• 自分で育てた野菜や、庭の植物を使って保存食をつくったり、インテリアに少し手を加えたり。手づくりは暮らしを豊かにします。今回は、料理家・たかはしよしこさんの手づくりを楽しむ暮らしを紹介します。
    (『天然生活』2020年11月号掲載)

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    畑を耕し、レシピを生み出し、実験的に楽しむ

    「春に摘んで乾燥させたヨモギは、パンケーキやゼッポリーニ(※イタリアのピザ生地の揚げパン)に混ぜたり、ニセアカシアの花は、甘やかな香りが素敵だったのでシロップにしたり。こんなにいっぱい植わっているのを初めて見たラベンダーは、料理にも。畑ではハーブや野菜などを30種類ぐらい育てていて、別の場所には、すももやいちじくなど、果樹も10本ほど植えたんです」

    義祖父に当たる風景写真家、故・前田真三さんの写真館「拓真館」のリニューアルを、夫で写真家・デザイナーの前田景さんが手がけるため、東京から北海道・美瑛町へ引っ越して来た、料理家のたかはしよしこさん。

    移住してまだ4カ月にもかかわらず、すでに畑を耕し、収穫物で新しいレシピを生み出し、と、すっかり新天地での暮らしを楽しんでいました。

    画像: 「日々採れたてを味わえるのがうれしくて。なかなかおいしいんですよ」。たかはしさんがいとおしそうに見つめる自家製の野菜。どれも勢いにあふれ輝いていた

    「日々採れたてを味わえるのがうれしくて。なかなかおいしいんですよ」。たかはしさんがいとおしそうに見つめる自家製の野菜。どれも勢いにあふれ輝いていた

    画像: お昼の用意をしていると、「私もやる~」とおにぎりを手際よく握ってくれた娘の季乃ちゃん。ふだんから一緒に台所に立ってごはんをつくることも多いそう

    お昼の用意をしていると、「私もやる~」とおにぎりを手際よく握ってくれた娘の季乃ちゃん。ふだんから一緒に台所に立ってごはんをつくることも多いそう

    「もう手が追いつかないくらいです。自然が本当に豊かで、いまは道端を眺めているだけでも次々に植物が花を咲かせる盛りのころ。ふだんから食べられそうなものはチェックするので、やりたいことがどんどん出てきちゃって」

    そう眩しい笑顔で話してくれるよしこさん。なにせお住まいのある敷地は、拓真館や畑含め、一万坪。

    敷地内には、真三さんが植えたラベンダー畑や、さくらんぼ、ブルーベリーにハスカップなど、さまざまな樹木が生い茂り、自慢の白樺並木は250mにも渡ります。

    画像: 敷地内にある白樺の回廊は、お気に入りの場所。33年前に背丈ほどの高さだった2500本の白樺が、見事に成長した

    敷地内にある白樺の回廊は、お気に入りの場所。33年前に背丈ほどの高さだった2500本の白樺が、見事に成長した

    画像: 「夫が散歩中に偶然見つけたんです」というブルーベリーの藪。この日は葉に隠れるように、かわいい実をいっぱいつけていた

    「夫が散歩中に偶然見つけたんです」というブルーベリーの藪。この日は葉に隠れるように、かわいい実をいっぱいつけていた

    画像: リビングには、フィンランドでサウナに入るときに使う白樺の枝の束「ヴィヒタ」を、倒れた白樺から手づくりして吊り下げている。近づくとさわやかな緑の香り

    リビングには、フィンランドでサウナに入るときに使う白樺の枝の束「ヴィヒタ」を、倒れた白樺から手づくりして吊り下げている。近づくとさわやかな緑の香り

    「今年は何もかもが初めてなので、実験的にいろいろやりたいなと。ゆくゆくはここで採れたものをレストランで提供できたら!」

    緑輝くこの場所で、美しい写真を見て、美瑛町の食材を使ったお料理をいただきながら、くつろいで……。

    そんな夢のような場所を思い浮かべながら、そばでのびやかに成長する植物に急かされるようにして、今日もよしこさんの手は目まぐるしく動くのでした。

    画像: 「外で食べるのがおいしくて」。視界に入るのは緑だけという贅沢な庭で、ランチをとることも多くなった

    「外で食べるのがおいしくて」。視界に入るのは緑だけという贅沢な庭で、ランチをとることも多くなった



    〈撮影/前田 景 取材・文/遊馬里江〉

    たかはし・よしこ
    料理家。S/S/A/W主宰。かけるだけでおいしくなる「エジプト塩」はじめ、数々の調味料も考案。



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