• いつ自分にふりかかってくるかわからない災害。新型コロナウイルスの影響もあり「もしも」のときに備え、自宅で避難生活を送る「在宅避難」の方法や、事前に体験しておきたいことについてご紹介します。9月1日は、防災の日。8月30日から9月5日の防災週間に合わせ、過去に反響の大きかった防災関連の記事を再掲載いたします。
    (『天然生活』2020年10月号掲載、『天然生活web』初出2022年9月7日)

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    自宅で避難生活を送る「在宅避難」

    新型コロナウイルスの影響が続くなか、さらに災害が起きたらどうするのか? すでにこの夏の豪雨でも、災害からの避難とコロナ対策という難しい問題に直面したばかりです。

    「災害時は避難所に避難すればよいと考えている人も多いですが、必ずしも避難所がベストとは限りません」と、防災教育の普及に取り組むNPO法人プラス・アーツ理事長の永田宏和さん。

    「人が集まる避難所では、ソーシャルディスタンスを保つのは難しく、感染リスクも高くなります。ほかにも、栄養バランスの悪い食事、不便なトイレ事情、共同生活のストレスなども大きな問題です」

    そこでもう一度見直したいのが、自宅で避難生活を送る「在宅避難」です。

    家族など限られた人数でプライバシーを確保しながら、いつもの日常に近い環境で避難生活が送れます。在宅避難をする人が増えることは、避難所に避難するしか方法がない人にとっても、収容人数が減ることでよりよい環境をもたらすことになります。

    防災の新基準、在宅避難の5カ条

    画像: 防災の新基準、在宅避難の5カ条

    1 在宅避難のための空間を確保する

    2 備蓄する

    3 知識と技を知っておく

    4 知識と技を実際に試しておく

    5 在宅避難が難しくなったときのことも考えておく

    少しでも安心で快適な在宅避難生活を送るためのポイントが、上に紹介している5カ条です。

    まずは在宅避難できる家の環境を整えること。在宅避難に必要な知識や経験を平時のうちに試してみることもぜひやっておいてほしいですね」(永田さん)

    とくに備蓄に関しては、これまでの考え方を改めて、「家ごもりが十分できる」ことを考えるようにしましょう。

    「家に置いておくものは必要最低限。近くのスーパーやコンビニを第二の冷蔵庫・倉庫と考える」というやり方では、何かあったときにものがなくて困る事態になってしまいます。いつでも自宅に長期間避難できるよう、十分な数の備蓄をローリングストックで回していく。それがコロナ以降の在宅避難の基本です。

    「家族で在宅避難のお試しをやるのも楽しいですよ。水道や電気、ガスなどのインフラがすべて止まり、当たり前のことが当たり前にできない生活とはどういうものか、一度体験しておくと、防災意識も大きく変わるはずです」(永田さん)

    家族で楽しむ在宅避難キャンプ

    画像: 家族で楽しむ在宅避難キャンプ

    「自宅で避難するって、どんなこと?」

    実際の避難生活でどんな不便があるのか、何が必要なのか、なかなか具体的なイメージはつかめないものです。そこで、自宅で「在宅避難キャンプ」に挑戦して、避難生活を模擬体験してみましょう。

    明かりや水がない生活はどんなものなのか。そんな不便さをキャンプ感覚で楽しむことで、家族みんなが、いざというときの知恵を学ぶことができます。

    体験すること1
    非常食を試食してみる

    画像: 非常食の試食はパーティー気分であれこれ味わうのも楽しそう

    非常食の試食はパーティー気分であれこれ味わうのも楽しそう

    ストックしていた保存食(レトルトや缶詰)を電気やガスが使えない状態でどう調理するか考えてみましょう。災害用の乾パンやフリーズドライなどの非常食も一度実際に食べてみて、どんな味か知っておくといいですね。食器は新聞紙を折ったり、お皿に食品用ラップをかぶせることで、食器を洗わずに済みます。

    節水炊飯の方法

    画像: 体験すること1 非常食を試食してみる

    耐熱性(100℃以上)で厚さ0.1mm以上のポリ袋を二重にします。無洗米と水を入れたら、空気を抜き、袋の口を縛って20分ほどおきます。熱湯で20分ほど加熱し、10分ほど蒸らして完成。ポリ袋が鍋肌に付かないように注意してください。

    体験すること2
    体の清潔を保つ

    画像: 人さし指に口腔ウエットティッシュを巻きつけ、歯や口の中の汚れをふき取る

    人さし指に口腔ウエットティッシュを巻きつけ、歯や口の中の汚れをふき取る

    お風呂やシャワーはもちろん、避難生活では、水を使う洗顔や歯磨きも制限されます。とくに口の中を清潔に保つことは、感染症予防の点からも重要。口に入れても大丈夫な口腔ウエットティッシュの歯磨きはぜひ試してみて。体をふく大判ウエットティッシュ、水のいらないシャンプーなど、備蓄しているグッズもお試しを。

    画像: 30×60cmくらいの大判のウエットティッシュは背中までふけて便利

    30×60cmくらいの大判のウエットティッシュは背中までふけて便利

    体験すること3
    非常用トイレを体験する

    画像: 体験すること3 非常用トイレを体験する

    避難生活で一番困るのがトイレ。非常用トイレは、便座を上げてゴミ袋を、次に便座を下げて非常用トイレの順でセットします。使用後は空気を抜いて非常用トイレの口を縛り、ふた付きのごみ箱や衣装ケースに入れてにおい対策を。

    体験すること4
    暗闇を克服する

    画像: 懐中電灯の上に水を入れたペットボトルを置いてランタンに

    懐中電灯の上に水を入れたペットボトルを置いてランタンに

    夜でも明るい生活が当たり前の私たちにとって、周囲も家の中も真っ暗な闇はそれだけで不安を呼ぶもの。電気が止まっても明かりがとれるのがランタン。キャンプでも定番ですが、懐中電灯とペットボトルで手づくりすることもできます。暗闇を逆手にとって、ふだんは経験できない「暗さ」を楽しんでみるのもおすすめです。

    宝探しゲームを楽しむ

    画像: 体験すること4 暗闇を克服する

    せっかく暗闇を体験するなら、ワクワクするような宝探しに挑戦を。わざと散らかした部屋で、懐中電灯の明かりを頼りに隠された宝物を子どもたちと一緒に探してみて。暗闇が演出効果をアップします。

    体験すること5
    暑さ・寒さを体験する

    画像: 暑い季節の避難生活では熱中症なども心配。うちわや電池式の扇風機が役に立つ

    暑い季節の避難生活では熱中症なども心配。うちわや電池式の扇風機が役に立つ

    災害はいつ、なんどきやってくるかわからないもの。電気が止まると、エアコン、扇風機、電気ストーブなども使えなくなり、暑さや寒さをしのぐ方法が限られます。暑い日はうちわやハンディ扇風機を使ったり、寒い日は毛布などで暖をとってみんなでくっついて寝たりなど、いろいろな工夫の仕方を家族で考えてみるといいですね。

    体験すること6
    避難中にできる遊びをしてみる

    画像: 体験すること6 避難中にできる遊びをしてみる

    テレビやスマートフォン、ゲームなどが使えない在宅避難暮らし。せっかくのチャンスなので、家族で楽しめるボードゲームやトランプなど、わが家の娯楽を見つけておきましょう。避難生活のストレス解消にもなります。

    〈監修/永田宏和(プラス・アーツ) イラスト/須山奈津希 取材・文/工藤千秋〉

    教えてくれた人

    永田宏和(ながた・ひろかず)

    NPO法人プラス・アーツ理事長。国内外で防災教育普及に取り組み、企業の防災アドバイザーも数多く務める。『防災イツモマニュアル〜今こそ、在宅避難の準備をしませんか〜』(ポプラ社)などを監修。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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    画像1: 在宅避難を模擬体験。「もしも」のために体験しておきたい6つのこと|いざというときの防災ノウハウ

    太陽光で明かりを灯す、ソーラーランタン
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    https://shop.tennenseikatsu.jp/items/77895811

    画像2: 在宅避難を模擬体験。「もしも」のために体験しておきたい6つのこと|いざというときの防災ノウハウ

    コンパクトで持ち運び可能なソーラーライト
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    画像3: 在宅避難を模擬体験。「もしも」のために体験しておきたい6つのこと|いざというときの防災ノウハウ

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