保護犬とはぐくむポジティブで豊かな暮らしをご紹介。イラストレーター・オカタオカさんが、2020年7月に家族として迎えた臆病な元保護犬「アビー」との一喜一憂の日々をつづります。今回は、アビーを連れて帰省したときのお話です。
アビーを連れて、妻の実家へ帰省
はじめての海!
アビーがだいぶ車にも慣れてきた3月、思い切ってアビーを連れて妻の実家の静岡へ帰省することにしました。
出発当日、朝4時前起床。あいかわらずアビーは車には寄りつきませんが、車内では震えなくなってきました。東京を出発し、高速を順調に進んでドッグランのある足柄SAで散歩がてら休憩。8時ごろ静岡・御前崎に到着します。
はじめて見る海に、はじめは恐る恐るのアビーだったのですが、海のにおいでスイッチが入ったのか、そこから興奮気味に!
いつもよりリードをぐいぐいと引っ張り、先へ先へと突き進んでいきます。
海鳥の骨や、砂まみれの海藻、干からびたなまこ(?)をくわえたりして海を満喫していました。
ついこないだ洗ったばかりのサラサラヘアーが潮風と砂でベタベタになってしまいましたが、こうしてアビーの新たな一面を見れるのはとても嬉しいものです。
ここはどこ? プチパニック
そこから車で30分ほどの妻の実家に到着。出迎えてくれたお母さんを警戒し、車内からウォンウォンと吠えるアビー。大人しいと聞かされていたお母さんは驚いた様子でしたが、なんとかアビーを抱えて家に入ります。
一方アビーは、あなたたちは誰? ここはどこ?? とパニックになり家の中をひたすらウロウロ。とりあえず庭に放して落ち着かせることに。(庭は小さめのドッグランといった広さで、なんと事前にお父さんが脱走防止の柵を立ててくれていました)
ひかえめにとぼとぼ歩きまわって木陰に入り、ゴロンと横になるアビー。しばらくするとロングドライブとはじめての体験に疲れてしまったのか、なんとそのままスヤスヤ眠りだしてしまいました。
その後は部屋へ戻ってもまったく落ち着かず……リビングの隅にいつものベッドを置くとようやく落ち着いてくれました。
動物好きのお母さんに翻弄され……
少しほっとしたのも束の間、そこへやってきたのがお母さん(とても動物好きで、子供の頃、犬や猫、さらにヤギや鶏とも暮らしていたそう)。アビーが来るのをとても楽しみにしていたようなのですが、アビーはそんなこと知る由もありません。
お父さん、お兄さんはアビーを驚かさないようにできるだけ静かにしていたのですが、お母さんはアビーを撫でたりブラッシングをしたりとお構いなし。
最初はガチガチに固まっていたアビーも次第に慣れた(諦めた?)のか、途中から“無”の状態に。「この子本当は撫でられるのが大好きだよ」というお母さんの言葉には妙な説得力がありました。
小さな冒険を終え、次の夢が芽生える帰路
次の日は朝からあいにくの雨だったのですが、雨が弱まった隙に庭に放って散歩。前日よりは小走りで少し楽しそうにしていました。
妻の実家に少しだけ慣れてきたかな……というタイミングで東京へ戻る時間に。途中まで順調でしたが、高速が事故渋滞で3時間以上の遅れが出ていたので、足柄SAで休憩しました。
少し眠かったこともあり、渋滞が解消されるまで車で眠ることに。後部座席を倒しフルフラットにして僕、アビー、妻で川の字で眠ったのですが、思ったよりも快適に過ごせました。(車中泊を視野に入れて手に入れたVOLVOでしたが、何気に寝たのはこれが初めてでした)
ということは、そのうちアビーとキャンプできる日も近いね! などと妻と盛り上がりながら、家路についたのでした。
日々アビーと一緒にできることが少しずつ増えて、喜びを感じながら暮らしていますが、これも保護犬を迎えた人の特権の一つなんじゃないかなと思う今日この頃です。
オカタオカ
犬と車が好きなイラストレーター。宮崎生まれ、鹿児島育ち。現在は東京都在住。桑沢デザイン研究所卒業。雑誌や書籍などを中心にイラストレーションを手がける。バンド“すばらしか”の加藤寛之とのポッドキャスト番組『クルマのふたり』も配信中。
インスタグラム:
@okataoka(イラストレーション)
@abbie_in_the_life(保護犬日記)
犬を飼いたいと思ったときに、ペットショップで「買う」だけでなく、保護犬を「迎える」という選択肢もあるということを広く伝えたい。そんな思いから生まれた1冊です。
保護犬を実際に迎え入れた方々の、ありのままの暮らしを楽しく伝えることで、保護犬たちの魅力を伝えるとともに、少しでも保護犬を迎えるきっかけとなればと願っています。