• 在宅避難をするには、自宅が安全な場所であることが第一の条件となります。ハザードマップで自宅のある地域が安全かどうか確認し、自宅が耐震基準をクリアしていれば在宅避難が可能。家具の転倒対策などをしっかり行って、安全な家づくりをしましょう。9月1日は、防災の日。8月30日から9月5日の防災週間に合わせ、過去に反響の大きかった防災関連の記事を再掲載いたします。
    (『天然生活』2020年10月号掲載、『天然生活web』初出2022年9月13日)

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    在宅避難できる家にする

    画像: 在宅避難できる家にする

    在宅避難をするには、自宅が安全な場所であることが第一の条件となります。まずは、ハザードマップで自分の住む地域のリスクを確認。自宅が耐震基準をクリアしているかどうかも、安全な避難には重要なポイントです。

    そのうえで、家具の転倒対策などをしておきます。地震では家具が飛んできて、凶器となることも。テレビが飛んできたり、照明が落ちてきたりして大けがをすることもあります。安心して在宅避難ができる家なのか、しっかりと確認してみましょう。

    まずは、在宅避難できるか確認を

    STEP1 ハザードマップを見る

    ハザードマップは自分の住んでいる地域の災害リスクを予測した地図。自治体などで配布しているほか、「ハザードマップポータルサイト」で検索できます。洪水や土砂災害などの危険レベルが色分けされているので、災害時に自宅がどれくらいの危険レベルなのか、知っておくようにしましょう。

    STEP2 自宅の耐震性を確認しておく

    1981年に大きく改正された新耐震基準、2000年にはさらに条件が加わり、耐震性が向上しています。まずは、新耐震基準導入前か以降の建物かによって家の耐震性能は大きく違うので、建築年の確認を。もし81年より前の旧耐震基準で建てられた家であれば、すぐに「耐震診断」を。自治体の補助がある場合も。

    〈耐震基準〉

    旧耐震基準 1981年5月以前

    震度5程度の地震でも倒壊しないことが基準で、全国の建物に義務づけ。もし破損しても、補修して生活することができるとされる。

    新耐震基準 1981年6月以降

    震度6〜7の大規模地震でも倒壊せずに耐えられることを目標とする。建物の倒壊だけでなく、建物内の人の命を守るための基準。

    新耐震基準(2000年基準) 2000年6月以降

    阪神・淡路大震災を教訓に新耐震基準の耐震性を大幅に厳格化。家を建てる前の地盤調査や基礎構造などが盛り込まれている。

    STEP3 在宅避難できる、安全なスペースを確保する

    家の中はどの部屋も家具や荷物でいっぱい。そんな状態では、いざ在宅避難となったときも、安全なスペースを確保しにくいもの。在宅避難で拠点とするリビングなどの場所は、ふだんからなるべくものを減らして、すっきりさせておくと、安心して自宅での避難生活が続けやすくなります。

    在宅避難できる家にするための対策

    対策1 家具の配置を工夫する

    画像: 対策1 家具の配置を工夫する

    地震でけがをする主な原因が、家具の転倒や落下。寝室ではたんすが倒れてくる方向や、エアコンの真下が頭になるような配置でベッドを置かないようにします。本棚が倒れてドアをふさぐことがないようにするのも大切です。

    対策2 家具の転倒対策

    家具の転倒対策で最も効果的なのは、L字型金具で壁に固定する方法。壁に固定しづらい場合は、家具の上はポール式でつっぱり、下はマット式やストッパー式のすべり止めと組み合わせれば、L字型金具と同程度の強度になります。

    防災士がつくる転倒防止具・L字型金具(タンス・食器棚用)/大石製作所

    画像: 焼付塗装した鉄製の金具とねじで、大型の木製家具もしっかりと壁に固定。転倒を防止できます

    焼付塗装した鉄製の金具とねじで、大型の木製家具もしっかりと壁に固定。転倒を防止できます

    家具転倒防止器具マグニチュード7 ML-50/東京都葛飾福祉工場

    画像: 構造力学に基づいたデザイン、鋼製の頑丈なつくりで家具を固定。家具下に使う転倒防止板(2枚)も付いています

    構造力学に基づいたデザイン、鋼製の頑丈なつくりで家具を固定。家具下に使う転倒防止板(2枚)も付いています

    対策3 ものが飛び出ない対策をしておく

    食器棚からは皿やグラスが、本棚からは本が飛び出す危険性が。食器棚の扉にはストッパー、棚板にはすべり止めシートを。食器は下から中→大→小と重ねると飛び出し防止になります。本棚には専用の落下防止テープを利用して。

    開き戸ロック TSL-001/和気産業

    画像: 強粘着の両面テープで、開き戸の扉をロック。地震の揺れで引き出しの中身が飛び出すのを防ぎます。子どものいたずら防止にも

    強粘着の両面テープで、開き戸の扉をロック。地震の揺れで引き出しの中身が飛び出すのを防ぎます。子どものいたずら防止にも

    耐震ラッチ KSL-DR1/和気産業

    画像: 揺れを感じたら、自動で引き出しをロックして飛び出しを防止し、揺れが収まると自動的に解除します。システムキッチンの引き出しに

    揺れを感じたら、自動で引き出しをロックして飛び出しを防止し、揺れが収まると自動的に解除します。システムキッチンの引き出しに

    対策4 ものが飛び出ない対策をしておく

    すべり止めシートで、家具の下にはすべり止め対策をして動かないように固定しましょう。100円ショップで買える玄関用すべり止めシートでもOKです。テーブルや椅子の脚にもすべり止めをして、キャスター付き家具はロックをしたうえで下皿でさらに固定します。

    すべり止めマット/武田コーポレーション

    画像: 家具の下に敷くと、すべり止め効果があります。45×125cmなので食器棚や本棚、テレビボードなどの大型家具にも使えます

    家具の下に敷くと、すべり止め効果があります。45×125cmなので食器棚や本棚、テレビボードなどの大型家具にも使えます

    ふんばる君/東京都葛飾福祉工場

    画像: 家具の下に敷きすべり出しを防ぐ転倒防止板。90cmが2本あるので、並べて使っても、好きな長さにカットして使っても

    家具の下に敷きすべり出しを防ぐ転倒防止板。90cmが2本あるので、並べて使っても、好きな長さにカットして使っても

    〈監修/永田宏和(プラス・アーツ) イラスト/須山奈津希 取材・文/工藤千秋〉

    教えてくれた人

    永田宏和(ながた・ひろかず)

    NPO法人プラス・アーツ理事長。国内外で防災教育普及に取り組み、企業の防災アドバイザーも数多く務める。『防災イツモマニュアル〜今こそ、在宅避難の準備をしませんか〜』(ポプラ社)などを監修。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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    画像1: わが家を「在宅避難できる家」にするための4つの対策。いまこそ考えたい“在宅避難”|いざというときの防災ノウハウ

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