氷砂糖を常備して、旬のおいしさをびんに閉じ込める
氷砂糖を使った果実酢づくりは、意外と簡単。分量も、氷砂糖、フルーツ、酢を同量ずつと覚えやすいので、梅仕事で使った氷砂糖がキッチンにあるなら、ぜひ挑戦を。一度に大量に仕込まず、使い切れる程度の量をこまめにつくれば、さまざまな果実を楽しめます。
プラムの種を取り除き、皮ごと漬けるプラムビネガーは「果物のなかでも、プラムが大好き」と語るワタナベさんのお気に入り。
「プラム特有の酸味とフレッシュな香りに、氷砂糖のすっきりとした甘さと、りんご酢のまろやかな酸味がよく合います。プラムは熟しすぎないうちに漬け込むのが、酢がにごらず形もきれいに残るのでおすすめ。大石プラムやソルダムなど、プラムの種類を変えてもおいしくできますよ」
ワタナベマキさんの
プラムビネガーのつくり方
旬のプラムが手に入ったら、果実酢にしておくことでおいしさを長期間楽しめます。
「炭酸水やオレンジジュースで割るドリンクは、わが家の夏の定番。ほかにも甘酸っぱさを生かしてドレッシングにしたり、お肉をマリネしたり、チーズケーキのソースとしても使える。まさに万能なビネガーですね」
プラムビネガーと炭酸水を1:3の割合で割り、果肉を加えたビネガードリンクは、目にも涼しくさわやか。
プラムのビタミンや酢のクエン酸、氷砂糖の糖分で疲労回復や夏バテ予防効果も期待できそうです。
材料(約1.5L分)
材料(約1.5L分)
● プラム | 6〜7個(種を取った正味約500g) |
● 氷砂糖 | 約500g |
● りんご酢 | 約500mL |
基本の分量 1:1:1(プラム:氷砂糖:りんご酢)
下準備
保存びんを煮沸消毒またはアルコール消毒する。
つくり方
1 プラムを洗い、水気をふく。へたの部分からぐるりと1周ナイフを入れ、切り込みを入れる。種をよけながら7等分のくし形切りにする。
2 種を取った正味の重さを計り、同じ重量の氷砂糖とりんご酢を用意する。
3 保存びんにプラムの1/3量を入れ、その上に氷砂糖1/3量を重ねる。残りも交互に詰め、一番上に氷砂糖がのるようにする。
4 りんご酢を注ぎ、軽くゆする。ふたをしめて冷暗な場所におく。1日1回、上下に返すようにふり、7〜10日ほど後に、氷砂糖がすべて溶けたらでき上がり。
保存期間
・果肉を取り除き、冷暗所で約1カ月保存可能。
・冷蔵庫では、プラムが入った状態で約1カ月保存可能。
ワタナベさんのひと工夫
● 皮ごと漬けることで、鮮やかな赤色のシロップになる。
プラムビネガーを使ったアレンジレシピ①
ポークソテーのつくり方
こんがり焼いた厚切り豚肉に、プラムビネガーを加えて煮からめる、甘しょっぱさが魅力の一品。
酢の効果で肉がやわらかく仕上がるという、うれしい利点も。加熱してとろとろになったプラム果肉の酸味と甘味が口の中で弾け、豚肉のうま味と調和します。
材料(2人分)
● プラムビネガー(果肉入り) | 2/3カップ(約80g) |
● 豚ロース厚切り肉 | 2枚(300g) |
● 玉ねぎ | 1/2個 |
● パセリ(みじん切り) | 少々 |
● 白ワイン | 大さじ1 |
● しょうゆ | 小さじ2 |
● オリーブオイル | 適量 |
● 塩 | 小さじ1/3 |
● 粗びき黒こしょう | 少々 |
つくり方
1 豚肉は常温に戻し、筋切りをして塩少々(分量外)をふる。
2 玉ねぎは縦薄切りにする。
3 フライパンにオリーブオイルを入れて中火で熱し、1を入れて焼き目をつける。
4 豚肉を裏返し、玉ねぎを加えてしんなりするまで炒める。プラムビネガーを果肉ごと加え、白ワインも加えてひと煮立ちさせる。
5 塩をふり、ふたをして3分蒸し焼きにする。
6 しょうゆを加えて、なじませる。器に盛り、パセリと黒こしょうをふる。
プラムビネガーを使ったアレンジレシピ②
生ハムとカマンベールチーズのサラダのつくり方
ほどよい甘味と酸味をもつプラムビネガーは、オリーブオイルと塩を加えるだけで香り豊かなドレッシングに。
チーズや生ハムなど塩けのある食材と合わせることで、プラムのフレーバーをより一層感じられます。鮮やかな色合いにも、食欲をぐっと刺激されそう。
材料(つくりやすい分量)
● プラムビネガー(果肉入り) | 2/3カップ(約80g) |
● ベビーリーフ | 20g |
● 生ハム | 40g |
● カマンベールチーズ | 50g |
● オリーブオイル | 大さじ1 |
● 塩 | 小さじ1/3 |
● 粗びき黒こしょう | 少々 |
つくり方
1 生ハムとカマンベールチーズは食べやすい大きさに切る。
2 器にベビーリーフと1を盛る。
3 プラムビネガーの果肉を粗くたたき、プラムビネガーとボウルに入れる。オリーブオイル、塩を加えて混ぜ合わせ、2にかける。仕上げに黒こしょうをふる。
ワタナベマキ(わたなべ・まき)
グラフィックデザイナーを経て、料理家として独立。シンプルだけど滋味深く、素材の味を引き出した料理が人気。インテリア、器、ファッションなど、センスあふれるライフスタイルが年代を超えて支持されている。『時間をかけて作りたい料理』(Gakken)ほか著書多数。
インスタグラム:@maki_watanabe
もっと氷砂糖のレシピを知りたい人は
全日本氷糖工業組合 | 旬の果実でおいしく楽しい氷砂糖
氷砂糖でくらしをもっとカラフルに。梅酒づくりでおなじみの氷砂糖は、じつは梅以外の果実とも相性Good。色とりどりのフルーツを使って手づくりを楽しめる氷砂糖の世界、あなたものぞいてみませんか。
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協力/全日本氷糖工業組合
http://www.hyoutou-kumiai.jp/tezukurilife/
〈料理/ワタナベマキ 撮影/林 紘輝 取材・文/河合知子〉