です。このふたつの村を流れるアイ川では、天気がよければ、子どもたちが水遊びをしています。
川が道路を横切るようになっているところがあり、私たちも少しドキドキしながら車で横切ってみました。雨が降った後でしたので、少し水量が多く、少し車高が高い私たちの車は、ぎりぎりで通ることができました。
このドキドキを楽しむ私を横目に、夫が心配しているのは車の方でした。そして、最後に村のホテルで、やっぱりご褒美はクリームティーです。
コッツウォルズの玄関「チャールブリー」
最後に紹介するのは、我が街、チャールブリー(Charlbury)です。
コッツウォルズは実はとても広く、ここチャールブリーは、オックスフォード郊外に当たり、コッツウォルズの玄関とも呼ばれています。ロンドンのパディントン駅から電車で1時間ちょっとで着く手軽さもあり、週末にウォーキングで訪れる方も多いです。
イギリスでは、大聖堂があれば市、シティになり、教会の数、人口により街か村に区別されます。でも、この街か村という境界線が分かりにくく、ある日、夫が街のご老婦人との会話で何度か「村」と呼び、「街よ」とお叱りを受けてしまうというとトホホなハプニングもありました。
街の真んなかにあるセント メアリー教会を中心に小さな小道、街の中を抜けるエバンロデ川、そしてコーンブリーエステイト。この邸宅は昔、王室の狩猟の拠点として建てれられ、いまは、個人の所有になっていますが、フットパスで敷地の一部を通り抜けることができ、地元に愛されるフットパスのひとつです。街を歩いた一日の後は、パブでビールとワインで一服します。
今回のツアー、ざっくりと3カ所を巡りましたが、いかがでしたでしょうか。
コッツウォルズには、小さなおとぎ話に出てくるような村がまだまだたくさんあります。また、第2弾のツアーでご紹介したいと思います。
一日も早く安心して旅行が出来る日を祈りつつ。
<写真・文/コズエ・ガーナー>
コヅエ・ガーナー
神戸市出身。イギリス・コッツウォルズ在住。ソフトファニシング・インテリア、風水インテリアデザイナー。2008年からMisty Interiorをスタートし、ロンドンを中心に活動している。