• 天然素材にこだわった、安心でおいしいパン屋さんをご紹介。かつて中目黒で人気を博したお店「ラ・ブランジェ・ナイーフ」が、2015年に世田谷・若林にて再始動。熟練シェフの手によって生まれた、一度食べたら虜になる名物パンをご紹介します。

    味もセンスもとびっきり、ベテランシェフの絶品パン

    「ラ・ブランジェ・ナイーフ」は、パン職人歴30年の凄腕シェフ、谷上正幸さんが奥様のフミエさんとふたりで切り盛り。かつて中目黒にあった名店を、世田谷・若林にて再開していまに至ります。

    白のショーケースに並ぶのは、ハード系から総菜パン、昔懐かしいおやつパンと一日に40~50種類ほど。すごく多いわけではないものの、そのなかに混じって「プンパニッケル」などのドイツパン、スイスの編み込みパン「ツオップ」、イタリアの発酵菓子「パネトーネ」が顔を覗かせる、さすがのラインアップです。

    新たなスタートを切ってから、名物パンが続々と誕生していますが、はじめにご紹介するのは、店の再開にあわせて生まれた「若林ブレッド」です。

    画像: 北海道産小麦「ゆめちから」に全粒粉を加えた山型食パンは、さっぱりとした塩味

    北海道産小麦「ゆめちから」に全粒粉を加えた山型食パンは、さっぱりとした塩味

    レーズン種のほかに、フランスパン生地を老麺として使用した食パンで、バゲットのような味と香りがするのが特徴です。もちろんバゲットのように硬くはなく、生地はしっとりもちもち。朝のトーストはもちろん、食事に添えるのにもぴったりです。

    次は、正幸さんいわく「一度食べた方は、ほぼリピートする」という「ニダベイユ」。ブリオッシュ生地の食パンをスライスし、自家製カスタードクリームをたっぷりサンド。バター、ハチミツ、生クリームをキャラメル状にしたものにアーモンドスライスを加え、それを表面に塗ってオーブンで焼き上げています。

    画像: 冷凍しておき少し解凍して食べると、中のカスタードクリームがアイスのようになって、また違ったおいしさが。店に並ぶのは週末がメインとのこと

    冷凍しておき少し解凍して食べると、中のカスタードクリームがアイスのようになって、また違ったおいしさが。店に並ぶのは週末がメインとのこと

    ほろ苦いキャラメル、コク深いカスタードクリーム(本当にたっぷり入っています。お見せできなくて残念!)、リッチな風味のブリオッシュ生地が、絶妙に溶け合い後を引くおいしさ。リピート率が高いのも納得のお味です。

    最後は、イタリア発酵菓子の「パネトーネ」です。しっとり柔らかい生地からは、ふわっと乳酸菌の香りが漂い、ドライフルーツが絶妙なアクセントに。「日持ちがとてもよく見映えもするので、食べる前は飾りにもなります」と正幸さん。

    画像: オーガニックのサルタナレーズンとオレンジピール入り。温めてクリームやアイス、シロップを添えるのもおすすめ

    オーガニックのサルタナレーズンとオレンジピール入り。温めてクリームやアイス、シロップを添えるのもおすすめ

    ひとりだからこそ、段取りを大切に

    パンづくりを担うのは、正幸さんおひとり。だからこそ、段取りがとても重要になるのだそう。

    「発酵は、4℃ほどで発酵させる冷蔵発酵、20℃前後で発酵させる低温長時間発酵、ストレートで同日仕込んで焼くものの3種類にわけています。そうすると生地の分割のタイミングをずらせるので、ひとりでもたくさんの種類を焼くことができます」

    とはいっても、発酵器は一台しかなく、パンに合わせた温度帯や発酵時間をコントロールするのは、一苦労だといいます。そんな大変な作業をこなす厨房を覗かせてもらうと、小ぢんまりとした空間ながら、清潔感にあふれ、道具類が整然と置かれています。これまで数多のパン屋さんの厨房を見てきましたが、これほどまでにきれいな厨房にはなかなかお目にかかったことはありません。

    「整頓というか、いつも同じ位置にないと、使いたいときにさっと取り出せないので。それに、型なんかがいくつもあっても、結局は使わなかったりするから、いるものだけにしたらこうなりました」と話す正幸さん。片付けの極意が自然と身についていらっしゃるようです。

    画像: 作業中と思えない、整った棚。効率よく作業されている姿が浮かぶ

    作業中と思えない、整った棚。効率よく作業されている姿が浮かぶ

    画像: 自家製サワー種を使った、本格派のドイツパンも。ドイツパンは需要がじわじわ高まっていて、全国から注文が入る

    自家製サワー種を使った、本格派のドイツパンも。ドイツパンは需要がじわじわ高まっていて、全国から注文が入る

    「クリーム類はすべて自家製」「国産の栗は高価だから輸入物の缶入りを使うが、炊き上げ直して手づくりシロップに漬け込む」など、話を聞くにつれ、細部まで手をかけているのがよくわかります。そして同時に、おひとりですべてやられていることにただただ驚くばかり。

    限られたスペースのなかで、いくつもの種類を焼き上げる、しかも最高においしく。そんな職人技でつくられるパンは、どれも鮮やかな印象を残すのでした。

    画像: ひとりだからこそ、段取りを大切に

    <撮影/林 紘輝 取材・文/諸根文奈>

    ラ・ブランジェ・ナイーフ
    03-6320-9870(電話で取り置きも可能)
    10:00~18:00
    火・水休み
    東京都世田谷区若林3-33-16-1F
    最寄り駅:東急世田谷線「若林」
    https://panya-naif.com/
    https://www.instagram.com/la_boulangerie_naif/
    https://naif.theshop.jp/(ネット通販)
    ※臨時休業などはSNSにてお知らせしています。


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