誰もが安心して食べられるパンづくり
今年の春、用賀に誕生した「メゾンクロス」は、栃木の「ペニーレイン」、六本木の「ジョエル・ロブション」と、名だたるパンの名店で修業を積んだ黒須貴仁さんのお店です。無農薬小麦をはじめ、からだにやさしい食材にこだわりつつも、独創的で繊細な味わいのパンが揃い、オープン後瞬く間に、行列のできる人気店に。
食材選びにこだわり、小麦は無農薬と低農薬、ふすまは栃木県産無農薬を使用。油は、低温圧搾のオリーブオイルと一番搾りの米油を、塩と砂糖は、ミネラルの精製度が低い沖縄の海水塩、含蜜糖を使います。
「とくに、糖分の摂りすぎは体によくないので、極力おさえたいけど、おいしいものにしたくて」と、餡パンに使うあんこは、京都の老舗の製餡所「山梨製餡」さんとともに一年がかりでつくりあげたオリジナル。豆の味がくっきりしつつ、上品な甘さが広がります。
「パンの発酵には、イーストを使っています。自家製酵母にしようかとも考えたんですけども、僕個人の考えでは、そこにこだわるより、無農薬の食材や無添加のソースとかにこだわったほうが、健康につながるかなと」
黒須さんの弟さんは、山梨県で低農薬の桃づくりをする桃農家だそうで、その桃を使ったのが「桃とパッションフルーツ(季節限定)」。いただいてみると、白桃の甘さを酸味のあるクリームが引き立て、たまらないおいしさです。
「兄弟合作です(笑)。甘いバターミルククリームにパッションフルーツのエキスを忍ばせ、酸味を加えてあります」
「お店のコンセプトでもあるんですけども、次世代の子どもたちにも安心して食べてもらえるようなパンをつくっていきたいと思っています。少しでも多くの方にうちのパンを食べてもらえるように、いつか別の場所にも店を出せたらいいな」と今後の夢を話してくれた黒須さん。
体のことを思って選んだ食材を使い、おいしさも追及したパンは、手にとった瞬間から一口一口大切に味わって食べたいと思わせてくれるパンでした。
<撮影/山川修一 取材・文/諸根文奈>
メゾンクロス
03-6336-5204
10:00~18:00
日・月休み
東京都世田谷区用賀4-28-20 1F
最寄り駅:東急田園都市線「用賀駅」
https://www.instagram.com/maison_kurosu/