• 子育ての悩みや日常生活のちょっとしたイライラ、みなさんどんな風に解決していますか。京町家に家族4人で暮らし、洋服づくりを手がける美濃羽まゆみさんは、仕事に家事に忙しい毎日も自分のペースでごきげんに楽しんでいるようです。個性豊かな子どもたちとの向き合い方や日々の小さな心がけ、気持ちの整え方……。美濃羽さんが日ごろから大切にしていることをお聞きして、“ごきげんに暮らすヒント=ごきげんスイッチ”を探っていきます。今回のお話は「子どもへかける言葉」について。子どもがふてくされたり、イライラしているとき、どんな声かけをしているのでしょう?

    子どもの「しょぼん、イライラ」に、私たち親ができること

    うまくいかないことがあって、子どもがいじけてしまったり、いらだって八つ当たりしたり、日常ではよくあることですよね。

    わが家では自己主張強めのゴン(長女)と空気をさっと読んでしまうまめぴー(長男)、それぞれ性格は違いますが、そういうときは、こちらから積極的に声をかけるということはあえてせず、子どもがマイナスの感情をしっかり感じ切れるまで待つようにしています。

    それには私なりに理由があるんです(もちろん周りに危険が及んだり、自分のことを傷つける場合は待たずに止めます)。

    今回はそんな子どもたちの「しょぼん、イライラ」に、実際私がどんなふうに対応してきたのか、彼らが幼いころのエピソードをお話ししてみたいと思います。

    遊びだって真剣勝負!

    まずは、日常的な遊びの場面で心がけていたことをお話します。

    わが家では、トランプやオセロなど家族でカード遊びやボードゲームをよくしましたが、特に負けず嫌いなのが長女でした。幼いころは負けて悔しがって大泣きしたり、自分が勝つまで何度でもやりたがったり。

    でも、こちらはそれに対してなだめたり機嫌をとったり、というのは特にしなかったですね。私のポリシーはあくまでも「いつだって真剣勝負」。本人が希望すればハンディをつけることもありましたが、相手が子どもだからといって手加減をすることはしませんでした。大人気ないですよねえ~。

    でもそれは、私自身が子どものころに、それをされてすごくイヤだった思い出があるから。子どもだからと手を抜かれるより、対等に勝負してくれたほうが自分が一人前に扱ってもらえた気がしてうれしかったんです。そりゃあ、こてんぱんに負けましたけれど。

    その代わり、自分がわが子に負けたら徹底的に悔しがります。「くやしい~」の最上級の「ぐやじい~!」って叫びながら、ごろごろ床を転げまわってね。

    でもそんな姿を彼らはしっかり見ています。「なんだ、大人って負けても楽しそうだな」って。勝っても負けても、楽しいのがゲームなんだって思ってもらえたら、それでいいんですよね。

    画像: 遊びだって真剣勝負!

    「イヤだ」をしっかり味わうこと

    悔しいとか落ち込んでいるとかイライラするとか、どれもマイナスな感情です。それらは一般的には決して良い状態ではないし、「抑え込むべき」だったり、「我慢するべき」という人までいます。

    けれど私は、そういうものはなかったことにするよりも、逆にしっかり味わい切ったほうがいいと思っているんです。ごまかしたり、誰かのせいにしたりするんじゃなくて、自分の中で「うわあ、イヤだ!!」って感情を隅から隅までじっくりと味わい尽くす。すると、自然と人間揺り戻しで考え方が前に向いてくる気がするし、冷静になれるんじゃないかなって思うから。

    だってね、「しょぼん」も「イライラ」も、「何かに取り組んだから」起こったこと。「チャレンジしたけれどうまくいかなかった」や「うまくいくと思ったのにそうじゃなかった」みたいに、まず子どもの「やりたい!」が最初にあったということに着目したい。

    だから、もし声をかけるとしたら、「〇〇がやりたかったんやな」とか、「〇〇がんばってみたんよな」とかは言ってきたかもしれません。けれど、それ以外は少し距離を置いて、彼らが「しょぼん、イライラ」を自分の中でしっかり消化し終えるまで見守ってきました。

    まめぴーも穏やかそうに見えて、実は姉と同じくけっこう負けん気が強いんですが、彼は負けそうになったら盤面をしれっとひっくり返したり、「つまらんからやめた」とか言って、自分勝手に勝負をやめちゃうタイプ。でもそうやって自分を守るのも一つの方法ですよね。

    ふてくされるのは「相手にしてほしい」という甘えなので、それに対しては応じません。そういうときは、「ダメでしょ」とか「勝負は最後までやりなさい」は言わないで、ただ「わかった、あなたはもうやらないんやね」と言っておしまい。「不きげんになってもメリットはない」ということは、それで十分伝わると思うから。

    案の定、ほかのメンバーでわいわい楽しくやってたら、またこそっと参加してきたりしてね。そんな積み重ねがあって、少しずつではありますがお互い平和に勝負事を楽しめるようになっていったように思います。

    ちなみに、今や二人ともボードゲームはむちゃくちゃ強くて、長女とのオセロは小学校中学年ぐらいからずっと勝てたことはないぐらい。できたらちょっとくらい私にハンディをつけてほしいなあ~。

    殻にこもっちゃう系でした

    そういう勝負ごととは別に、たとえば何もしていなくても、成り行きでちょっとおもしろくないことが起こったり、思いもよらない事態になって急に子どもが不きげんになっちゃうことも、よくありますよね。幼いころは、大人が理由を説明してもなかなかわかってくれなくて、かんしゃくを起こす場合もあると思います。

    ASD気質(臨機応変な対応が苦手な特性。ルールをしっかり守るため、周囲から「融通がきかない」「がんこ」などと思われやすい)のある娘のかんしゃくのもとは、だいたいの場合「急な予定変更」でした。友人と遊ぶ約束をしていたのに急にキャンセルになった、週末に外食しようと思っていたレストランが臨時休業だった、などなど…。「こうするはずだったのに」というあらかじめ立てていた見通しが急な変更でくずれてしまったとき、次にどうすればいいのかがわからなくなり、パニックに陥ってしまうんです。

    彼女の場合はかんしゃくといっても、いわゆる泣きわめいたり物を壊したりという感じではなく、顔色が青白くなって目がうつろになり、狭いところにもぐり込んでしくしく泣き始めるというパターンでしたが、こうなると、もう大変!少なくとも1時間、長い時は半日以上その状態が続くんです。

    これには手を焼きましたね。なだめてすかしても、まさにのれんに腕押し。もちろん叱りつけようものなら、より深い殻に閉じこもってしまうので禁物。しばらく経って落ち着いてきて「殻から触角出てきたかな?」というタイミングを見計らって、「今から行く場所で〇〇ができるらしいよ!」みたいに、次の見通しがつけられるように声をかけると、やっと一歩足が出てくる、といった具合でした。

    旅行やお出かけなどでは、あらかじめ「これから〇〇をするけれど、▽▽の影響で××になる可能性があるよ」と伝えておくと、比較的かんしゃくの起こる頻度は下がったかな……(ちょっぴりやけど)。

    画像: 殻にこもっちゃう系でした

    何度も経験したからこそ

    そんな彼女が一人で気持ちが切り替えられるようになったのは、ここ1、2年のことです(現在15歳)。お気に入りのクレープが売り切れていても「アイスにしよ!」とさっと切り替えられたり、弟と喧嘩しても手を出したり泣いたりせず、二人で冷静に話し合いができたり(これは弟のほうの成長もあるかもしれませんが)。

    この前も、うっかりスマホ端末を落として久々にがっくりきていましたが、落ち込むだけ落ち込んだら、気持ちを切り替えて自分なりに対処していたみたい。ネットで調べたのか、PCと連携させて落とし物モードに遠隔操作してみたり、GPSの位置情報から場所を調べてみたり、自ら行動している彼女を見て「おお!」と成長を感じました。

    私が思うには、たぶん、今まで数々のかんしゃくをしっかり味わい切った結果、彼女の中に「早めに切り替えた方が得やな」っていう納得感が生まれたんじゃないかなって。

    その後、スマホは善意ある方のおかげで、10日ぶりに無事に戻ってきました!探し回ったり各所に届けを出したり電話を掛けたりと、今回ゴンはいろいろと大変な思いをしたけれど、「失敗してもなんとかする方法があるんやな」って思えたみたい。そして、何より関わってくれた人たちへの感謝をしっかり感じていたように見えました。

    実は端末をなくす前日、偶然にも「スマホ無くしてもどうにかなるよね~♪」なんて知人にもらしていたゴン。「フラグ回収(自分で予想した通りの結果になること)能力高すぎ!」と親子でツッコンだのでした。

    〈今回のスイッチポイント〉

    「悔しい」も「イライラ」も、「何かに取り組んだから」こそ起こる感情。まずは子ども自身がそれを目いっぱい味わえるよう、見守ってみよう。


    ――― さて、次回のテーマは「子どもがつまづいたとき」について。子どもの挑戦が実らなかったとき、美濃羽さんはどんな対応をしてきたのかお聞きします。お楽しみに!




    〈写真・イラスト・文/美濃羽まゆみ 構成/山形恭子〉

    画像: 何度も経験したからこそ

    美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
    服飾作家・手づくり暮らし研究家。京町家で夫、長女ゴン(2007年生まれ)、長男まめぴー(2013年生まれ)、猫2匹と暮らす。細身で肌が敏感な長女に合う服が見つからず、子ども服をつくりはじめたことが服飾作家としてのスタートに。

    現在は洋服制作のほか、メディアへの出演、洋裁学校の講師、ブログやYou Tubeでの発信、子どもたちの居場所「くらら庵」の運営参加など、多方面で活躍。著書に『「めんどう」を楽しむ衣食住のレシピノート』(主婦と生活社)amazonで見る 、『FU-KO basics. 感じのいい、大人服』(日本ヴォーグ社)amazonで見る など。

    ブログ:https://fukohm.exblog.jp/
    インスタグラム:@minowa_mayumi



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