オンラインレッスンで、ご縁をつなぐ
京都と東京で料理教室を主宰する、小平泰子さん。行き来しにくくなったコロナ禍、オンラインレッスンをスタートしました。うれしいのは、京都の食材を届けてくれること。日頃からお付き合いのあるお店から仕入れ、お家で動画を見ながら料理してもらいます。
もともと遠方から通う生徒さんも多かったので、とても喜ばれているそうです。月替わりレッスンと、季節の一品をつくるアラカルトレッスンがあります。スタートから1年半、参加者の声を聞きながら、ブラッシュアップしてきたそうです。
野菜は、朝採りの新鮮なものを扱う、八百屋「みどりなす」から。たとえば夏なら賀茂茄子、万願寺唐辛子といった京野菜を使います。白味噌は長年愛用している、「しま村」から。胡麻豆腐のレッスンは「有次」の流し缶をセットにして。
遠方では手に入りにくい材料が届いて、お家でつくって、家族と食べられるのがうれしいところです。
「対面レッスンでは、その場にいらっしゃる方としか共有できなかったけれど、遠方の方とつながれて、食材や道具の作り手、お店のことを広く知っていただけるのは、オンラインならでは。信頼しているお店、作り手にも、ご縁が巡るのがすごくうれしくて」と、小平さん。
オンラインを通して、いいご縁が巡っています。
さて、私も6月のオンラインレッスンに参加! 季節の5品をつくってみました。
6月のお献立は……
おかひじきと湯葉のナムル
ヤングコーンと新生姜、鶏肉のご飯
山椒のポテトサラダ
白味噌の冷たいお汁
賀茂茄子と山椒、牛肉の煮物
ポテトサラダはマヨネーズを使わず、ヨーグルトをベースに和えて、塩茹でした実山椒をアクセントに。とても軽やかで、初夏にぴったりの美味しさ。白味噌仕立てのお汁も、冷たくするとスープのようで、新鮮な驚き!
賀茂茄子や白味噌など、つい型にはまった食べ方をしてしまうけれど、なるほど! こんな料理に! と目からウロコ。京都の人にとってもわくわくする工夫、さすが、子どものころから好奇心旺盛なおいしいもの好き(前編をぜひ)、感嘆の連続でした。
家なら自分のペースでできて、家族にも食べてもらえるからいっそう、気持ちも高まる……オンライン、アリです!
人生の先輩から、受け継いでつなぐ
さて、小平さんがこれから本腰を入れてやっていきたいこと、それは人生の先輩たちへの聞き込み。ご年配の方々が、どんなものを食べてきたか、ハレの日ケの日の、ありのままの食卓を知りたいと思っています。
「心を動かされるのは、日常の中のこと。目新しいものよりも、日常の中で淡々と続いてきた知恵や工夫が知りたい。
そんな話すようなこと、何にもないわって、たいてい言われるんですけど、おじいちゃん、おばあちゃんがやってきはったことに価値があると思うんです。
うちのおじいちゃんのふりふりポテトみたいな、本当に何気ないお話が聞けたらうれしい。そのまま誰にも受け継がれへんなんて、もったいないと思うから。最近、錦市場の方と茶話会の約束したところなんです。お話ししてくださる方、募集中です」
知恵と工夫を受け継いで、美味しく、楽しく。祖父母仕込みの、好奇心は増すばかり。小平さんのバトンリレーはつづきます。
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小平泰子(こひら・やすこ)
料理家。京都・烏丸三条と、東京・日本橋にて料理教室主催。オンラインレッスンでは京都の食材を届けてレクチャー。オンラインショップではお惣菜や愛用の調味料などの販売も。著書『京都おかず菜時記』(京阪神エルマガジン社)など。
インスタグラム:@yasukokohiragokan
写真提供/小平泰子料理教室 五感食楽
宮下亜紀(みやした・あき)
京都に暮らす、編集者、ライター。出版社にて女性誌や情報誌を編集したのち、生まれ育った京都を拠点に活動。『はじめまして京都』(共著、PIE BOOKS)ほか、『本と体』(高山なおみ著)、『イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由』(イノダコーヒ三条店初代店長 猪田彰郎著)、『絵本といっしょにまっすぐまっすぐ』(メリーゴーランド京都店長 鈴木潤著、共にアノニマ・スタジオ)など、京都暮らしから芽生えた書籍や雑誌を手がける。
インスタグラム:@miyanlife