(『天然生活』2021年1月号掲載)
フードロスを減らす冷蔵庫整理術
家事のしやすさにこだわってリノベーションしたマンションで、家族4人で暮らす本多さん。
2歳と4歳の息子さんの子育てや家事、仕事に、目まぐるしい毎日といいますが、それをまったく感じさせない整った部屋は、さすがです。
冷蔵庫の中も同様に、スッキリ。
手が届きやすいところに使う頻度の高い食材を分類別に並べ、保存容器はラベリングをして中身を明らかに。使い勝手を考えて食材が収納されています。
でも実は本多さん、料理は苦手なのだとか。
「得意でないからこそ、いかにストレスなく、無理なくむだなく食材を管理して料理できるか」
これが冷蔵庫整理のテーマでもあるといいます。
「扉を開けるワンアクションで食材が見渡せる状態にしておくことが一番大切です。食材の “見える化” は、使い忘れやだぶり買いを防ぎ、フードロスの減少にもつながります。また、私は毎日の献立を考えるのがとても負担なのですが、冷蔵庫を開けて何がどれだけあるかひと目でわかれば、献立が浮かびやすいんです」
食材に “追われる” のがイヤで、これまでまとめ買いを避けていたという本多さん。
最近は頻繁にスーパーに行きづらい時勢もあり、野菜の宅配サービスを利用したり、ストックを増やしたりしているそう。
冷蔵庫の食材は増えるほど管理や循環も大変です。
野菜を長持ちさせるために…… 冷蔵庫に入れる前の下準備
しなびやすい葉もの野菜や薬味は、保存の仕方で長持ちさせることが可能です。
密閉袋や保存容器を使えば、冷蔵庫や野菜室に収納しやすく、使い忘れも防げます。
ジッパー付き密閉袋に入れる
野菜はなるべく空気に触れないように、密閉袋に入れて保存する。
サイズ的に使いやすいIKEAの袋を愛用。
「袋に入れずに保存するのとでは、長持ち度が全然違います。袋はアルコールでふいて繰り返し使っています」
葉もの野菜は洗ってふた付きのバットに
乾燥を嫌う葉もの野菜は、洗ってリッチェルのコランダー&バットに入れておく。
「こうしておけば、みずみずしいまま使えます。この容器は水きりできて、冷蔵庫の中でも重ねられてとても便利。レンジで蒸し料理もできます」
しょうがは水につけて保存
しょうがは洗って皮のまま、かぶるくらいの水につけて保存すると、1カ月程度はもつそう。
使うときに水を替え、さっと容器を洗って清潔に保つとよい。
「この保存法にしてからは、ダメにすることなく使い切れるようになりました」
ガラス容器に入れて見える化
冷蔵庫にしまったときに何が入っているのかわかるように、中が見えるふた付きの容器に保存するのもポイント。
「中が見えると存在を忘れないので、うっかり使いそびれることがありません。出して中を確認する手間も省けてラク」
冷蔵庫の循環を意識して食材管理を考える
浄水器メーカーの「タカギ」は、家庭で使用済みの浄水カートリッジの中の活性炭の再利用用途を研究しています。
そのなかで、冷蔵庫で活性炭を使うことで消臭や野菜の劣化を防ぐ効果も見えてきました。
そこで、本多さんに活性炭のイメージを聞いてみました。
「下駄箱の消臭に備長炭を使っているので、炭にはなじみがあります。活性炭の力で野菜が長持ちしたら『早く使わなきゃ』というプレッシャーから解放される。私だけでなく救われる方は多いと思います。期待したいですね」
冷蔵庫にストックが増えた分、本多さんはこれまで以上に「循環」を意識して「あるものを使ってから、新しい食材を入れる」を徹底するようになりました。
「食材が余り気味だなと思ったら、数日間はスーパーに行かず、家にあるものだけで食事をつくるようにしています。調味料も目新しいものは買わずに、必ず使い切る基本のものだけに絞っています。とても小さなことですが、こうした日々の積み重ねで家庭のフードロスは確実に減らしていけると思っています」
ポイントは “見える化” と “循環”
野菜室の整理法
野菜の鮮度を保ち、おいしいうちに食べきるために、収納を工夫しましょう。
詰め込みすぎず、何がどれだけあるか、俯瞰できるようにしまうのがコツです。
浅い段の整理ポイント
野菜は並べて一目瞭然
「野菜室の一等地」と本多さんがいう上の段は、使う頻度の高い野菜を重ねないように並べて収納します。
「パッと見て何があるかわかる状態にしておけば探す手間を省けますし、重ねないことで傷みにくくもなります」
深い段の整理ポイント
なるべく手前に収納する
あれこれ無造作に野菜を入れがちな下の段の収納は、「手前メイン」がお約束。
「奥にしまうと埋もれて忘れがちなので、手前のスペースを中心に使います。奥は空けておくくらいの量だと、新鮮なうちに食べきれて循環しやすいです」
立てて収納すると取り出しやすく長持ちも
野菜室の下の段は深さを生かし、なるべく立てて収納を。
スペースをとらず取り出しやすいうえ、畑に生えていた状態で保存することで長持ちもする。
カットしたセロリなどは密閉袋に入れプラスチックケースに立てる
フードロスを減らすためにできること
食材を捨てずに食べ切ることがフードロス削減の近道です。
鮮度キープの手軽な方法や食材を効率よくおいしく消費する工夫など、本多さんが普段実践している方法を紹介します。
使いかけの野菜は最優先で
使いかけの野菜はラップにくるんで袋にまとめておき、野菜を使うときはまずこの袋をチェックする。
「バラバラにしまっておくより忘れません。カットした野菜は元の状態より傷みが早いので、なるべく日をおかずに使い切ります」
加工して食べきる
鮮度が落ちた食材やたくさんある野菜は、総菜や汁物に。
「残っていたごぼうと油揚げを消費するためにキンピラを、余り気味の玉ねぎをかぼちゃと合わせてポタージュをつくりました。残った食材から献立を考えることも多いです」
冷蔵庫内をきれいに保つ
食材を効率よく消費するのはもちろんですが、冷蔵庫の中をきれいに整えておくのも大切。
野菜が傷ついたりつぶれないよう、本多さんは並べる派。
「にんにくなどは器に入れてから。こうすると引き出す際に動くこともありません」
塩をして “料理の素” をつくる
キャベツはハーフカットを買うという本多さん。
新鮮なうちにせん切りにして塩をまぶして「塩キャベツ」にするのも定番。
「油断するとすぐ黒ずんでしまうので。塩キャベツはコールスローやスープ、付け合わせなどに便利に使えます」
* * *
使用済み浄水カートリッジ再利用法を研究中
浄水器メーカーの「タカギ」は、家庭で浄水器として使用済みとなった浄水カートリッジの中の活性炭に関して、再利用法を、さまざまな面から研究中です。
『天然生活』2020年9月号「活性炭の再利用について、生活研究家 阿部絢子さんと考えました」では、活性炭に関する保水や消臭の効果を、下駄箱、ごみ箱、冷蔵庫や洋服ダンスにて活用する方法などをご紹介してきました。
“環境に優しい暮らし” に寄与するため、今回の冷蔵庫整理術に先立って、野菜を腐らせる要因として挙げられるエチレンガスを、活性炭が吸着できる効果に関しても研究中です。
現段階では、活性炭はエチレンガスを吸着する一方で、野菜の劣化には、野菜室の水分量も影響するため、野菜室ではなく冷蔵庫にある食品 ではどうか、水分に影響を受けない食品での効果 はどうかなど、さまざまな研究で使用済みの浄水カートリッジ再利用の可能性を探りつづけています。
次ページでは、使用済み浄水カートリッジの再利用法に関するQ&Aやアイデアをご紹介します。
タカギの蛇口一体型浄水器
定期交換サービスシステム
タカギの蛇口一体型浄水器は、分譲戸建・マンションを中心に設置されています。
タカギでは、利用者である国内約160万世帯のお客さまに、浄水カートリッジの定期交換サービスを提供。
ていねいな暮らしを大切にすべく、今後、タカギの会報誌『WACCARU』、コミュニティサイト「WACCATRIP」でもさまざまな企画を随時展開していく予定です。
【タカギ蛇口一体型浄水器HP】
【タカギwebコミュニティ WACCATRIP】
〈撮影/林 紘輝 取材・文/熊坂麻美 イラスト/山元かえ〉
本多さおり(ほんだ・さおり)
暮らし重視、ラク優先のシンプルな収納術を提案し、多くの人の支持を受ける。新刊『モノが私を助けてくれる』(大和書房)が発売中。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
提供/TAKAGI