ささやかでも自然と触れ合うこと。それが暮らしの深呼吸
せわしない日々の中、自分を取り戻すひととき。無心に手を動かすことで、不思議と呼吸が深くなり、心が徐々にゆるんでいきます。
柳沢小実さんの場合は、そこにひとつ、学びの要素を。今まで知らなかった世界に触れる体験が、日常に小さくとも新鮮な彩りを添えてくれると話します。
「大人になったいま、意識して動かないとなかなか新しいものには出合えません。それに気づいてから、“習う”ことを積極的に取り入れるようになりました。さらに私にとっては、それが心いやされる時間となることも大切。自分自身が暮らす都会では味わえないもの、触れられないものを求めているんです」
週末2時間の焙煎体験。柳沢さんに試していただきました
中国茶を習うなど、お茶好きとしても知られる柳沢さん。今回体験していただいたのは、黒豆茶とびわ茶の焙煎体験。
「両方ともノンカフェインで体を温める効果があるので、のんびり体をいたわりたい休日にぴったり。黒豆茶もびわ茶も飲んだことはあるけれど、焙煎は初めて。実際にキットが届くと、まるでプレゼントをもらったようでうれしくなりますね」
「三ツ矢 青空たすき」では、体験プログラムの提供者を講師ではなく、“語り部”と呼んでいます。
それは、単純なレッスンではなく、それぞれが選び取った自然と共生する暮らしの魅力を、私たちに伝えてくれる存在だから。
今回の語り部は、わかまつ農園の若松潤哉さん。東京で会社員生活を送ったのち、2013年に糸島に移住。
「その頃に大病をしたこともあり、『自分が本当に何をしたいのか』を問い直したんですね。自然に近い場所で、未来につながる仕事をしたいと考えたんです」(若松さん)
お茶にする黒豆もびわの葉も、わかまつ農園による有機栽培のもの。オンライン参加(zoom)の操作方法を体験開始前にしっかり教えていただけるので、オンライン体験が初めての人でも気軽に受けられます。
作物に対する思いや、実際に育てているからこその豆知識など、まるでその場でおしゃべりを聞いているかのような雰囲気でプログラムがスタート。
朗らかに話す若松さんの隣に、わかまつ農園で働く橋本さんも加わって、参加者のみなさんとチャットや音声で感想を述べ合いながら、和気あいあいとした雰囲気。
さっそく、黒豆の焙煎開始です。
「ていねいな説明でわかりやすいですね。ちょっと迷ったときは、気軽にチャットで質問できるのも心強いです。グループ参加ながら、マンツーマンのような感覚ですね」
黒豆がこんがり色づいて、キッチンいっぱいにいい香りが漂います。ここで柳沢さん、思わず深呼吸。
「この香ばしい香り、どこか懐かしい感じでホッとします。香りの癒し効果って、とても大きいと感じます」
続いてびわ茶の焙煎に挑戦。かたい葉脈の部分を手で取り除きます。
「葉をちぎる感覚が新鮮。香りをかいだり、感触を味わったり。大人になると、つい忘れがちな五感。今日はそれを久々に楽しめています」
「お料理系のレッスンって、実はオンラインの方がいい面もたくさんあるんですよね」と柳沢さん。
「実際の教室だと、自分で作業をしながら先生の手元を見ることって難しいけれど、オンラインだと手元をアップにしてくれるからひと目でわかります」
焙煎した2種のお茶を飲み比べ。参加者のみなさんとの交流も楽しみながら、ゆったりと味わいます。
「お茶を飲みながら聴く、語り部の若松さんの移住に関するお話がとても楽しくて。今日はひとりでの参加でしたが、友だち同士で集まって、わいわい参加しても盛り上がれそう」
自分の時間に合わせて体験できる動画視聴プログラムも
オンライン参加は、スケジュールの都合でむずかしい……そんなときは、動画視聴でも体験可能です。
「生活する上で心がけているのは、できるだけ環境に悪影響を与えない品々を選ぶこと」と話す柳沢さんが興味をもったのは、灰を原料にした自然素材の洗剤づくり。
語り部は、夫婦で糸島に移住してきた畠山千春さんと志田浩一さん。
「食べもの・お金・エネルギーを自分たちでつくる」をコンセプトに、いとしまシェアハウスを運営しています。
柳沢さんがこのプログラムの体験にひかれた理由は、実はもうひとつあります。
「語り部のおふたりが、棚田を守る活動をしていらっしゃること。実は5年ほど前から新潟県の棚田を守る活動に協力しているんです。棚田を含む美しい里山は、私にとっても、まさに100年後につなげたい風景なんです」
動画を見ながらつくった灰洗剤。
「保存用のビンびんまでキットに入っているから、事前にあれこれ用意する必要がないのがいいですね。へちまたわしもかわいいですよね」
液体は食器洗い・洗濯用などに、沈澱した灰はペースト状になるので研磨剤として使えます。
さっそく、気になっていたシンクの汚れを掃除。
「自然素材だと、汚れ落ちはどうなんだろう?と思っていましたが、少しこするだけでピカピカになって驚きました」
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今回、2つの体験プログラムを楽しんだ柳沢さん。それぞれの語り部たちの暮らしぶりにも感銘を受けたようです。
「今すぐに拠点を変えるのは難しいけれど、『こんな暮らし方もある』と大きなヒントをもらったような気がします。そして何より、画面越しに見る糸島の美しい景色……そこから届いた素材を使って手を動かしながら、この豊かな自然を次の世代に受け継いでいくことの大切さも実感しました。
焙煎したお茶の新たなおいしさは、これからの暮らしに彩りを添えてくれるでしょうし、自然素材の洗剤は、環境に配慮するという意味でずっと使い続けたいもの。体験プログラムに参加した後、自分の考えが一歩深まる感覚は、私の理想とする“学びのあり方”にぴったりでした」
未来へつなぐ体験を提供する「三ツ矢 青空たすき」の取り組み
誕生以来、約140年。三ツ矢サイダーは、磨かれた水、果物由来の香りなど日本の自然の恩恵を受けて育まれてきました。
三ツ矢サイダーブランドを展開するアサヒ飲料が、“三ツ矢サイダーのおいしい思い出”を多くの方に聞いたところ、「田植えの後に家族で飲んだ」「おばあちゃんの家の縁側で飲んだ」「カブトムシを探しにいった林でお父さんと飲んだ」など、日本の原風景・原体験ともいえるエピソードがたくさん寄せられたそうです。
三ツ矢サイダーを支えてくれた日本の豊かな自然と、お客様への恩返しができたら……そんな思いで、100年後の未来に豊かな自然と文化をつないでいくために生まれたのが「三ツ矢青空たすき」です。
「三ツ矢 青空たすき」は、自然と共生する暮らす人が多く暮らす場所、福岡県糸島から、清々しい青空のもと“たすき”を体験に参加する方々とともにつないでいく取り組みをつづけていきます。
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柳沢小実(やなぎさわ・このみ)
エッセイスト。衣・食・住、そして旅に関するに著書多数。ブレのないもの選びに定評がある。より心地よい暮らしを求めて整理収納アドバイザーの資格を取得、旅先での触れ合いをきっかけに大学で中国語を学ぶなど、軽やかに新たなチャレンジを続ける姿にファンが多い。
インスタグラム:@tokyo_taipei
〈撮影/林 紘輝 取材・文/福山雅美〉
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提供/アサヒ飲料
https://www.asahiinryo.co.jp/