• 居心地よく部屋を整えることは、快適な家時間のために大切なこと。自分や家族が心地よく過ごせる空間のつくり方を見つけた、5人の整え方を拝見します。今回は、整理収納アドバイザー・水谷妙子さんの暮らしの整え方です。
    (『天然生活』2021年1月号掲載)

    自分を大切にするためにも、片づけは“家族全員”で

    訪ねたのは土曜日。

    3人の子どもたちがにぎやかに遊ぶなか、親の「片づけよう」のひと声でそれぞれがサッとお片づけ。一瞬でリビングがきれいに整えられました。

    「片づけを私ひとりが担うと、いつも私がやることになる。そうならないよう、家族全員が片づけられる仕組みをつくってあるんです」

    画像: 自分を大切にするためにも、片づけは“家族全員”で

    この様子からは想像もできませんが、実は水谷さん、10年前までは片づけが苦手で、家事をうまくまわせないことが長年の悩みでした。

    心の変化が生まれたのは、長女が誕生した直後のこと。

    「それまでは自分ががんばればどうにかなる、と無理をしていたんですね。けれども出産後、それが限界を超えて産後うつのような状態になってしまって。夜、夫が帰宅すると、真っ暗でぐちゃぐちゃの部屋に私が座っている。極限状態だと気づいた夫が『もう家事は何もしなくていいから』といってくれ、一気に心が救われました」

    画像: どの年齢でもパッと認識できるように、ひきだしにはひらがなとイラストのラベルを貼っている。子どもたちも自分で整えられる工夫が満載

    どの年齢でもパッと認識できるように、ひきだしにはひらがなとイラストのラベルを貼っている。子どもたちも自分で整えられる工夫が満載

    画像: 「無印良品」のファイルボックスは、90度寝かせて使用。中身が見えて子どもでも出し入れしやすいので、片づけの習慣づくりに

    「無印良品」のファイルボックスは、90度寝かせて使用。中身が見えて子どもでも出し入れしやすいので、片づけの習慣づくりに

    家を整えたら、長年の悩みだった家事が楽になった

    気持ちは軽くなったものの、部屋は変わらず手のつけようもない状態。探しものには時間がかかり、着替えは洗濯物の山から引っ張り出す……。

    この状況を抜け出したいけれど、自分ではどうにもできない。藁にもすがる思いでお願いしたのが、プロの片づけ相談サービスでした。

    部屋の現状を診断してもらい、具体的なアドバイスを受けると所有物は3分の2に減量。さらに頻度や用途で分類することで、みるみる部屋が片づいていき、「家を整えるって、こういうことか」と確かな実感がありました。

    家事が楽になり、怒ったりイライラしたりすることも減ったとか。

    この経験から、現在は自身も整理収納を教えるアドバイザーに。

    「いまでは夫も自発的に家事をしてくれています。子どもの忘れものが多ければ、その子が悪いのではなく、忘れない仕組みを一緒につくればいい。整え方を見直してみると、解決の道があるはずです」

    画像: 取材中、子どもたちの片づけ上手ぶりに驚き! 幼いながらも、どこに何を戻すか理解しているのは、仕組みづくりの賜物だそう

    取材中、子どもたちの片づけ上手ぶりに驚き! 幼いながらも、どこに何を戻すか理解しているのは、仕組みづくりの賜物だそう

    水谷さんの「心の整え方」

    夫婦のコーヒー時間

    以前は手軽な1杯用のドリップタイプで愛飲していた水谷さん。夫婦で在宅が増えたことで、豆からコーヒーを楽しむように。

    画像1: 「家族全員」で片づける家。整理の仕方を見直して、“ひとりで家事を抱え込まない”空間の整え方/整理収納アドバイザー・水谷妙子さん

    ネイルをして心を穏やかに

    子どものころから、イライラすると爪をかむくせがあったそう。ネイルを習慣にしてから、ピタッとなくなった。

    画像2: 「家族全員」で片づける家。整理の仕方を見直して、“ひとりで家事を抱え込まない”空間の整え方/整理収納アドバイザー・水谷妙子さん

    外出自粛で花を買うように

    花のセレクトは、部屋の写真や花瓶の高さを伝えて、フローリストにいつもおまかせ。手入れが少なく、長持ちするものを中心に。

    画像3: 「家族全員」で片づける家。整理の仕方を見直して、“ひとりで家事を抱え込まない”空間の整え方/整理収納アドバイザー・水谷妙子さん


    〈撮影/鍵岡龍門 取材・文/大野麻里〉

    水谷妙子(みずたに・たえこ)
    「無印良品」で生活雑貨の企画デザインに13年間携わり、2018年に独立。著書に『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)など多数。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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