• 2016年の熊本地震でペットと同行避難した人がいた避難所のうち、屋内での同伴が許可されたのは約1/3にすぎませんでした。そのため、車中泊避難に切り替えた人も多くいました。家族の一員のペットのことを考えるなら、安全を確保したうえでの自宅避難も有力な選択肢となりえます。そんな災害時のペットの避難についての対策をご紹介します。9月1日は、防災の日。8月30日から9月5日の防災週間に合わせ、過去に反響の大きかった防災関連の記事を再掲載いたします。
    (『避難所に行かない防災の教科書』より。『天然生活web』初出2020年9月1日)

    可愛い家族の一員の命を守れるのは、飼い主だけ

    一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2019年現在で、日本国内で約880万匹の犬、約978万匹の猫が飼われているそうです。いまやペットも家族の一員で、人間の防災を考えると同時にペットのことも考えなければならない時代となっています。

    しかし、環境省の「熊本地震におけるペットの被災概況」という資料によると、2016年の熊本地震の際、ペットと同行避難<※>した人がいた避難所のうち、屋内での同伴が許可されたところは、全体の約3分の1だったそうです。

    一緒に避難したもののペットを屋内に入れられなかったため、自宅に置いてきたり、車中泊した人も多かったといいます。

    ※ 単にペットと避難することを「同行避難」、避難所室内で一緒に過ごせる状態を「同伴避難」と呼びます。

    画像: 動物も被災時にはストレスがたまります。可能であれば自宅避難で一緒に過ごしましょう

    動物も被災時にはストレスがたまります。可能であれば自宅避難で一緒に過ごしましょう

    少しずつペットとの避難についても検討が進んでいますが、現状を考えると自宅避難がベターといえるでしょう。あくまでも自宅の安全が確保できていることが前提となりますが。

    災害時にペットの命を守る前提として、屋外で飼っている場合は、ブロック塀、カーポートの支柱付近、ガラス窓の下などにつながないこと。室内の場合も、災害時に万が一逃げ出さないように、就寝時や外出時はなるべくケージに入れておくと同時に、ケージの近くに家具などがある場合は、転倒防止策をしっかりしておくことが大切です。

    同時に、ペットのための備蓄も十分に用意しておきましょう。ペット用の救援物資は、被災地に届くスピード・量とも後回しになりがちなので、とくに薬や療法食など体調に関わるものは多めに常備し、使いながら買い足していくようにしましょう。

    ● ペットフード、おやつ(1〜2週間分)
    ● トイレ用品(ペットシーツ、猫砂、防臭袋)
    ● 持病の薬、療法食
    ● ケージ(自宅用・移動用)、毛布
    ● お手入れ用品(ウェットタオル、ブラシ、爪切り)、おもちゃ
    ● リード、ハーネス、首輪(予備も)
    ● かかりつけ動物病院の診察券
    ● ワクチンなどの接種状況のわかるもの
    ● 飲んでいる薬や療法食の名前や量のメモ

    災害時は、ペットもストレスがたまります。吠えがちになったり、怖がりになったり、便秘や下痢などの症状が出ることもあります。水分を十分に摂らせて、なるべく静かに過ごせるようにしてやります。

    また、犬は汗線が少ないので、暑さ対策はしっかりと。クーラーを稼働できなければ、冷却シートや首に巻く冷却バンダナなどを用意して、少しでも涼しく過ごせるようにしてやりたいものです。

    災害直後は、地面にガレキなどが散らばり、素足の動物が外を歩くと、足の裏をケガをする恐れがあります。片付くまで散歩は控え、あらかじめ排泄は室内でできるようにしつけておきましょう。外でないと排泄できない場合には、足カバーを用意しておき、普段から慣らしておくと安心です。

    ペットのデータはまとめておきましょう

    災害時は物流が滞りやすく、かかりつけの動物病院も開いているとは限りません。薬や療法食の不足や病気、ケガ、避難などに備え、薬やワクチン接種、既往症などのデータをまとめておきましょう。

    画像: ペットのデータはまとめておきましょう

    犬猫以外のペットの場合

    ポンプの循環が必要な魚類は、災害に備えて乾電池式のポンプを準備しておきましょう。ヒーターが必要な爬虫類などは、お湯を入れたペットボトル、カイロを新聞紙などで包むなどして対策してやります。

    画像: 犬猫以外のペットの場合

    迷子に備える

    災害時には、何らかのアクシデントでペットとはぐれることも考えられます。首輪にペットと飼い主の名前、連絡先などを書いた迷子札や自治体から交付された鑑札を付けておきましょう。

    また、識別しやすい特徴や飼い主と一緒に撮影した写真を用意しておくと、捜索や飼い主を特定するときに役立ちます。

    また、ペットの身元確認のためのマイクロチップの装着が、今後義務化される方向にあります。

    画像: 鑑札の番号を自治体に照らし合わせれば身元が判明するため、飼い主の元へ戻りやすい

    鑑札の番号を自治体に照らし合わせれば身元が判明するため、飼い主の元へ戻りやすい

    <写真・文/西野弘章>

    西野弘章(にしの ひろあき)
    1963年、千葉県生まれ。「自分で作れるものは何でも作る」がモットーのエディター兼ライター。新聞社、出版社などに勤務したのち、フリー編集者として独立し、「自給自足生活」を目指して千葉県・房総半島へ家族とともに移住。耐震&耐風仕様の自宅を含めて、これまでに大小10棟の建物をセルフビルドしてきた。その房総半島で2019年9月、観測史上最大級の超大型台風に遭遇。自宅は無事だったものの、地域の復興がなかなか進まない現実を目の当たりにしたことで、「災害から家族を守ってくれる家」「逃げなくてもいい家」の重要性を痛感する。そんな経験をまとめた著書に『避難所に行かない防災の教科書』がある。

    * * *

    ※「天然生活 ONLINE SHOP」では、いざというときに役立つ、2種類のソーラーライトをご用意しました。太陽光で繰り返し充電できるので、災害時はもちろん、キャンプやアウトドア、ふだんの暮らしにも。さまざまなシーンで活躍するアイテムです。

    画像1: 考えておきたい、災害時の「ペットの避難」。避難所に行かない防災の教科書|いざというときの防災ノウハウ

    太陽光で明かりを灯す、ソーラーランタン
    ソネングラス®︎ 1000ml Classic | Generation6
    https://shop.tennenseikatsu.jp/items/77895811

    画像2: 考えておきたい、災害時の「ペットの避難」。避難所に行かない防災の教科書|いざというときの防災ノウハウ

    コンパクトで持ち運び可能なソーラーライト
    SOMO™️ ソーラートップClassic(ソネングラス® Classic用 ソーラートップ) | Generation6
    https://shop.tennenseikatsu.jp/items/77896163

    天然生活 ONLINE SHOP
    https://shop.tennenseikatsu.jp/

    天然生活 ONLINE SHOP
    https://shop.tennenseikatsu.jp/

    画像3: 考えておきたい、災害時の「ペットの避難」。避難所に行かない防災の教科書|いざというときの防災ノウハウ

    This article is a sponsored article by
    ''.