• 世界の暮らしには、私たちの知らない美しいもの、おいしいもの、たくさんの楽しみがあります。本連載では、約4年半、ミャンマーで暮らした経験を持つ、今野まやさんが出合った、美しいアジアの手仕事、暮らし、文化を紹介します。今回のテーマは「ものを受け継ぐこと、助けあうこと、支え合うこと」。大自然と寄り添う暮らしとともに、お楽しみください。

    夫の転勤で、原生林に囲まれたアジアの暮らしへ

    はじめまして。

    ミャンマーの手織りの布を使ったテキスタイルブランドmoringa(モリンガ)の今野まやと申します。

    いまは大変な状況下にあるミャンマーの平和を心から祈りながら、本連載ではミャンマーの素晴らしさ、現地での暮らしや経験、モリンガを通して考えたこと学んだことなどをお伝えしたいと思っています。

    感動したこと、驚いたこと、いろいろと綴っていきたいと思いますので、少しでも楽しんでいただければうれしいです。

    * * *

    インテリア&フードスタイリストとして10年ほど活動した頃、夫のミャンマーへの転勤が決まりました。

    夫は2週間後には現地に旅立ち、私は残って当時3歳と5歳だった子どもの学校、仕事の整理など日本での処理に追われる日々を。

    そのころは現地の情報がまったく入ってこず、とにかく日用品を鞄に詰められるだけ詰めてバタバタと出発したのを覚えています。

    そして、いよいよ、夫の待つ地へ。家族4人の手探りのミャンマー暮らしが始まりました。

    一生ものの家具を、大事に受け継いでいくこと

    画像: 自宅のインテリアは、新居の大家さんにお借りしたものと中古家具を中心に。すべて長年大切に使われ続けてきたもの

    自宅のインテリアは、新居の大家さんにお借りしたものと中古家具を中心に。すべて長年大切に使われ続けてきたもの

    ネット環境が、いまのようにはスムーズではなかったため、私たちの暮らしも、現地でゼロからのスタートです。

    住まいづくりも大きな課題のひとつでした。

    住み始めたころは、ミャンマーには家具屋はほとんどなく、椅子やテーブルは職人さんにオーダーメイドで依頼するのが一般的。

    「あそこに腕のいい職人さんがいるよ」

    「あっちにお店があるよ」

    と、人づてに聞いた情報だけを頼りに、一軒一軒まわり、長い時間をかけて、インテリアを選んでいきます。とても大変な作業でしたが、楽しくもありました。

    ミャンマーは木の資源が豊富なため、家具の材質は、どれもとても素晴らしいものばかり。そのため、つくりも堅牢でなかなか壊れません。

    この地の人々には、使い捨ての意識はなく、一生ものの家具を手に入れたら、手入れをし、修理を重ね、親から子へ、知人へ、大切に受け継いでいくのです。

    引っ越しの度に開かれる、暮らしを引き継ぐ場

    画像: 引っ越しセールで譲り受けた、ローズウッドのサイドボード

    引っ越しセールで譲り受けた、ローズウッドのサイドボード

    現地で探したのは、日本ではなかなか手に入らない希少なオールドチークを使った古い家具。

    ていねいに修理しながら扱っている職人さんのもとを訪れ、できるだけシンプルなものを中心に探しました。

    現地では素晴らしい材質のものに、驚くような価格で出合えるのです。お気に入りは、引越しセールで譲り受けた、ローズウッドのサイドボード。木目が本当に美しかったです。

    帰国時には、私たち家族も自宅で引越しセールを開き、次の主に譲り渡しました。

    小物使いで模様替えしたインテリア

    画像: 家の中にはいつも緑を飾っていました。これは庭で摘んだ大振りのグリーン。後ろのテキスタイルは日本から持っていったアフリカの布

    家の中にはいつも緑を飾っていました。これは庭で摘んだ大振りのグリーン。後ろのテキスタイルは日本から持っていったアフリカの布

    画像: ミャンマーで知り合ったアーティストの絵。自宅には、どんなに素敵な絵でも描き手がわからないものは、飾らないようにしていました

    ミャンマーで知り合ったアーティストの絵。自宅には、どんなに素敵な絵でも描き手がわからないものは、飾らないようにしていました

    インテリアで気をつけたのは、シンプルで素材感があり五感を大切にリラックスできること。

    素材は、木、コットン、植物、ガラス、藤のバスケットなどの天然素材に、人の手を感じられるもの。

    そこに都会の暮らしのモダンを入れて、最後は、絵だったり、子どもの作品だったり、個人的に好きなものをスパイスとして加えること。

    その時々の気分や状況で変えていました。

    森が庭。青空の下、子どもたちは裸足で走りまわる日々

    画像: 4年半の滞在中に、3回引越し。1番思い入れがあるのが築40年以上経つ写真の平屋

    4年半の滞在中に、3回引越し。1番思い入れがあるのが築40年以上経つ写真の平屋

    私たち家族が暮らした緑と木に囲まれた平屋の家です。

    隣に住むやさしくて、ワイルドな大家さんのお父さまが建てた家で、そのままの形を大切に守りつづけていました。

    娘はよく庭に寝っ転がって空を眺めていました。



    今野まや(いまの・まや)
    モリンガ主宰。7年前に夫の転勤によりミャンマーへ移住。現地でミャンマーのものづくりに触れ、2016年、手織りの布を使ったテキスタイルブランドmoringa(モリンガ)を設立。2019年家族とともに帰国。
    インスタグラム:@moringahandmade
    facebook:https://fb.me/moringahandmade
    HP:モリンガ



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