会いたいときに自由に犬とふれあえる「セラピードッグハウス」
これまでセラピードッグが活躍する場所としてご紹介した、福祉施設、被災地、図書館、そして闘病中の子どもたちが入院する小児病院のほかにもうひとつ、兵庫県伊丹市にある日本レスキュー協会の敷地内に「セラピードッグハウス」という施設があります。
今回はこの施設について紹介させてください。
ここでは遊びにきてくださった方が自由にセラピードッグとふれあえる、「来場型のドッグセラピー」を体験することができます。
たとえば、愛犬を亡くされてからずっと悲しみから抜け出せない方、引きこもりや心の病気をお持ちの方、ただただ犬が大好き、という方など、セラピードッグに会いたいと足を運ばれる方の理由はさまざまです。それぞれのご要望をお伺いして、あとは自由にふれあっていただきます。
周りの人の目を気にせず、思いっきりセラピードッグとふれあえる、というのがよいのだと思います。
そんな自由な空間ですので、お行儀のよいお仕事モードのセラピードッグだけでなく、完全OFFモードの無邪気な彼らの姿も、みなさん大変喜んでくださいます。
大阪母子医療センターで交流のあった子どもたちのなかには、「退院したら遊びに行くね」と言ってくれる子がいて、いつか元気に会いに来てくれることを、スタッフみんなでとても楽しみにしています。
必要とされている方がいつでもドッグセラピーを受けられる社会を目指して
もっとたくさんの方にセラピードッグの魅力を知っていただけたら……と、日々活動を続けていますが、被災地や大阪母子医療センターのような小児病院などではとくに、ドッグセラピーの導入までスムーズに進まないのが現状です。
すでに多くの医療現場においてセラピードッグが活躍している欧米とちがって、なぜ日本ではアニマルセラピーが普及しないのか、どうすればもっと広がるのか。
補助犬(盲導犬や介助犬、聴導犬)のように法に基づき認定されなければ、医療や教育の現場でセラピードッグが活躍することは難しいかもしれません。
私たちが願うのは、必要とされている方がいつでもドッグセラピーを受けられる社会になることです。それにはまだまだ多くの時間がかかるかもしれません。
これからも私たちは日々、この課題と向き合い解決するためにセラピードッグと共に活動していきます。
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全6回のこの連載も今日で最終回となりました。
拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
たくさんの読者の方に「日本レスキュー協会で活動するセラピードッグ」について知っていただく絶好の機会だとはりきりながらも、私ひとりではとても心許なく、セラピードッグのことを1番知ってくださっている大阪母子医療センターの平山先生、そして子どもたちとご家族にお願いし素敵なメッセージをいただきました。
この連載を通して、今までセラピードッグのことを知らなかった方が、少しでもその存在や効果について知っていただくことができたなら、そしてご家族やご友人に「こんな活動をしている犬がいるらしいよ」と伝えていただけたらとてもうれしいです。
みなさんの応援が、セラピードッグの活動の輪を広げる力になります。
セラピードッグハウスの改修工事について
現在、セラピードッグハウスの改修工事のため、クラウドファンディングに挑戦中です。バリアフリートイレの設置や入口をスロープ仕様にするなど、今よりずっと素敵な施設になる予定です。よろしければ、セラピードッグの活動を応援してください。
■READYFOR「セラピードッグとふれあえる施設の改修工事を実施したい」
赤木 亜規子(あかぎ・あきこ)
日本レスキュー協会でセラピードッグと一緒にお仕事しています。
https://www.japan-rescue.com/
インスタグラム:@japanrescue