• 台湾発の靴下ブランド「+10・テンモア」が皆さんを台湾への空想旅行へとお連れする「テンモア旅行社」。今回はちょっと特別に​​、「+10・テンモア」が東京・八王子にある染色工場を訪れた時の様子をご紹介します。台湾人の彼女たちの目に、日本の姿はどのように映ったのでしょうか?

    こんにちは、ナビゲーターの陳小爵(チェン・シャオジュエ)です。

    私たちが日本のテキスタイルブランド「JUBILEE」のデザイナー・シミズダニヤスノブさんと知り合ったのは2017年のこと。

    それからずっと連絡を取り合い、台湾と東京を行き来してお互いにとって大切な場所を紹介し合ったり、旅に出たり、「何か一緒に楽しいことができたらいいね」と可能性を探ってきました。

    画像: 「JUBILEE」のデザイナー、シミズダニヤスノブさん

    「JUBILEE」のデザイナー、シミズダニヤスノブさん

    それから4年経った2021年の秋冬、ついにコラボレーションしたプロダクトをお披露目できることになりました。

    本当は昨年日本で展示会を開催しようと場所までお借りしていたのですが、コロナ禍でキャンセルせざるを得ませんでした。それでも、皆さんに私たちのおもしろい取り組みをお見せできるよう準備していますので、ぜひご期待くださいね。

    というわけで、今回は2019年7月と、2020年の1月の二度にわたり、ダーニー(シミズダニさんの愛称)が私たちを連れて行ってくれた八王子の染色工場「奥田染工場」へと、皆さんをお連れします!

    染色工場「奥田染工場」

    画像1: 染色工場「奥田染工場」

    八王子にある「奥田染工場」は、ダーニーが大学生の時に染色を教わった奥田先生の工場で、家族のように長年の付き合いを続けています。

    いまは奥田先生の息子のヒロさんが四代目として工場を継いでいて、私たちはヒロさんのことが大好き。これまでに2度、この場所を訪れています。

    画像: 「奥田染工場」四代目のヒロさん

    「奥田染工場」四代目のヒロさん

    2020年には「JUBILEE」と一緒にプロダクトを製作するため、サンプルを見てから実際に色を染めてもらうなどしました。

    工場で働く皆さんはとても優秀で、自分の仕事に情熱を持っていて、細かいことを討論している時もすごく楽しそう。

    画像: 染料やサンプルを見せてもらった時にはとても興奮しました

    染料やサンプルを見せてもらった時にはとても興奮しました

    少ない量しかプリントできない私たちにも、奥田染工場の皆さんは惜しみなく技術のことを教えてくれました。まずはサンプルの布で何度も試してみて、納得いくものになったら大きな布を染めるんです。

    担当してくれた職人さんの知識と技術が素晴らしくて、私たちはこっそり「色調の魔女」と呼んでいます。

    画像2: 染色工場「奥田染工場」
    画像: 色調の魔女さん

    色調の魔女さん

    画像3: 染色工場「奥田染工場」

    私たちとダーニーは、言葉はあまり通じないけれど、自分たちがデザインするものを作る過程をしっかり理解することを大切にするというものづくりへの姿勢が同じなので、言葉がなくても通じ合える大切な友人です。

    ヒロさんたちから様々な染色方法とそれぞれの特徴を教えてもらってから、染色方法を決めて、それに合わせてデザインを変更などもしました。

    画像: 私たちのデザインが布の上にプリントされました!

    私たちのデザインが布の上にプリントされました!

    奥田染工場では染色の教室「奥田塾」を開いているので、興味がある方はぜひ参加してみてくださいね。

    奥田染工場
    住所:東京都八王子市中野上町1-12-14
    電話番号:042-622-2594
    営業時間:9:00~12:00、13:00~18:00 
    定休日:土・日曜、祝日

    奥田染工場の近くにある「つくるのいえ」

    ヒロさんは工場とは別に、改装した古民家でものづくりをする人々がつながるための「つくるのいえ」という場所を運営しています。そこにはいまはなくなってしまった織物工場から引き取った大量の布サンプルが保管されていて、「なんてすごいの! いつまででも見ていられる!」と、涙が出そうでした。

    私たちは奥田染工場に行く度に必ずそこに滞在する時間を設けます。

    画像: ヒロさんが運営する「つくるのいえ」

    ヒロさんが運営する「つくるのいえ」

    画像: 布サンプルがまとまったファイル

    布サンプルがまとまったファイル

    画像: サンプルにくぎづけな私たち

    サンプルにくぎづけな私たち

    いまはなくなってしまった工場が残したサンプルを見ていると、技術も知識もあることがよくわかります。日本でも工藝が失われていることを感じました。

    そしてそれは、台湾の靴下産業と同じです。

    私は、職人さんとは手でつくる人だけではないと思っています。機械とコラボレーションできる人も、立派な職人さんです。

    けれど、機械の取り扱いが分かる職人さんは、どんどん少なくなってしまいました。初めて工場を訪れた日の夜は、そんなことが頭から離れず、眠れませんでした。

    画像1: 奥田染工場の近くにある「つくるのいえ」

    ヒロさんのお母さんが作ってくれたカレーをみんなで一緒に食べたのも、とてもよい思い出です。ちなみに私たちはダーニーがやきもちを焼くくらい、ヒロさんのことを大好きになったんですよ。

    私たちはダーニーとヒロさんから、紡績の街として栄えた八王子に、いまも素晴らしい技術と知識を持った染色工場と職人さんがものづくりに真剣に向き合われていることを教わりました。

    つくるのいえ
    住所:東京都八王子市中野上町1-20-10
    電話番号:050-5327-8355

    * * *

    「+10・テンモア」と「JUBILEE」のコラボレーションももうすぐお披露目できるので、どうぞご期待ください! 詳細は以下をご覧ください。

    「+10・テンモア」と「JUBILEE」のコラボレーション「イシンデンシン」

    台湾の靴下ブランド 「+10・テンモア」と、日本のテキスタイルブランド「JUBILEE」のコラボレーションアイテムが日本と台湾で同時発売(11月下旬ごろ)されます。

    画像1: 靴下ブランド「+10・テンモア」が台湾をご案内!
テンモア旅行社
vol.16 特別編:東京・八王子の染色工場

    テーマは「オノマトペの研究」。

    第一言語が異なるわたしたちにとって、大事なコミュケーションツールの1つである擬音語・擬態語。

    「+10・テンモア」は日本語のオノマトペから、「JUBILEE」は台湾語のオノマトペから、それぞれにとっての外国語をお互いリサーチし、音の響きやある様態を靴下とテキスタイルに写しとりました。わたしが感じることを、あなたはどのように感じ、どう表現するのか。

    実験が好きなわたしたちの実験的コラボレーション!

    画像2: 靴下ブランド「+10・テンモア」が台湾をご案内!
テンモア旅行社
vol.16 特別編:東京・八王子の染色工場
    画像3: 靴下ブランド「+10・テンモア」が台湾をご案内!
テンモア旅行社
vol.16 特別編:東京・八王子の染色工場

    「TAIWAN HOT MINUTE ー台湾の料理と雑貨と音楽たちー」で商品を先行販売します。
    日時:2021年10月2、3日 11:00-17:00
    会場:BONUS TRACK@下北沢
    住所:東京都世田谷区代田2-36-15
    ※オフィシャルサイトなどでも、11月下旬から商品を販売予定。



    画像2: 奥田染工場の近くにある「つくるのいえ」

    +10・テンモア

    2012年に台湾で設立された靴下ブランド。日本語で紹介された書籍に『+10 テンモア台湾うまれ、小さな靴下の大きな世界(トゥーヴァージンズ)』がある。2016年から毎年春夏には台湾に生息する海の生き物をモチーフにしたデザインを発表。4月15日に登場する2021年春夏の新作シリーズは『micro-』と題し、宇宙の中で孤独な物質はなく、アメリカの思想家ヘンリー・ソローが「野性の中に世界は保存される」と語っているとおり、すべてが関連していると説いている。

    日本語オフィシャルサイト
    https://www.10moresocks.com/?Culture=ja-jp

    日本からは通販サイト「Pinkoi」でも購入可能
    https://jp.pinkoi.com/store/10moresocks

     

    取材・文/近藤弥生子(こんどう・やえこ)
    2011年2月より台湾在住の編集・ライター。日本語・繁体字中国語でのコンテンツ制作を行う「草月藤編集有限公司」を主宰。台湾で妊娠・出産後に離婚し、シングルマザーとして6年間過ごしたのち、台湾人と再婚。現在2児の母。ブログ『心跳台湾』で台湾での暮らしを綴っている。初の著書『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』(ブックマン社)amazonで見る が発売になったばかり。
    http://www.yaephone.com/



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