家中で一番汚れる場所、洗面所
家族全員が一日何度も使い、間取りによっては脱衣所や洗濯機置き場を兼ねている洗面所のスペースは、さまざまな汚れを落とす場所であるがゆえに、家の中で一番汚れる場所でもあります。
ただでさえ人の出入りが頻繁な上に、服の脱ぎ着をするたび、こすれた服の繊維や、付着した砂などがホコリとなって舞い落ちます。
洗面ボウルには、石鹸カスとともに洗い落とされた汚れがこびりつき、鏡にはいつも水ハネ。そして床には髪の毛や体毛がひっきりなしに落ちる。
わが家では、そんな洗面所を「おしゃれなスペース」にしようなどという高望みは抱いていません。汚れにくい場所にしようなどというムリな希望も持っていません。
「汚れるのは仕方ないから、すぐにきれいにできる」
ことだけをひたすら心掛けています。
そうでないと、あっという間にホコリだらけ、毛だらけになってしまうんですから、洗面所という場所は!
ピッタリ引き出しで奥まで活用
そんな汚れやすい洗面所は、台所の次に雑多なモノが集まる場所でもあります。
化粧品、洗面・入浴、掃除、洗濯、防虫用品、場合によっては、学用品やガーデニング用品が集まることさえあります。
これらが詰め込まれた洗面台の周囲はまさにカオス。
洗面台下はなかなかの容積を持つ大空間なのですが、ガランとしているわりに排水パイプが通っていたりして収納しづらいのがネック。手前にモノを置いてしまうと、奥のモノに手が届かなくなってしまいます。
私は、排水パイプを避けたぴったりサイズの引き出しをはめこむように入れています。引き出しなので、一番奥まで活用できるし、腕を伸ばす必要もありません。
導入時は、何度も洗面台の内法(のり)の正確な寸法を計って確認しました。1センチでも間違えば入らない恐れがあるからです。
いろいろなメーカーのオンラインカタログを比較してぴったりサイズのものを探し、実際にホームセンターで手に取って買いました。ぴったり入った時は、思わずガッツポーズです。
引き出しの分類は「掃除」(洗剤や掃除用のブラシ、防虫グッズもここ)、「洗濯」(洗濯板、タワシなど)、「洗面・入浴」(石鹸など)、「雑巾」とおおざっぱに分けています。
ときどき中身を整理してモノが増えないように気を付けています。
引き出しと引き出しの間にモノを置くときも、排水パイプ前だけに置き、奥にはモノを置きません(見えなくなるから)。
使いこなせない収納はないものと考える
洗面台には、ちょっとした棚や引き出しが装備されています。しかし、残念なことに、それらがある位置は左側。右利きの家族は、左側にしまわず、ヘアムースや化粧水をついつい右側に置きっぱなしにしてしまい、せっかくの収納があまり活用できていませんでした。
自然に体が動かない位置にある収納は、結局役に立ちません。
そのため、左側の収納を無理に使うことはあきらめ、右側に無印良品の木製小引き出しと籐のカゴを重ねて置きました。
小引き出しにはピンや化粧品などの小物を、カゴにはヘアムースや化粧水など背の高いものを収納しています。
片づけやすい位置に収納があると、洗面台が散らからなくなりました。籐カゴは背が高いので、化粧品の派手なボトルも目立ちません。
もともとの収納(高さのある二杯の引き出しと壁面の収納ユニット)には、香水や歯磨きの買い置き、かさばる洗濯ネット、引き出しに入らない背の高いワックス類を入れてあります。
洗面所掃除の強い味方、アルコールスプレー
鏡の水ハネの跡を絞ったタオルで拭いていた時は、拭き跡がついた箇所をさらに乾拭きしなければならず二度手間でした。
しかし、消毒用アルコール(77%)をスプレーして乾拭きするようにしたところ、水分がすぐに揮発するため拭き跡が残らなくなり、鏡の掃除がラクになりました。
このアルコールは洗面台の上、蛇口などにも使え、殺菌にもなりますから、今では欠かせない掃除ツールです。
基本的に、洗面所の掃除は、朝、顔や手を洗って拭いた後のタオルを使い、一度にササっと一拭き。拭いた後は洗濯機に放り込み、そのままほかのものと一緒に洗ってしまいます。
出しっぱなしものがあればついでにしまって、だいたい2分で終わります。
「片づける」と「見つける」が一度にかなう「引っ掛け収納」
何でも掛けて収納するのが好きな私。「引っ掛ける」は、「片づける」ことと「見つける」ことを同時にクリアできるため、台所や洗面所のような場所では大活躍なのです。
どちらも湿気のある場所ですから、掛けておいた方が気分よく使えます。
右手壁面のタオルバーは、もともとはもっと小ぶりのものだったのですが、引っ掛ける場所を増やしたくて、幅広のものに替えました。
タオルだけでなく、寝ぐせ直しの水スプレー、掃除用のアルコールスプレー、最近では布マスクを洗う前の一時置き容器も引っ掛けています。
人は髪の毛をまき散らしながら生きている
最も汚れやすいのは床で、気をつけて見ていると、人が出入りするたびに髪の毛は落ちています。
毎回拾うのもイライラするので、洗面所には愛用の三角ヘッドのフローリングワイパーを吊るしておき、気がついたときに髪の毛やホコリを集め、ティッシュでくるんで捨てています。
集めきれなかったホコリにはアルコールを吹き付け、ティッシュで拭いて終わり。
殺風景な洗面所かもしれませんが、この状態がいちばんストレスがかからないので、自分にとってはこれでいいと思っています。
飾るものを置いたりすれば、ただでさえモノの多い洗面所はよりゴチャゴチャし、掃除の苦手な私はのヤル気が出なくなってしまうことがよくわかっていますから。
〈漫画/ハラユキ 撮影/山田耕司〉
金子 由紀子(かねこ ゆきこ)
1965年生まれ。出版社での書籍編集者を経てフリーランスに。1973年、第一次石油ショックで大人たちの買いだめにショックを受ける。自らの出産・育児経験から「現実的なシンプルライフ」の構築の傍ら、All About「シンプルライフ」初代ガイドを務める。近著に『クローゼットの引き算』(河出書房新社)amazonで見る 、『50代からやりたいこと、やめたこと』(青春出版社)amazonで見る 、『ためない習慣』(青春文庫)amazonで見る ほか20冊以上。
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ハラユキ
コミックエッセイスト、イラストレーター。書籍、雑誌、Web、広告などの分野でエッセイ漫画、挿絵イラストなどで幅広く活躍。2年間のバルセロナ滞在を機に海外取材もスタート。主な近著に、家事育児分担と家族のコミュニケーションをテーマとした「ほしいのはつかれない家族」(講談社)、うつの初心者向きガイド『だれでもみんなうつになる』(KADOKAWA)。家族をテーマにしたオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰。
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