• 季節の移ろいとともに店先に並び、心を弾ませてくれる旬の果物。そのおいしさをびんに閉じ込めて長く味わう方法のひとつに、果実シロップづくりがあります。欠かせない材料といえば、氷砂糖。純度が高くすっきりとした甘さが特徴で、時間をかけて溶けていくので、果物のエキスと風味をしっかり引き出してくれます。料理家のワタナベマキさんに、冬に食べたいきんかんのシロップを教えてもらいました。

    栄養豊富なきんかんのおいしさをびんに閉じ込めて、体を整える

    画像: 栄養豊富なきんかんのおいしさをびんに閉じ込めて、体を整える

    手のひらにのる小さなサイズで、皮ごと食べられる柑橘、きんかん。本格的な寒さを迎える頃から春先までが、きんかんのシーズンです。

    「きんかんは、さわやかな香りと甘酸っぱい風味が大好きです。友人の庭から分けてもらったり、産地からまとめて取り寄せたり。きんかんのシロップづくりは、冬の恒例行事です」と語るワタナベさん。

    「“きんかんを食べると風邪をひかない”というくらい、栄養の宝庫。のどにもいいので、寒い季節にぴったりですね」

    きんかんには、ビタミンC、ビタミンE、カルシウム、ヘスペリジン、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれます。シロップにしておけば長期間保存できるうえ、加熱していないのでビタミンが保たれます。

    「きんかんシロップは、手軽につくれて料理やお菓子にも活用できます。梅酒づくりなどで氷砂糖が残っていたら、ぜひ挑戦してみてくださいね」

    画像1: 冬のうれしい家仕事。きんかんシロップのつくり方と2つのアレンジレシピ|氷砂糖で簡単、果実の仕込みもの/ワタナベマキさん

    ワタナベマキさんが使用したのは……
    完熟きんかん「たまたま」

    きんかん生産量日本一を誇る宮崎県産の上質なきんかん。 樹上で210日以上熟してから収穫するので、糖度16度以上と甘味が強く、皮ごとまるかじりできる。

    ワタナベマキさんの
    きんかんシロップのつくり方

    画像: ワタナベマキさんの きんかんシロップのつくり方

    ツヤツヤと輝く小さな果実が、氷砂糖が溶けていくとともにやわらかくなり、透明感が出てきます。

    毎日びんをゆすりながら、シロップができ上がっていく過程を眺める時間も楽しみのひとつです。

    さわやかさの中に華やかな甘い香りをまとったきんかんシロップは、温かい紅茶に加えてシナモンを添えるのもおすすめ。

    シロップ完成後、きんかんの実はマーマレードのようにやわらかくなるので、パンケーキに添えたり、煮込み料理に加えたりすることもできます。

    材料(約800mL分)

    画像: 材料(約800mL分)
    ● きんかん400g
    ● 氷砂糖400g

    基本の分量 1:1(きんかん:氷砂糖)

    下準備

    保存びんを煮沸消毒またはアルコール消毒する。

    つくり方

     きんかんはへたを取り、洗って水けをふく。

    画像1: つくり方

     きんかんを横2等分に切り、たねをのぞく。

    画像2: つくり方

    ワタナベさんのひと工夫

    ● きんかんのたねをのぞく際には、皮部分を手ではさみ、種を浮かせるようにしてからナイフの先で取るとよい。「たねを取った方が果汁が出やすいので、先に取り除いておきます」

     保存びんにきんかんの1/4量を入れ、その上に氷砂糖1/4量を重ねる。残りも交互に詰め、一番上に氷砂糖がのるようにする。

    画像3: つくり方

     氷砂糖が溶けるまでときどきびんをふり、2週間ほどおく。

    画像4: つくり方

    保存期間

    ・冷蔵庫で、きんかんが入った状態で1〜2カ月保存可能。

    ・常温では、きんかんを取り除き密閉した状態で約1年保存可能。

    きんかんシロップを使ったアレンジレシピ①
    きんかんシロップのファーブルトンのつくり方

    画像: きんかんシロップを使ったアレンジレシピ① きんかんシロップのファーブルトンのつくり方

    フランス北部・ブルターニュ地方の伝統菓子「ファーブルトン」は、もっちりとした生地の食感を楽しむスイーツです。

    フランスではプルーンを入れることが多いのですが、このレシピではきんかんの実を使って清涼感をプラス。

    さくっとした外側、むにっとした中身、シロップがじゅわっとあふれるきんかんの実。大人も子どもも魅了される味わいです。

    下準備

    ・マフィン型に無塩バター適量(分量外)をぬる。

    ・オーブンは180℃に予熱する。

    材料(直径7cmのマフィン型6個分)

    ● きんかんシロップ大さじ3
    ● きんかんシロップの果肉(半割したもの)18切れ
    ● 薄力粉50g
    ● 卵1個(50g)
    ● 生クリーム100mL
    ● 牛乳80mL
    ● ラム酒小さじ2
    ● 粉糖適量
    ● 塩ひとつまみ

    つくり方

     ボウルにきんかんシロップ、溶いた卵、牛乳、生クリーム、ラム酒を入れて混ぜる。

    画像5: つくり方

     薄力粉と塩をふるいながら加え、粉気がなくなるまで混ぜてこす。

     型にきんかんシロップの果肉を3つずついれ、を注ぐ。

     予熱したオーブンで40〜50分焼き、型から取り出し粗熱をとる。器に盛り、粉糖をふる。

    きんかんシロップを使ったアレンジレシピ②
    きんかん白玉のお汁粉のつくり方

    画像: きんかんシロップを使ったアレンジレシピ② きんかん白玉のお汁粉のつくり方

    きんかんの実とシロップを、あっさりとしたこしあんに合わせてお汁粉にしました。

    きんかんとあんこは、驚くほど好相性。白玉団子にはきんかんの実を細かくきざみ混ぜ込んで酸味と香りを効かせます。

    皮部分の食感がアクセントにも。お汁粉は甘すぎずさらっとしているので、きんかんの爽やかな風味がより引き立ちます。寒い日にぴったりな、温かな和のデザートです。

    材料(2人分)

    ● きんかんシロップ大さじ2
    ● きんかんシロップの果肉(半割したもの)14切れ
    ● 白玉粉50g
    ● 水25mL
    ● 塩ひとつまみ
    ● A
    ・こしあん(市販品)120g
    ・水300mL

    つくり方

     Aは小鍋に入れてよく混ぜ合わせ、きんかんシロップを加えて弱火でふつふつとするまで温める。

     きんかんの果肉10個は粗みじん切りにする。

     白玉粉に水を加えてさっと混ぜ、を加えて耳たぶくらいのかたさになるまで混ぜる。少し硬いようであれば水を少し足す。

    画像6: つくり方

     ラップをかけ、30分ほど休ませる。

     を食べやすい大きさに丸め、真ん中を少し押してくぼませる。

     沸騰した湯にを入れ、浮いてきたら3分ほどゆでて氷水にとる。

     と塩を入れ弱めの中火でさっと温め、器に盛り、残りのきんかんをのせる。

    画像7: つくり方

    ワタナベマキ(わたなべ・まき)
    グラフィックデザイナーを経て、料理家として独立。シンプルだけど滋味深く、素材の味を引き出した料理が人気。インテリア、器、ファッションなど、センスあふれるライフスタイルが年代を超えて支持されている。『時間をかけて作りたい料理』(Gakken)ほか著書多数。
    インスタグラム:@maki_watanabe

    もっと氷砂糖のレシピを知りたい人は

    全日本氷糖工業組合 | 旬の果実でおいしく楽しい氷砂糖

    画像2: 冬のうれしい家仕事。きんかんシロップのつくり方と2つのアレンジレシピ|氷砂糖で簡単、果実の仕込みもの/ワタナベマキさん

    氷砂糖でくらしをもっとカラフルに。梅酒づくりでおなじみの氷砂糖は、じつは梅以外の果実とも相性Good。色とりどりのフルーツを使って手づくりを楽しめる氷砂糖の世界、あなたものぞいてみませんか。

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    協力/全日本氷糖工業組合
    http://www.hyoutou-kumiai.jp/tezukurilife/

    〈料理/ワタナベマキ 撮影/有賀 傑 取材・文/河合知子〉

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