普段はそれぞれの暮らしを大切に
大人になった息子との海外旅行のあれこれ。
「息子さん達と仲良しですね〜」「うちは息子と二人旅なんて到底考えられません」とよく言われます。はい、仲は良い方だと思います。
でも普段はべったりではありませんよ、当たり前だけど。
日中、わたしは仕事で忙しい。息子は息子で自分のペースがある。なのでほぼ会話なし。
わたしからも「お腹空いてる? ご飯食べる?」「つぶ(愛犬)はご飯食べた?」って声をかけるぐらいで、家族の予定を家族カレンダー(またはLINE)などを使って全員で把握しているご家庭もあるようだけど我が家はいい意味でお互い興味がない。興味がないという言い方はさみしいですね。個々を大切にしていると言いましょう。
夜ご飯を作るのが億劫なとき、息子を外食に誘ってみるけど8〜9割断られます。笑
で、1〜2割の確率で「行こっか!」と返事が返ってくると『きゃっ♡』となる。
こんな貴重な時間は飲みながらじっくりといろんな話をします。息子の方がしゃべりっぱなしの時もあればわたしも大人になった息子には何でも話します。最近は仕事の相談もします。
2年前から一緒にパリへ
あ。話は息子との海外旅行に戻して。
年に一度、わたしはパリへ買い付けに行くのですが、その買い付けに2年前から息子を連れて行っています。
買い付けをする量が増えて一人では困難になってきたこと(荷物持ちね)、語学力、そして専属ボディガードとして。
やっぱり男子がいてくれるのは何かと心強いのです。
渡仏にはいつも直行便を利用していたのですが、今年は直行便が高すぎて……。はじめて乗り継ぎ便を利用したのですが息子の存在がどれほど心強かったことか。
でもね、ホテル選びにはちょっと気を使います。海外のホテルってなかなかツインベッドの部屋がないからです。どんなに仲が良くても大人の親子がダブルベッドで並んで寝るのはちょっとないでしょ?
6月、ロンドンとパリ合わせて18日間一緒に過ごしました。親子旅で最長!
日程の中間あたりだったかな? ヨーロッパの暑さと毎日の買い付けの疲れでふたりの空気がグダグダになってきて普段穏やかで言い合いを嫌う息子が喧嘩を売ってきたのです。
これでもかとわたしがムカつくことを言ってくる。最初は右から左へ流して耐えていたけど、さすがのわたしも「ねえ! 何なのさっきからさぁ(フンっ!)」と駅で言い合いの大ゲンカ勃発。もう止まらない。笑
しまいには息子は「もうこのままお母さんと旅を続けるのは無理。明日の便で俺は帰る!」と。
(そ、それは困る……)その晩、お酒を飲みながらじっくり話しをして膿を出し切りどうにか旅は続けることに。
原因は、わたしが何から何まで頼りすぎて息子が心身ともにわたしのサポートに疲れ切ってしまったようです。「俺さ、お母さんの彼氏じゃないんだよね!」と言われました。
息子との旅、4つの決まり
親子でもお互いのトリセツはじっくり読んでおかないとね。
もちろん息子を雑に扱ったつもりはないけどコキ使っていたのはたしか。謝りましたよ。
大人になった息子との旅で大切なことは、
①ベッドはツインベッド必須
②お互いFree dayを設ける
③彼氏ではない
④息子にパートナーができるまでの期間限定ってことを忘れてはならない
息子との旅はわたしにとっては子育てをがんばったご褒美のよう。
子育てに追われ泡を吹いていた時期、まさか将来こんな頼もしく成長して一緒に旅ができる日が訪れるなんて思いもしなかったもの。
息子達にとってはいつか親がいなくなった時、美しい景色を一緒に眺め、おいしいものを一緒に食べた時間が人生の小さな宝物になっているといいな。そしてときどーき引き出しから出してくれたらうれしい。
その時にはパリで大げんかしたことは忘れていてね♡
読んでくれてありがとー!
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。現在は、文筆業や、買い付けなどを行う。『カフェロッタのことと、わたしのこと』『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(ともに旭屋出版)に続く3冊目の著書『マダム・ロッタとパリ行かない?』(旭屋出版)が9月25日に発売予定。
インスタグラム:@kaorilotta
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