(『天然生活』2023年10月号掲載)
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
疲れはその日にいやす。私をゼロに戻す夜時間
「夜の時間は、一日の終わりではなく、次の日の始まりなんです」。
歳を重ねるにつれ、そう考えるようになったという脇もとこさん。仕事などで外に出ている日以外は、夕食が終わると、キッチンまわりの掃除を済ませ、心身を明日に向けて整える準備を始めます。
「常に自分の体の声を聞いて、自分をニュートラルにすることを目指しています。神経が高ぶっていると感じたら、心が落ち着く精油を焚いたり、胃腸がもたれていると感じたらハーブティーを飲んで落ち着かせたり。
傾いたバランスを何かで補って、微調整しながら夜のうちに自分を正常に戻したいんです。そのためのセルフケアの方法をいくつかもっていたいと思っていますね」
49歳で体の不調を感じたことで、夜の過ごし方に変化が
夜の過ごし方で心身を整えようと思ったきっかけは49歳のとき。明らかに体の変化と不調を感じ、それまで以上に自分の体と心に向き合うようになったといいます。
参鶏湯(サムゲタン)研究家として活動を始め、中医学の知識も深めていたことから、自分の体で実験するように、体に取り入れるもの、五感で感じるものによる変化を見ていったのだそう。
「いまでは薬膳やハーブティー、フラワーレメディなど、セルフケアの味方がたくさんできました。そして、続けていると確実に効果が出てきて、それが面白くて。不調があっても、その日のうちにケアすることで、朝のスタートも早くなりました」
夜の家事は、心のモヤモヤを流す瞑想タイム
夜の家事も次の日の心に作用する段取りだと脇さん。多少疲れていても片づけておく、シンクやガス台を磨いておくだけで、朝の光に照らされた家の様子が気持ちを清々しくしてくれるのです。
「家の乱れは心の乱れとよくいいますが、本当にそうですね。心が疲れているときにあえて掃除をすると終わったころにはすっきりしているんです。
疲れているはずなのに、食器やカトラリーを黙々と磨いてしまったり。瞑想に近いというか、何も考えずに体を動かすことで、心にたまったモヤモヤを自然と流しているのかもしれません」
自分が整ってはじめて、人のために動ける
アーユルヴェーダにおいて「健康とは人のためにすぐに動ける状態」という考え方があります。つまり人のために動ける余力のある整った体と心こそが健康ということ。
「娘ができて、母親になったときも実感しましたが、自分に余裕がないととても子どもにまで手が回らない。だからこそ、疲れやストレスはどんどん手放すことが大切。ひとりになれる夜こそ、自分の声を聞く時間にしたいです」
特別な夜の習慣
次の日が休みの日や、疲れがたまった夜には、いつもできないことをじっくりと。
新聞をまとめてゆっくり読む
新聞は情報収集ツールのひとつであり、新しい価値観を得るきっかけという脇さん。
「テレビは見ないので、時事ネタはここでキャッチ。コラムや特集記事も、深く物事を考えるきっかけになります」
とはいえ、毎日は忙しく、読めないままたまっていくことも。時間のある夜に、日付順に読む時間は至福のひと時だそう。
耳のツボや、頭のマッサージをする
今日はちょっと疲れがたまってしまったと思う夜には、入浴中や入浴後に耳ツボや頭のマッサージを念入りに。
「とくに耳には体中のツボが集まっているんです。指を使ってぐるぐる回したり引っ張 ったり、揉みほぐしたりすることで、全身をほぐしているような効果が。血流がよくなり、顔色も明るくなりますよ」
〈撮影/三村健二 取材・文/竹田理紀〉
脇もとこ(わき・もとこ)
参鶏湯研究家、漢方植物療法士。完全食である参鶏湯に魅了され中医学や漢方、植物療法を学ぶ。薬に頼らず身近な食材で体調を整えられるように、というテーマで漢方薬局と共同開発した参鶏湯スパイスセットや冷凍参鶏湯、ハーバルビネガー販売のほか、個人セッションによるハーブティー処方やライフスタイルアドバイスを行っている。https://kitchenpharmacy.shop/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
天然生活2024年10月号では「私が整う夜時間」を特集しています。
「今日のやらなければいけないことを片づけ、心と体をほぐす、いやしの夜時間。
新しい明日を迎えるために、まずはまっさらな自分へとリセットを」
ぜひご覧いただけましたら幸いです。
天然生活 2024年10月号
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