• 読書の時間は暮らしの句読点。ひとりで本を読みながら過ごせる静かな喫茶店を、文筆家の川口葉子さんに教えてもらいました。今回は、名古屋・本山にある「星屑珈琲」を紹介します。
    (『天然生活』2023年9月号掲載)

    “おひとり専用喫茶”で夜の珈琲と読書を愉しむ
    名古屋・本山「星屑珈琲」

    川口葉子さんが案内するゆっくり読書ができる喫茶店

    画像: 川口葉子さんが案内するゆっくり読書ができる喫茶店

    名古屋の「星屑珈琲」は、「群れない魂の止まり木」をコンセプトにした珈琲店です。ビルの2階の廊下のつきあたりに、淡い灯を湛えた黒い扉がひっそりと存在するのをみつけたとき、遠い星の光が洩れているようだと思いました。

    「星屑珈琲」は“おひとり専用喫茶”として、お酒ではなく珈琲の深い香りに身を浸しながら夜の時間を過ごしたいと願う人々を迎え入れています。

    画像1: 夜の“おひとり”専用喫茶。名古屋・本山「星屑珈琲」文筆家・川口葉子さんが案内する、ゆっくり読書ができる喫茶店
    画像2: 夜の“おひとり”専用喫茶。名古屋・本山「星屑珈琲」文筆家・川口葉子さんが案内する、ゆっくり読書ができる喫茶店
    画像3: 夜の“おひとり”専用喫茶。名古屋・本山「星屑珈琲」文筆家・川口葉子さんが案内する、ゆっくり読書ができる喫茶店
    画像4: 夜の“おひとり”専用喫茶。名古屋・本山「星屑珈琲」文筆家・川口葉子さんが案内する、ゆっくり読書ができる喫茶店

    一杯ずつ珈琲豆を挽きネルでドリップするのは時間のかかる作業。読書しながらのんびりと待つのも楽しみのうち。書籍『星屑珈琲』は、岩井さんの義姉にあたるイラストレーターの平岡瞳さんの版画作品に、岩井さんが綴った珈琲にまつわる文章を組み合わせた本。ページにはお店と同じ空気感が漂っている。

    「世の中には静かな場所が少なすぎると思う」とやわらかな口調で語る店主の岩井さんは、過眠症という不思議な病気の発症をきっかけに会社を退職し、ひとりで営むことのできる珈琲店を開きました。

    自家焙煎する珈琲のとろりとした甘苦さ。店内のそこかしこに並ぶ岩井さんの蔵書。その店内に満ちている美しい静けさを思い出しながら、次に訪ねるときは長年の愛読書である保坂和志の『猫に時間の流れる』を持参して、心ゆくまで文章に耽溺しようと考えています。

    旅先にそんな喫茶店があるのは幸せなことですね。

    好きな組み合わせ
    珈琲とプリン

    画像: 好きな組み合わせ 珈琲とプリン

    自家焙煎する珈琲は、深煎りを主軸に中煎りから浅煎りまでそろう。今回は深煎りのマンデリン650円をプリン350円と合わせて注文。日替わり菓子はレアチーズケーキや季節の果物のタルトなど。

    星屑珈琲
    住所:愛知県名古屋市千種区本山町4-74-1 IB本山2階B
    営業時間:15:00〜23:00
    定休日:月、火曜
    インスタグラム:@hoshikuzucoffee

    ※喫茶は1名のみ



    <取材・文/川口葉子 撮影/千葉亜津子>

    川口葉子(かわぐち・ようこ)
    ライター、喫茶写真撮影家、カフェイン中毒。約30年にわたり全国のカフェや喫茶店を訪れてきた経験をもとに、書籍やWebなどで記事を執筆中。著書に『東京の喫茶店~琥珀色のしずく77滴』(実業之日本社)、『東京古民家カフェ日和』(世界文化社)、『京都カフェ散歩~喫茶都市をめぐる』(祥伝社)ほか多数。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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