(『天然生活』2021年3月号掲載)
住 伝統とモダンが融合した住まい
東京からの移住にあたりヨナさんが選んだのは、現代の京都にふさわしい建売住宅のモデルとして、コンペで選ばれた循環型の家。京町家らしい土間や箱階段がありつつ、間取りや設備には最新鋭の技術や工夫が。町並みとの調和や、地場産業と伝統工芸の活性化も意識した、サスティナブルな知恵が盛り込まれています。
都内のマンションから、夫の故郷である京都に移住して11年。現在、ヨナさんがご主人と暮らすのは、〈京都まちなかこだわり住宅〉として建築家・魚谷繁礼(うおやしげのり)さんが設計した住まいです。
現代の京都にふさわしい建売住宅のモデルとしてコンペで選出された案で、京町家の魅力や特徴と、現代ならではの快適さや利便性が見事に融合しています。
京都産の木材や瓦など、地元の素材が意識的に使われているのも特徴だそう。
「愛猫のアキちゃんも私と一緒に東京から移住したのですが、新幹線での移動中は具合が悪そうだったのに、木の空間が心地よかったのか、到着したらすぐにリラックスして体を舐め始めたんですよ」
京都の産業や伝統を現代に生かし直す空間
さらに、京焼をタイルのように埋め込んだ床や、漆が塗られたパネル、京組みひもをあしらった箱階段など、室内の意匠も伝統工芸の活性化や持続化を意識したもの。
「最近は1階にある6畳の和室を寝室にしているのですが、天井や建具に西陣織の帯がはめ込まれてるんです。私の仕事もオーガニックコットンという、いわば織物ですよね。眠る前に西陣織を眺めると『京都で織物をやっていくわ』と決意を新たにできるんです」
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〈撮影/ヨシダダイスケ 構成/鈴木理恵(TRYOUT) 取材・文/野崎 泉〉
北村ヨナ(きたむら・よな)
プレタポルテのデザイナーを経て、2008年よりオーガニックコットンを主軸とするブランド「ナデル」主宰。日常着のほか、ウェディングラインも手がける。翌年に夫の故郷の京都に移住し、京都市役所前駅近く河原町通りに直営ショップをオープン。大阪の「阪急うめだ本店」にもショップがある。
https://www.nadell.jp/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです