(『天然生活』2020年11月号掲載)
「花と緑の楽しみ方」について、渡辺礼人さん、安樹子さんに伺いました
東京の中目黒で人気の花屋を営む渡辺礼人さん・安樹子さん夫婦。たくさんの観葉植物や花が置かれている自宅は、生気に満ちあふれています。毎朝の花の水換えや観葉植物の手入れを担当しているのは安樹子さんです。
「みるだけでなく、毎日世話をするのは楽しいし、植物に触れると気持ちが落ち着きます」
家族が集うダイニングやリビングはもちろん、玄関から、台所、洗面所、トイレまで。渡辺家では家のあちこちにさりげなく花を飾っています。ふだんの生活をするなかで、ふとしたときに花が目に入ると、それだけで気持ちが和らぐと礼人さんはいいます。
「辛いことがあるときや、大変な状況のときでも、花はいつもと変わらずきれいに咲いていて、黙ってこちらの気持ちを受け止めてくれる。花や緑には、人を元気にする力が、たしかにあるんです」
Q 花と緑の楽しみ方は?
A1 まずはダイニングに花を飾ってみましょう
「ダイニングは家族が長い時間を過ごす場所。ここに花を飾ると、最も空間の変化を感じられます」
飾り方にもいくつかのコツが。写真のひまわりのようにメインとなる目立つ花は奇数にすると収まりやすく、花器のまんなかより少しずらして活けるとこなれて見えます。
「花器に対する花の長さは、1対1〜1.5を目安に」
A2 置いたり、吊るしたり、配置で遊ぶ
天井から花やグリーンを吊るしたり、低い棚の上に置いたり。渡辺さんの家には、あらゆる場所に花と緑が飾られています。
「そうすることで空間にリズムが出て、奥行きも感じられます」
とくに下を向いて咲いている花は、目線より高い位置に置くと花の顔をじっくりみることができます。
「棚の中に置くのも面白いですよ。オブジェのようにみえて新鮮です」
A3 玄関に飾るなら、香りのある1本を
「外から帰ってきたとき、玄関で花の香りがすると気持ちが切り替わり、リラックスできます」
香りのいい花は、来客時のおもてなしにもなります。
「あじさいやひまわりなど、その季節らしい花を飾るのも、おもてなしにおすすめです」
A4 茎が短くなったら、一輪挿しや器が活躍
「花を長持ちさせるには、毎日の水替えとともに、茎を1〜2cm水中で切る水きりが大切。続ければ、花や季節によりますが、2週間〜1カ月持ちます」
茎が短くなったら花器を一輪挿しやお皿に変えて、表情の変化を楽しみます。
A5 毎日手をかけることで、育てる楽しみを知る
毎日、ひとつひとつの観葉植物の状態をみながら霧吹きで水をかけます。
「光と水以外に、風通しがとても大切。もともと育っていた環境を想像しながら手をかけてあげて」
試行錯誤の末に葉が生き生きと茂ると、喜びもひとしおです。
ワンポイントメモ
飾りやすい花器の選び方は?
意外と大事なのが花器選び。
「シンプルな花器だと花のセレクトや活け方が際立ってしまい、案外難しい。実は個性的な花器のほうがどんな花でも受け止めてくれます」
家で活けるなら、高さは20cmまでのものを選ぶのがおすすめ。
〈撮影/大森忠明 取材・文/嶌 陽子〉
渡辺礼人、安樹子(わたなべ・あやと、あきこ)
東京・目黒区で営む花屋「farver」を軸に、さまざまな空間のスタイリングやディレクション、ワークショップ、商品開発など幅広く活躍中。https://farver.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです