「道具ってなんでも使い慣れた形や仕様のものを手に取りがちですが、実は爪切りには種類がいろいろあって、自分の爪に合ったもの、使いやすいものを選ぶことが大切です」と浅見さんはいいます。そこで、爪切り選びのポイントを教えていただきました。
爪切りは刃先で選びます
「爪切りを選ぶときは、切れ味がいいのが前提ですが、爪にかかる負荷を軽減できるもの、形を整えやすいもの、使いやすいものを選ぶことが大切です。
爪への負担を減らすには、爪の巻き(アーチ)の具合を基準に、爪切りを選ぶといいです。爪を指先から見るとカーブを描いた断面をしていますが、“巻き”とはそのカーブのこと。巻きが強いほど爪を切る際、アーチを潰すようになってしまいがちです。少しずつ切ることで負荷を抑えることができますが、爪の巻きが強い場合は、爪を切る際に負荷がかからないように、アーチを潰しにくいタイプの爪切りを選びます。
では具体的にどのタイプを選べばいいか説明する前に、爪切りの種類をご紹介しましょう。一般的な爪切りはテコ型と呼ばれるもので、刃先の形状によって、カーブ刃、直線刃、斜め直線刃、アーチ刃、凸刃の5種類にわかれます」
●カーブ刃タイプ
大抵の方が使っているのがこのタイプです。上から見ると、刃先が爪切りの側に向かってカーブしています。
●直線刃タイプ
刃先は直線の形状で、少しずつ細かく切ることができます。
●斜め直線刃タイプ
刃先が斜め直線で、切る部分が見やすいのが特徴。直線刃タイプと同じく、少しずつ細かく切ることができます。
●アーチ刃タイプ
上から見たときにカーブ刃と同じように刃先がカーブしていますが、正面側もカーブ形状をしています。そのため、爪をはさみやすく、切断力も増して爪への負荷が軽減できます。
●凸刃タイプ
カーブ刃と逆で、刃先が外側にカーブしています。巻き爪など巻きの強い爪を切るのに適しています。
「『このぐらい巻きが強いと、このタイプ』といった線引きはされていません。ですので、まずは実際に爪を切ってみて、ご自身の感覚で選ぶのがいいと思います。試す際は爪の中央部分を切ってください。最初にカーブ刃で切ってみて、爪が潰れるような圧を感じたら、直線刃にしてみる。それでも圧を感じるならアーチ刃、凸刃にしてみる、というように選びましょう」
【爪の巻きの強さと、爪切りの種類】
(巻は普通)カーブ刃 < 直線刃 < アーチ刃 < 凸刃(巻が強い)
「さらに、巻きの強さに関わらず、どんな方でも、爪は端にいくにつれて巻きが強くなる傾向があるので、負荷を抑えるために少しずつ数回に分けて切ることをおすすめします。また、角を切りすぎてしまうことがよくあります。角を深く切ると巻き爪になる場合もありますので、爪の両端を切る際は、少しずつカットできる直線刃か斜め直線刃タイプを使うといいでしょう。2タイプの爪切りを切る箇所に合わせて使い分けるということです。巻きが強くない一般的な爪の方は、カーブ刃と直線刃をセットで使うのが理想的です。
また、テコ型のほかに、爪切りにはニッパー型とハサミ型があります」
お悩みを解決する、画期的爪切り
「視力が低下して指先が見えにくい、足の爪を切るときの前かがみの姿勢がつらいなど、爪切りにお悩みを抱える人もいます。そんな方々に向けて、爪を切るのが楽になる工夫を凝らした爪切りもあるんです」
●お悩み1:前かがみの姿勢が取りづらい
●お悩み2:視力が落ちて、指先が見えにくい
●お悩み3:体が硬く、爪を切る姿勢がつらい
適切なサイズは?
「サイズ選びも大切です。大きくなればなるほど、テコの原理で切断力が上がることを利用しながら爪の硬さや厚み、大きさに合わせて選ぶといいでしょう。
Sサイズは細かい作業がしやすく、小さい爪も切りやすいという利点があります。コンパクトで携帯にも便利ですね。Mサイズは、手に持ちやすく切断力も十分にあります。一般的な大きさで種類も豊富に揃うから、メインの爪切りはMサイズから選ぶといいでしょう。Lサイズは、足の親指の爪など、硬い爪や厚みのある爪を切るのにぴったりです。
巻きが強くない一般的な爪の方は、Mサイズのカーブ刃とSサイズの直線刃を持っておくのがいいかと思います。手が大きい方は、両方ともMサイズで揃えてもいいですね」
ギフトにも喜ばれる爪切り
「爪切りをプレゼントとしてお求めになる方も多いです。弊社ではさまざまなタイプの爪切りを用意していますが、誰にでも喜ばれて気軽に贈ることができるタイプを選んでみましたので、ご紹介させていただきますね」
●包丁でお馴染みの「関孫六」ブランド
●爪の形を美しく保ちたい方に
「自分の爪の形状に合った爪切りを使うことが、爪を健康に保つ第一歩です。どうぞ選ぶ際の参考にしてみてください」
<撮影/山川修一 取材・文/諸根文奈>
浅見 芽生子(あさみ・めいこ)
貝印株式会社の社内資格である、包丁・ツメキリのマイスター資格と、ハサミのアドバイザー資格を保有。2017年にツメキリのマイスター制度の立ち上げメンバーに加わり、2018年にはJNECネイリスト技能検定3級を取得。爪の健康を保つためのケアを自分でできる方法を広く普及することを目指し、ツメキリの選び方や爪の正しい切り方を確立。講習、実習を通して啓蒙活動を行っている。ツメキリの啓蒙活動のほかに、包丁マイスターとして包丁研ぎのサービスにも従事する。