(『天然生活」2021年5月号掲載)
リズミカルにタスクをこなし、一日を軽快にスタート
大切にしているのは、目覚めてからのルーティン。考えずとも、体が勝手に動いている状態が理想です。いつもと同じ動作を重ねていけば、だんだん頭もクリアになります。
リズミカルにタスクをクリアすることで、今日一日が軽快に、なめらかに動き出す感覚。
「朝が心地よく始まったなら、たいていの物ごとは、不思議とうまくいく」。
それが、香菜子さんの持論です。
「早起きは、苦にならないタイプなんです。いまはかなり遅くなりましたが……とくに朝が早かったのは、子どもたちが小さかったころでしょうか。少しでも自分の時間を確保するには、早起きするしかなかったものだから」
朝は“自分と向き合う大切な時間”
仕事と育児を両立する日々、気持ちを保つために必要だったのが、自分のペースで動ける時間でした。
窓を開けて空気を入れ替える。すがすがしい空気を胸いっぱいに吸う。朝食の準備をし、部屋を整える。たとえ家事であっても、朝のひとときは、だれにもじゃまされない自分と向き合う大切な時間だったのです。
ところが最近は、“ひとり”とはいかない様子。
「いままでずっと、一番の早起きは私だったんですが、最近、もっと早く起きる家族が登場しまして」
それは、2020年にやってきた猫のヴォンちゃん。さすがの香菜子さんも負けを認める朝型で、早朝から元気に遊びまわります。
厳密には、“朝のひとり時間”ではなくなりましたが、子どもたちに手がかからなくなりつつあるいま、なんだかその甘えぶりもかわいく懐かしく、朝時間の新しい相棒に、つい目を細める香菜子さんです。
暮らしの変化に合わせ、より効率重視の朝時間に
2020年は、暮らしにもうひとつの変化がありました。それは、仕事用のアトリエを借りたこと。
結果、家での朝時間では、より効率を重視するようになったといいます。
「これまでは、イラストなどを描く仕事は自宅でしていたので、仕事中も家事が気になったり、どっちつかずの時間がけっこうあって、むだも多かったんです。“10時までにアトリエに行く”というルールが課せられたことで、朝時間は自分の時間であるとともに、頭を仕事に切り替えるため効率よく家事を済ませる時間にもなりました」
ちなみに現在は、7時前からスタートしている朝時間。息子さんの高校進学を機に、大幅に前倒しの予定です。
「息子の高校進学で、お弁当生活がスタート。6時前には起きることになります。久々の早起きでプレッシャーはあるけれど、ヴォンちゃんもいるし、朝のさわやかな時間をより満喫できると思うと、ちょっと楽しみでもあるんです」
香菜子さん流 一日のリズムをつけるスイッチの切り替え方
昨日から今日へ、家庭から仕事へ。気持ちを上手に切り替えるための香菜子さんのスイッチです。
窓を開けて換気し、太陽の光を浴びる
洗顔を済ませてヴォンちゃんにごはんをあげたら、何はなくとも窓を開け、朝の光と空気を家じゅうに行きわたらせる。
「西と東の窓を開け、空気の通り道をつくります。朝のまっさらな空気を胸いっぱいに吸い込めるのは、家族で一番早く起きた人の特権ですよね」。
カーテンをさっと開ける瞬間が、毎朝のことながら、とても気持ちいい。
事務仕事は午前中に集中してやる
アトリエに到着してまずやることは、お茶の準備。
ゆっくり味わいながら、メールチェックをはじめ、振り込みや請求書の確認・発送などの事務仕事をこなし、少しずつ頭が仕事モードへと切り替えられていくのを待つ。
そうこうしているうちにお昼の時間になり、クリエイティブな作業はそのあと。
頭が事務作業からも切り離される午後に集中して行う。
〈撮影/有賀 傑 取材・文/福山雅美〉
香菜子(かなこ)
モデル、イラストレーターとして活躍する傍ら、プロダクトブランド「ヴィルヘルムス」を主宰。ロタ名義で初めて手がけた絵本『おぱんつくん』(若芽舎)も好評。HOTEL VILHELMS
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです