世界に愛される「Naomi Ito Textile nani IRO」20年の歩みを一堂に展示
展示の会場となったのは伊賀上野城のお膝元、江戸時代に藩校として建てられ、明治以降は小学校や図書館として活用された「史跡旧崇広堂」。
会場構成は、「やまほん設計室」の山本忠臣さんが手掛けられています。
いくつかの空間に分かれた展示会場は、発表した布をハンカチによってカテゴリー別に見せるコーナー、アーティストやブランドとコラボした布やアイテム、原画から布の制作過程を紹介するスペースなどで構成されています。
「Naomi Ito Textile nani IRO」の魅力は何と言っても、絵に描かれた心地よさをそのまま触れ、身にまとえるような、美しく繊細な表現力。
四季折々の自然の営みや光の輝きが水彩画で描かれ、それを布の柄として再構成、デザインしていく。水彩ならではのデリケートなタッチを、職人技による絶妙な色使いで再現、世界で最高峰のプリント技術にも驚かせられます。
20年の間に手掛けた布はなんと、150柄、1174種。展示は2002年に発表された、生成りのダブルガーゼ生地に白い水玉が描かれた「pocho(ポチョ)」から始まり、72畳の大広間に帳(とばり)のように下げられた何重もの布の中心にある、白のコットンシルク生地に白い文様を描いた新作「白虹(はっこう)」の茶室でしめくくられています。
歴史ある建物の静けさの中で、作品から放たれる煌めきや輝きに、多くの人が時間を忘れ、見入っていました。
「色とは何だろう、心地よさってどういうものだろうと錯誤した20年でしたが、これからも清々しい朝の感触のような布を、描いていきたいと思っています」と話す伊藤さん。
2021年新作の布は、大阪の「ATELIER to nani IRO」ほか、オンラインショップ でも販売されています。布を通じた心地よさ、あなたも感じてみませんか?
〈撮影/ヨシダダイスケ 取材・文/田中のり子〉
Naomi Ito Textile nani IRO 20th Annversary Exhibition
「伊藤尚美展 白虹 ―煌びやかな安らぎ―」
会期:2021年4月17日~25日 会場:史跡旧崇広堂(伊賀市上野丸之内78‐1)
会館時間:10:00~17:00
詳細はこちら「Naomi Ito Textile」
伊藤尚美(いとう・なおみ)
1994年大阪アセンス美術にて初個展以後、大阪、東京、奈良、滋賀、伊賀、パリ、ヘルシンキなどで展覧会を開催。2002年に「nani IRO Textile」を発表。2012年に「ATELIER to nani IRO」をオープン。著書に『ATELIER to nani IRO 季節をまとう一年の服』(文化出版局)ほか多数。
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