• 畑や花壇を利用する地植え栽培と違って、いつでもどこでも始められる袋栽培。袋と土、そして日当たりのいい場所があれば、初心者でも簡単に野菜づくりが楽しめます。今回は、用意する袋と袋の置き方についてです。
    (『袋栽培でかんたん野菜づくり』より)

    袋を準備しよう

    培養土の準備ができたら、どの袋で栽培するかを考えます。新しい袋に培養土を入れる場合には、ビニールシートの上に培養土を広げ、適切な肥料を混ぜてから、培養土をその袋に戻して袋の準備をします。

    土のう袋

    画像: 土のう袋

    麻製のコーヒー豆袋

    画像: 麻製のコーヒー豆袋

    袋栽培に使用できる袋は、ポリエチレン製の培養土の袋、肥料袋、土のう袋、麻製のコーヒー豆袋などがあります。

    培養土の袋や肥料袋などは、手間がかからず便利ですが、空気をまったく通しません。そのため、袋の底に穴をあけ、通気性のよい上質な培養土を選ぶことが大切です。

    土のう袋と麻製のコーヒー豆袋は、編み目から水が抜け、通気もよいので、穴をあけずにそのまま使えます。

    さらに、土のう袋や麻製のコーヒー豆袋を使う場合には、上質な培養土を使わなくても野菜が育ちます。

    袋の置き方を考えよう

    野菜を栽培する場合には、基本的には袋を縦向きに置きます。ただし、それ以外の方法でも野菜を育てることができ、それぞれに利点もあるので、ここでは3つの袋の置き方を紹介します。

    基本は縦向きに置く

    画像: 基本は縦向きに置く

    適した野菜:果菜やダイコン、キャベツ、ブロッコリーなどの大きくなる野菜

    袋を縦向きに置くのが基本です。

    水抜き穴をあける場合、袋を縦向きに置き、袋の底にあたる側の部分にドライバーなどで直径1cm程度の水抜き穴を10カ所程度、袋の側面の底に近いところにも全周にわたって10カ所程度あけます。

    水抜き穴をあけた袋を縦向きに置いて安定させ、袋の上部分をはさみで切りあけて、袋の縁の全周を外に折り返します。

    そして、袋内の培養土に水を与えて湿らせたら、栽培準備が完了です。

    袋を横向きに置く

    画像: 袋を横向きに置く

    適した野菜:ミブナやチンゲンサイなどの葉を伸ばす葉菜、バジル、パセリ、シソなどのハーブ類、エダマメ、イチゴなどのあまり大きくならない果菜、ニンジンなどの大きくならない根菜

    袋を横向きにして栽培することもできます。この場合には、底にあたる側に水抜き穴をあけ、側面にあたる部分の底に近いところにも全周にわたって水抜き穴をあけることが大切です。

    穴の数は底にする面積が袋を縦向きにする場合の約1.5倍になりますので、底に15カ所程度、袋の側面にあたる底に近いところにも15カ所程度の穴をあけます。

    また、可能なら袋の底にネットか寒冷紗を入れ、その上に落ち葉や枯れ葉を入れて「空気の層」をつくると、根の生育が良好になります。

    袋を仰向きに置く

    画像: 袋を仰向きに置く

    適した野菜:茎が伸びないハツカダイコンなどの根菜やコマツナなどの葉菜

    袋を仰向きにして栽培することもできます。袋を仰向きにした場合も、底にあたる面と側面にあたる部分の底に近いところの全周に水抜き穴をあけることが必要です。

    穴の数は底にする面積が横向きに立てる場合の約2倍になるので、底に30カ所程度、袋の側面にあたる底に近いところにも全周にわたって30カ所程度の穴をあけます。

    水抜き穴をあけた袋の底にあたる面を下にして仰向きに置いて安定させ、袋の上になる部分の四隅からはさみで対角線に切れ目を入れます。

    切れた部分を外側に巻いて端でとめるようにするか、切れ目を入れて切った端の部分を外側に折り返すようにして、長方形になる栽培面を大きくあけます。

    「空気の層」をつくって、根の生育を良好にする

    画像: 「空気の層」をつくって、根の生育を良好にする

    できれば、縦向きや横向きにして袋栽培を行う場合、袋の底に空気の層をつくって、根の生育を良好にしましょう。

    これは、袋の中の通気や排水を良好にして土の流出を防ぐのが目的です。この工夫はポリエチレン製の培養土の袋などを使う場合だけでなく、通気のよい土のう袋や麻のコーヒー豆袋を使う場合でも、野菜の根の生育をよくします。

    袋栽培を始める時期によっては、落ち葉や枯れた葉が手に入らないかもしれません。その場合は、ネットや寒冷紗だけでも入れることをおすすめします。

    「空気の層」のつくり方

     培養土を一度ビニールシートなどの上に出します。

     水抜き穴をあけた袋の底の部分にネットまたは寒冷紗を入れます。

     の上に広葉樹の落ち葉、枯れた葉を5cmくらい入れ、その上に培養土を戻します。

     

    本記事は『袋栽培でかんたん野菜づくり』(秀和システム)からの抜粋です


    梁川 正(やながわ ただし)
    農学博士。京都教育大学名誉教授。京都教育大学環境教育実践センターにおいて、野菜や花卉、イネ等の栽培指導や、栽培植物の残渣を堆肥として利用する「食の循環の教育」の指導を行う。研究面では、球根花卉やラン等の組織培養によるウイルスフリー化や無菌培養の簡便化に関する研究を推進。退職後は、各種公開講座や園芸大学等で、袋栽培で野菜や花卉を育てる方法やその楽しさ、容器等で簡便に育てる活動の普及に努めている。



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