(『天然生活』2022年9月号掲載)
見えている部分はきっちりと、隠れた場所はおおらかに
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
「潮風を感じる暮らしがしたい」と、神奈川・茅ヶ崎に「もうひとつの家」を構えたのは昨年のこと。67歳での暮らしの変化です。
「海の家の近くの平屋に住むという憧れは、60年近く抱いていたものです。いまのマンション住まいではかなわない、庭を横切る猫を眺めたり、屋根につたう雨の音を楽しんだりしたかったんです」
年齢を考えたら、数年の期間限定。新しい暮らしを増やすというより、いまの生活のオプションとして、海辺の家があるというイメージです。
期間が限られるから、極力ものは増やさず、「あるもの」を生かして生活の場を整えました。
ほどほどに整える
ものは増やさず「あるもの」でまかなう
年齢的に「ずっと」は考えていない二拠点生活。「使いまわし」を心がければ、持ち物は増えず、精神的にも負担がありません。
素材をそろえて並べる
持っていた作業台を道具棚に。白の陶器、ステンレスなど、同じ素材ごとにかたまりをつくって並べると、美しく整った印象に。
天板の上には何も置かず、お茶を飲んだり、朝食など簡単な食事をしたりテーブルとして使用することも。
アウトドアの椅子を室内でも
「海岸に行くときに」と購入したアウトドア用の椅子。しまっておくのではなく、リビングに置いて、ソファのように愛用。
「軽く持ち運びがしやすく、部屋を広く使いたいときは折りたたんでしまっておけてとても便利です」
押し入れは、棚として活用
一部の押し入れは戸を外して、空間が広く見えるように。
好きな古いものを並べてギャラリー風にしつらえた。詰めすぎず、余白のあるレイアウト。
余り布をカーテンに
デザイナーという仕事柄、布はたっぷり。余り布にフックをつけてカーテンに。
「古い家で脱衣場がなかったので、目隠しの布をつくりました」
天板とりんご箱で即席テーブル
余っていた天板をテーブルに。脚はりんごの木箱にキャスターを付けたもの。
木箱にはものをしまっておけ、移動も楽、フレキシブルに使えます。
玄関はクリーンな印象にしたく、靴箱を白にペイント。
お気に入りのアートや道具を並べ、ギャラリーのようなスペースに。
<撮影/砂原 文 取材・文/鈴木麻子>
山中とみこ(やまなか・とみこ)
布作家/2003年、49歳のときに大人の普段着のレーベル「CHICU+CHICU 5/31」をスタート。現在は、埼玉県所沢市にてギャラリー&ショップ「山中倉庫」を不定期オープンしているほか、全国のギャラリーなどで展示会を開いている。『時を重ねて、自由に暮らす 50代、60代からの衣職住』(エクスナレッジ)などの著書がある。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです