• 大人世代が抱える「こころとからだ」のお悩みや疑問について、頭痛・漢方専門「らいむらクリニック」の來村昌紀先生が、やさしく回答。今回は、目の奥の疲れが取りにくくなっているという、ゆきのこさんのお悩みにアドバイスをお送りします。

    : 目の奥の疲れが取りにくくなっています。日中できることを教えて!

    画像1: 目の疲れは病気の原因? 目を休ませる方法と、目にいい食べもの・漢方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    気づかないうちに目を酷使しているのかも……

    目の奥の疲れが取りにくくなっています。就寝時に布団の中で目をつぶると、目の周りと目の奥にびっくりするくらい力が入っているのを感じます。

    目をしっかり休ませないと、目やそれ以外の病気にかかってしまう可能性もあるのでしょうか。

    目に力を入れすぎないようにするために、日中に何かできることがあれば教えてください。

    (ゆきのこ さん/40代・フリーランス)

    :放置すると頭痛や肩こり、心にも影響が。目の休息と規則正しい生活を

    画像2: 目の疲れは病気の原因? 目を休ませる方法と、目にいい食べもの・漢方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    PCやスマホによるVDT症候群。疲れ目の方が増えています

    PC作業やスマホ、目の乾燥も疲れ目の原因に

    目の奥の疲れが取りにくくなっているのですね。僕も眼の疲れで、日々試行錯誤しています。

    目が疲れる原因として多いのは長時間のパソコン作業やスマホ、手先の細かな作業やメガネやコンタクトの度が合っていない、老眼の始まりなどによって、目のピントを調節する筋肉を酷使することによるものがあります。

    私たちは物を見る時に、カメラのレンズのような働きをする水晶体を厚くしたり、薄くしたりしてピントを合わせています。この水晶体をひっぱたり、緩めたりしてピントを合わせている筋肉が毛様体筋です。

    長時間のパソコン作業やスマホのように近くの物をじっと見る場合には、毛様体筋はずっと緊張している状態となり筋肉疲労を起こしてしまいます。

    老眼の場合は、ピントの調節力が老化で弱まり、近くが見づらくなります。これを無理して近くを見続けると目が疲れやすくなってしまいます。

    またパソコンやスマホの画面を凝視することでまばたきの回数が減り、目が乾いた状態となりやすく、このことが目が疲れやすくなったり、痛みの原因となったりすることもあります。

    また正常な目の表面は涙に覆われていて滑らかですが、涙が少ないと目の表面が凸凹になり、ピントが合っている状態でもぼやけてしまいます。そのぼやけをなんとか調節して見ようとするので目が疲れやすくなります。

    最近ではこのような原因をVDT(Visual Display Terminal)ストレスといって、注意が促されています。

    また睡眠不足でも目を構成している細胞に必要な栄養や酸素が不足し、疲労を回復しづらくなってきます。

    ゆきのこさんがご心配されているように目の疲れを放置しておくと頭痛肩こりの原因となったり、不眠うつ傾向など心にも影響を与えてしまう恐れもあります。

    目の疲れの対処法は、目の休息と規則正しい生活

    疲れ目の対処法としては、まずは目の休息と規則正しい生活が大切です。バランスの取れた食事や睡眠を心がけてください。

    長時間目を使う作業をする場合には1時間おきに10分くらいは目を休めるようにしてください。遠くをぼーっと眺めたり、蒸しタオルなどで目を温め、血流をよくしたりリラックスすることも効果があります。

    またメガネやコンタクトを使っている場合には定期的に度が合っているか、あるいはドライアイや、目の角膜などに傷がついたり、緑内障などの目の病気がないかどうかなど眼科を受診しておくのも安心です。

    ピント調節機能の回復に効果が期待できるビタミンB12ネオスチグミンメチル硫酸塩や目の代謝を高めるタウリンパンテノールが入った疲れ目用の目薬などもあります。

    目の乾燥を防ぐには瞬きをしっかり、こまめにしたり、涙の成分に近い目薬や目の乾燥を防ぐコンドロイチン硫酸エステルナトリウムの入った目薬などもあります。

    長時間、パソコンやスマホを使用する場合にはお部屋の環境や姿勢も大切です。真っ暗な部屋や明るすぎる部屋ではなく適度な明るさの部屋で作業をして部屋の電気がディスプレイに反射しないように注意しましょう。

    スマホの場合でもできれば椅子に腰をかけて下を向きすぎたり、逆に顔を上げすぎたりしない姿勢でディスプレイを見るようにしましょう。またディスプレイの明るさを明るくしすぎないようにすることも目の負担を軽減することにつながります。

    目の乾燥を防ぐためにも部屋の湿度は50〜60%になるように加湿器を使うのもよいと思います。

    目の疲れにおすすめの食べもの

    目によい食べ物としては、

    ● 疲れ目や視力の低下予防効果があるとされるアントシアニンを多く含むブルーベリーぶどうナス

    ● 目のピント調節を助けるアスタキサンチンを多く含むサケイクラカニ

    ● 涙の生成や毛様体筋の回復に良いビタミンAを多く含むレバーウナギ

    ● 視神経の働きを高めるビタミンB12を多く含む、豚肉サバ

    ● 紫外線のダメージを減らしたり、目の疲れを回復するタウリンを多く含むタコ、イカ、貝類

    などをとるように心がけてみてください。

    目の疲れにおすすめの漢方

    漢方では肝(臓器の肝臓ではなく、ストレスを意味します)の症状は目に出るといって、ストレスがあったり、緊張していると眉間にシワが寄ったり、目を細めたり、目に力が入って疲れると考えます。

    ですから適度な運動をしたり、好きなことをしてリラックスしたり、十分な睡眠を取ったりすることを心がけてください。

    日中では、目に力が入りすぎないように、深呼吸をしたり、ストレッチをしたりするのもよいかもしれませんね。

    お茶にしたり、食べたりもできる菊の花である菊花やクコの実である枸杞子も目の疲れによいとされており、これらを含む漢方薬に杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)、ストレスを和らげ、緊張をとる漢方薬には抑肝散(よくかんさん)なども使われます。

    私もストレスや疲れが溜まった時には抑肝散を服用してよく眠るようにしています。

    今回の記事がゆきのこさんはじめ目の疲れでお悩みの方に少しでもお役に立てば幸いです。

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    〈イラスト/コグレチエコ〉

    画像: 目の疲れにおすすめの漢方

    來村昌紀(らいむら・まさき)

    頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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    インスタグラム:@raimura.clinic



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