やりたくないことは手放しても大丈夫
みなさんの、やりたくないことは何ですか? わたしは、やりたくないことの中には「しなくてもいいこと」と「どっちでもいいこと」があると思うのです。
わが家は自営業なので収入は不安定です。収入の安定のために、定期的な収入が得られる下請けのデータ作成の仕事をしていたことがありました。自分で決めたことでしたが、言われた通りにこなさなければいけない仕事がどうにも苦手で。
けれども、仕事を受けたからには、ていねいにつくりたいと思ってしまうタチで、時間をかけてしまうんです。それもかなりの時間を。
そんなジレンマに相当悩みましたが、結局、その仕事を辞退させてもらうことにしました。
安定収入はとてもありがたかったのですが、 やめたあとは「なんて自由なんだー!」と、解放感でいっぱいでした。なんと言っても時間という豊かさを手に入れたのですから。
これまでを振り返ってみると、無意識に社会の常識にとらわれ、収入の安定や貯蓄ばかりを気にしすぎている自分がいました。もちろん、それも大切なんですが、自分にとってちょうどいいバランスを見つけたいな、とそのときに強く思いました。だから「やりたくないことはやらない」と、決意したのです。
でも、その後、気持ちが揺らぐことはフツーにありました。そんなとき、気持ちを保つお守りとして、自分に言い聞かせていたのが、「過去も未来もなくて、今があるだけ」という言葉。
過去も未来も幻想なんです。今の自分しか存在できない。今、今、今、今しかないので、今ここで呼吸できているだけで大丈夫ってことにしました。
この「今の連続でしかない」という現実に気づいてからは、将来のことを必要以上に怖がることがなくなりました。それに加え、「やらない」と決めたおかげで、自然と生きる勇気が湧いてきた気がします。
「わたしの資源(好きなことや得意なこと)で収入を得よう」と。
そう覚悟すると、手描きのイラストのデザイン素材をつくって販売するなど、今まで思いもつかなかったことで収入を得られることに気づきました。
初めの一歩はドキドキするけれど、自分の方針を決めたおかげで、いろいろなことにチャレンジができるようになりました。
本記事は『わたしの芝を青くする』(扶桑社)からの抜粋です
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YouTube登録者数13万人超。人気Vloggerによる「こころの整理術」
知らず知らず目に入る膨大な情報のなか、「自分らしくあること」はますます難しくなっています。自分らしい選択、自分らしい暮らし、自分らしい生き方......その答えを求めつつ、なかなか実体をつかめないのは、実生活において、自分の「こころ」に焦点を合わせるのは案外難しいことだからではないでしょうか。
社会、家庭での役割のために、「今」の暮らしを継続するために、感情を押し殺したり、問題に蓋をしたりしがち。ですが、そんな感情と向き合うことを避けていては、いつまでたっても、こころから満足のいく自分にはたどりつけません。「自分らしい選択、暮らし、生き方」を実行するには、「こころの整理」が必要なのです。
本書の著者であり、フリーデザイナー&Vloggerとして活動する「hibi hibi」のasakoさんは、平日は好きな仕事に邁進し、休日は畑作業や山歩きなどの趣味に没頭。こうした現在の「足るを知る」暮らしぶりとは真逆に、かつては「なにをしてもしあわせになれない」と、もがき苦しんだ時期があると言います。そんな頃、あるきっかけから、「しあわせ」に対する考え方が変化。以来、こころを整えるためのレッスンを自己流で実践するうちに、少しずつ、毎日が変わっていきました。
本書では、著者がこれまでに取り組んでみて「よかった」と思える、こころの整理術を厳選し、その実践方法について紹介しています。ぜひ、この本をヒントに、あなた自身のこころを整理してみてください。そして、隣の芝が気にならないほど「自分らしさ」を肥やしていってください。
<撮影/清水洋 イラスト/asako>
asako
デザイナー。2019年の春よりYouTubeで発信している暮らしの動画「hibi hibi」が大人気。2LDKのマンションに夫、白猫のしろ、くろと暮らす。著書に『明日へのたね蒔き』(主婦の友社)、『hibi hibi モノを手放して暮らしを整えたら、こころも身体も楽になった』(大和書房)など。インスタグラム:@asako_kuma