(『天然生活』2020年6月号掲載)
「いつもの自分」にひと技を加えて
スタイリストとして長年仕事をしてきた経験から、同じアイテムも、コーディネートによって印象がガラリと変わったり、新鮮な気分で袖を通すことができることを実感しているという大橋さん。
ご自身が手掛けるブランド「フルーツ オブ ライフ」でも、着こなし方で、それぞれの人の個性に添う服を発表しています。
「おしゃれだなあと思う人は、同じ服を着ていても、襟を立てたり、袖を少しまくったりと、鏡を見ながら微調整して、“こなれ感” を出すのがとてもうまい。おしゃれに見えるかどうかって、全身から何となく伝わる “雰囲気” なんだと思います」
ふわりと揺れる服をまとうと、いつもよりしぐさが上品になり、女性らしい印象になります。ストンとシンプルなシルエットの服は、肩から下げるバッグでアクセントをつけると、着こなしがまとまりやすくなることも。
単純なアイテム選びや組み合わせ方というより、何となく感じられる「雰囲気」や「印象」が鍵なのです。
「服を着たら、鏡をよく見るのがやはり大事。当たり前すぎることですが、大切な基本だと思います」
大橋利枝子さんの
おしゃれのひと工夫
ひと工夫1
バッグをかけてシルエットに変化を
「ロング丈のワンピースやコートを着て、間延びしてコーディネートが決まらない気がするときは、ポシェットやショルダーバッグをかけるのがおすすめ」。
平板なシルエットに立体感が生まれ、バランスが取りやすくなるそう。
ひと工夫2
持っていなかったアイテムを選ぶ
たとえばベスト、たとえばオールインワンなどなど、「いままで買ったことがなかった」というアイテムをひとつ取り入れてみると、とたんにコーディネートの幅が広がるもの。
食わず嫌いをやめ、柔軟にアイテム選びをするように。
ひと工夫3
人からのおすすめを取り入れる
こちらはとあるファッション業界の大御所に選んでいただいたという「メゾン マルタン マルジェラ」のジャケット。
「好みが変わらないので、つい同じような服を選びがち。信頼する人の視点を借りると、新しい扉が開いたりします」
ひと工夫4
揺れる素材で雰囲気をつくる
「ふわりと揺れる素材の服は少し離れたところから眺めると、すごくエレガントに見えます。友人たちと “羽衣効果” なんて呼んでいるんですよ(笑)」
リヨセル素材のスカートは動くたびに余韻が残り、展示会でも大人気だったとか。
〈撮影/安彦幸枝( 取材・文/田中のり子〉
大橋利枝子(おおはし・りえこ)
デザイナー、スタイリスト。2018年にブランド「fruits of life」を立ち上げる。著書に『おしゃれって いいもの』(文化出版局)など。
https://fruitsoflife.net/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです