(『天然生活』2021年10月号掲載)
人生について学ぶ本
アミ 小さな宇宙人
エンリケ・バリオス著 石原彰二訳 徳間文庫
少年と宇宙人の子どもとの交流を通じて、人間が生きていくうえで大切なことはなにかを説いた世界的ベストセラー。「はっとさせられるような表現がたくさんあり、繰り返し読んでいます」。
さよならのあとで
ヘンリー・スコット・ホランド著 高橋和枝絵 夏葉社
イギリスで長く読み継がれてきた42行の詩に美しい挿絵が添えられている。「生きていくうえで避けられない大切な人との死別。それを悲しまなくていいと書かれていて、とても救われました」。
心を励ます本
いのちを呼びさますもの
稲葉俊郎著 アノニマ・スタジオ
心臓の専門医である著者が、こころとからだ、医療の本質、創造の力について綴った一冊。「視野が広くて芸術への理解も深い。いのちへの愛情にあふれている著者をとても尊敬しています」。
センス・オブ・ワンダー
レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 新潮社
『沈黙の春』の著者による作品。自然の神秘や不思議さを感じ取る感性の大切さが書かれている。「答えは自然のなかにある。そのことに気づく感覚を磨きつづけなければと思わされる一冊」。
家時間の相棒
月の癒し
ヨハンナ・パウンガ―、トーマス・ポッペ著 小川捷子訳 飛鳥新社
オーストリアのチロル地方に昔から伝わる、月のリズムに沿った生きる知恵を紹介。「自然と自分は影響を与え合っていると実感。2年前にこの地を実際に訪れましたが、神秘的な場所でした」。
おやつですよ くり返し作るわたしの定番レシピ集
なかしましほ著 文藝春秋
人気のおやつ工房「フードムード」店主によるレシピ集。「シンプルなレシピで手順も簡単なのにおいしい。この本のお菓子は何度もつくっていて、ベルリン暮らしの際にも持っていきました」。
新しい知識を学ぶ本
人新世の「資本論」
斎藤幸平著 集英社新書
終わりなき経済成長の追求が地球の危機を招きつつある現代に警鐘を鳴らし、新しい社会のあり方を提示。「現実を知ったうえで、今後どう生きるかを一人ひとりが選択しなければと思います」。
光の魂たち 動物編
森井啓二著 きれい・ねっと
人間の生活が原因で動物が絶滅の危機に瀕している事実のほか、動物と人間との交流についても紹介されている。「知らないではすまされない、知る努力をすべき事実が書かれています」。
〈撮影/公文美和 取材・文/嶌 陽子〉
小川 糸(おがわ・いと)
2008年、『食堂かたつむり』でデビュー。同作品は2010年に映画化された。30冊以上の本を出版、多くの作品が様々な国で翻訳出版されている。『ライオンのおやつ』はテレビドラマ化。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです