(『天然生活』2021年7号掲載)
ムラヨシマサユキさんに教わる、初夏のみつとシロップ
見た目にも涼やかで、これからの季節にぴったりのシロップとみつ。
シロップといえばしょうがや梅、みつといえば黒みつなどがメジャーですが、その肩書のとおり、日日お菓子を研究しているムラヨシマサユキさんの手にかかると、ひと味もふた味も違います。
かぼすには青じそ、新しょうがにはスパイス、黒みつ・白みつにはみりんや酢と、思いもよらない組み合わせ。ムラヨシさんならではのアイデアが加えられています。
「レシピ内の“あれば”という表記のものはなくてもつくれますが、香りや風味が足されるので、味に奥行きが生まれます。手軽にワンランクアップした味わいになるので、ぜひ試してみてください」
また、シロップやみつというと飲みものにするのが一般的ですが、今回はあえて、それ以外のアレンジレシピを教えてもらいました。
「とはいえ、凍らせたりゼラチンで固めたりした簡単なものばかり。元のシロップやみつがおいしいのでシンプルにいただくのがおすすめです。
どれも日持ちしますが、あまりたくさんつくらず早めに使い切ると、香りや風味が落ちずに最後までおいしく食べられますよ」
かぼすシロップのつくり方
薄切りにしたかぼすをたっぷり使い、すがすがしい香りを閉じ込めて。
青じその清涼感を加えてさらにさわやかに。シンプルに炭酸割りも◎。
材料(つくりやすい分量・約700mL)
● かぼす | 3~4個(約300g) |
● 青じそ(好みで) | 2枚 |
● グラニュー糖 | 250g(かぼすの重量の80%強) |
つくり方
1 かぼすはヘタを除いてよく洗い、水けをきる。3mm厚さの輪切りにして種はできるだけ除く。
2 清潔な保存瓶にかぼす、青じそ、グラニュー糖を半量ずつ詰め、もう一度繰り返す。ふたをして室温に置く。
3 2日ほどして瓶の底にグラニュー糖がたまっていたら、清潔なへらか菜箸で一度だけ混ぜる。
4 3~4日後、グラニュー糖が完全に溶けてシロップが透明になったらでき上がり。
保存期間:冷蔵庫で約2週間
※ かぼす、青じそがシロップの表面から出ていると、その部分からカビることがあるので、直にラップで覆うとよい。
【アレンジ】 かぼすシロップで「かき氷」
一緒に漬けた青じそを刻んでシロップに混ぜ、かき氷にかけて。
かぼすの酸味と青じその風味、香りが絶品な大人味のかき氷。
材料とつくり方(1人分)
漬けていた青じそ1枚をみじん切りにして、かぼすシロップ大さじ2〜3に混ぜておく。
器にかぼすシロップ少々を入れ、その上にかき氷機で氷をこんもりとかき、青じそを混ぜたかぼすシロップをかける。
〈料理/ムラヨシマサユキ 撮影/山川修一 スタイリング/阿部まゆこ 構成・文/結城 歩〉
むらよし・まさゆき
料理研究家。お菓子やパンを中心に、初心者から上級者までレベルに合わせた再現性の高いレシピを提案している。『ムラヨシマサユキのクッキー 作りたい、贈りたい71レシピ』(西東社)など著書多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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自家製の味噌や甘酒、苦手意識のある天ぷらや煮魚、季節の果物や野菜を使ったジャムやピクルス……。家で過ごす時間が長くなり、手を動かす機会が増えたいまだからこそ、「料理をていねいにつくってみたい」。そんなふうに思いはじめた方にぴったりの、料理の入門書です。
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自分でつくれば、添加物を使わず、素材そのものの味と香りに出合えるうえ、日持ちさせるための加熱処理もされないので、酵素や酵母の恩恵を受けられるのも利点です。
「自家製はハードルが高い……」と思った方でも、ご安心ください。市販品でも代用できるものもあるので、毎日の献立づくりに役立つレシピ集としても。季節を問わず活用できる、台所にあると重宝する一冊です。