• 手づくり暮らし研究家の美濃羽まゆみさんが暮らすのは、築約百年の風情漂う京町家。音が響きやすかったり、冷暖房が効きづらかったりと、一見不便なこともありますが、逆に創造意欲をかきたてられ、工夫することが楽しくなっていったそう。そんな美濃羽さんに、古い家でごきげんに暮らす知恵を教えてもらいました。

    古い家から学んだ、ごきげんに暮らす知恵

    手づくり暮らし研究家・美濃羽まゆみさんが家族とともに暮らすのは築約百年の町家。

    縁あって町家に暮らすことになりましたが、初めのうちは戸惑うことも多かったといいます。

    画像: 職人さんの力を借りながら家族でコツコツ改修。現在は2階のアトリエが主な仕事のスペースに

    職人さんの力を借りながら家族でコツコツ改修。現在は2階のアトリエが主な仕事のスペースに

    「音は響くし収納は少ないし、すき間だらけで冷暖房が効きにくい。

    掃除をするときも、敷居(しきい)などの段差があって掃除機もかけにくくて。いままでの暮らし方が当てはまらないことばかりでした。

    でもだんだんと、そういう不便だったり不足していたりすることに創造意欲をかきたてられて、工夫することが楽しくなっていったんです」

    なるべく静かに掃除をするために、ほうきや雑巾を使うようになり、置き場所に困ったものは壁にかけて収納。

    寒い日はいままでより一枚多く服を着て、暑い日は庭に水を打って涼を得る。

    そんな生活が身につくほどに、町家暮らしは心地よくなっていきました。

    画像: 朝、表の掃き掃除が終わると、つづけて水をまくことも。「とくに夏場は、水を打つことで涼しい風を招き入れます」

    朝、表の掃き掃除が終わると、つづけて水をまくことも。「とくに夏場は、水を打つことで涼しい風を招き入れます」

    あるものを工夫してやりくりする

    そんな少しずつ楽しめるようになってきた町家暮らしは、美濃羽さんの「ものとの向き合い方」にも関係しているようです。

    「つくづく、新聞紙っていいなと思うんです、いろいろなことに使えるから。

    最初は読みものとして役立つし、読み終わったら庭木や野菜を包んだり、子どもが工作するときにテーブルに敷いたり、窓をふいたり、ごみ入れにしたり。

    そういうものの使い方とか暮らし方って、少し前まではみんなが当たり前にやっていたと思うのですが、いまはそれぞれの専用のものがある。兼用することが少ないですよね。

    いろいろあるのは便利ですが、実はあれこれ手に入れたり管理したりすることって意外と大変。

    町家もそうですが、工夫してやりくりするほうが、シンプルでずっと楽だと思うんです」

    画像: 新聞紙はいつでもさっと取り出せるように、台所のオープンラックにストック

    新聞紙はいつでもさっと取り出せるように、台所のオープンラックにストック

    美濃羽さん流、新聞紙の使い方

    洗面所のごみ入れに

    画像: 洗面所のごみ入れに

    箱型に折ってからクリップではさみ、洗面所の壁にかけてごみ入れとして活用。「ごみがたまったら、袋ごと捨てて交換します」

    三角コーナーの代わりに

    画像: 三角コーナーの代わりに

    「三角コーナーを掃除するのが苦手だったので」と美濃羽さん。野菜くずなどの生ごみは新聞紙を折った箱へ入れ、水をしぼって捨てています。

    <撮影/辻本しんこ 取材・文/山形恭子>

    本記事は別冊天然生活『美濃羽まゆみさんの手づくりのある暮らし』からの抜粋です

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    『美濃羽まゆみさんの手づくりのある暮らし』

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    美濃羽まゆみ(みのわまゆみ)
    洋裁作家、手づくり暮らし研究家。1980年京都生まれの京都育ち。築約100年の京町家で夫、娘、息子、猫2匹と暮らす。20代後半、仕事の育休中に娘の服づくりを始め洋裁作家の道へ。2008年より洋服ブランド「FU-KO basics.」(フーコベーシック)を立ち上げ、シンプルで着心地のいい子ども服・大人服を制作、毎年個展や受注会を開催している。近年はブログやワークショップを通じて「手づくりのあるほんのりていねいな暮らし」を提案するほか、洋裁学校の講師や著書の執筆、京都円町の子どもの居場所「くらら庵」での活動、メディア出演など多方面で活躍。著書に『心に残る、子ども服』(日本ヴォーグ社)、『子どもの「好き」から始まる心地よい暮らし』(大和書房)など。2024年5月に『手ぬいでちくちく、暮らしの布小物』(家の光協会)が発売。



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