(『天然生活』2021年9月号掲載)
お気に入りのブルーグレーをベースに
20年以上暮らした家からの引っ越し。台所も気分を変えて、えいっとすべてを真新しく……とは考えませんでした。
なぜなら、これまでの台所こそ、結婚し、子育てをしながら、右往左往しつつ築き上げた自分の城だったから。とくに不満なんてなかったし、使いづらいと感じた時点で、すぐにあれこれ手を動かして、ベストな状態に改良を重ねてきたのです。
新居の台所の、印象的なブルーグレー。これだって、以前の台所から引き継いだエッセンス。
「少し前から、こんな色合いにひかれているんです。1年ほど前に、前の家の台所をこの色にペイントしてみたほど。とても気に入っていたから、新しい台所も、この色をどうしても取り入れたくて」
台所で目をひくのは積み重なったキャニスター。
いまは独立して別の場所に暮らす娘さんが新居に帰ってくると、「あ、これがあると、うちの台所って感じがする」とホッとした顔を見せました。
全面に貼ったタイルも、基本的には前の家からの雰囲気を踏襲。ただ、以前は細かいタイルだったため、目地の掃除が大変でした。
そこで、今回は大きめのタイルに変更。長年使って実感したゆえの、マイナーチェンジです。
「新しく買ったものも、大物はそんなになくて。処分したのは主に食器くらいでしょうか。これまでも台所はちょこちょこ手を入れてきたので、実はあまり大きな変化はないんです。子どもたちが大きくなった分、かき氷機などは手放したので、少し大人っぽい雰囲気になったかな?というくらいで」
〈撮影/有賀 傑 取材・文/福山雅美 イラスト/ホリベクミコ〉
香菜子(かなこ)
モデル、イラストレーターとして活躍する傍ら、プロダクトブランド「ヴィルヘルムス」を主宰。ロタ名義で初めて手がけた絵本『おぱんつくん』(若芽舎)も好評。HOTEL VILHELMS
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです