(『天然生活』2022年8月号掲載)
使い切りレシピ
野菜を丸ごと使うことによるメリットは、“環境のため”だけではありません。
「ごみを減らすのはもちろん、味わいでも大いにプラスになります」と料理家のワタナベマキさん。たとえば、とうもろこしの芯には、栄養やうま味がたっぷり含まれています。
かたさゆえ、それ自体を食べることはなかなか難しいのですが、“だし”素材としては実に優秀。セロリの葉も長ねぎの青い部分も、いままでなぜ使っていなかったのかと、驚く香り高さです。
「ブロッコリーの茎やとうもろこしのひげも、先入観から使わない部分がなんと多いことか。さらに、つい捨てがちな根菜などの皮やゴーヤーのわたは、栄養価がとても高いんです。うま味も濃かったり、ほかの食材では出せないユニークな食感があったりと、活用しないのはもったいないと思います」
いつもの習慣で、“余分なもの”として切り落とす、こそげるその前に、試しにひと口、味わってみてください。
少し筋が気になるのなら、そこだけを取り除く。意外なおいしさを感じたなら躊躇なく、料理の素材として取り入れてみる。
ひとつ丸ごとをむだなく使い切れたとき、野菜への感謝の気持ちはいっそう大きくなり、どこかすがすがしい心持ちになっていることに気づきます。
芯も一緒に
とうもろこしの炊き込みごはん
おいしいだしが出る芯を、一緒に炊き込みます。梅干しのさわやかな酸味で、とうもろこしの甘さが際立ちます。
つくり方
1 米はといで、ざるにあげる。
2 とうもろこしは皮をすべてむいて長さを半分に切り、包丁で実を削るようにしてはずす。実をはずした芯もとっておく。
3 土鍋に1と2の実2本分と芯1本分、梅干しを入れ、Aを注ぐ。ふたをして強火にかけ、沸いたら弱火にして12分程度炊く。火を止め、10分蒸らす。とうもろこしの芯と梅干しの種を取り出し、ごはんをほぐしながら具を混ぜて器に盛る。
材料(2〜3人分)
● 米 | 1.5合 |
● とうもろこし | 2本 |
● 梅干し | 2個 |
● A | |
・水 | 400mL |
・酒 | 大さじ1 |
※炊飯器で炊く場合は、水分量が2合の目盛になるよう水で調整し、普通に炊く。
<料理・スタイリング/ワタナベマキ 撮影/公文美和 取材・文/福山雅美>
ワタナベマキ(わたなべ・まき)
料理家。旬の素材とシンプルな手順でつくる、日常のレシピで人気を集める。最近、畑を借りて自ら野菜を育てることに挑戦中。その経験を通して、ますます、食材を「食べきる」ことの大切さを実感するようになった。著書に『ワタナベマキの10の定番弁当』(扶桑社)など。https://maki-watanabe.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです