（『天然生活』2021年12月号掲載）
好きなことを好きなようにして生きていきたい
自然豊かな八ヶ岳での田舎暮らしをユーチューブで発信するのが、染織家が本職のウリウリばあちゃんです。
ユーチューブデビューは3年前、63歳のときでした。それまでは八ヶ岳の体験教室で、染め物のインストラクターとして働いていましたが、外で働くと、どうしても時間の制約が生まれてしまいます。
八ヶ岳にある一軒家を自ら手入れしながら暮らす日々。日差しが差し込むテラスで、ハーブなどの草花の手入れをする時間は、至福のひと時
自分が好きな「家仕事」に手が回らない日々に、疑問を抱くようになったのが、ユーチューブを始めたきっかけでした。
織り物や染め物はたしかに好きでも、それ以外にやりたいことがたくさんある──。季節の食べ物を手づくりして、草花の手入れをすること。30年住む家も、もっと自分好みの空間に変えていきたい。
そんなふうに、好きなことを好きなようにする暮らしへの憧れが、どんどん強くなっていったといいます。
若いときは面倒だったことがいまは愉しくて仕方ない
ユーチューブで発信するのは、普段着のウリウリばあちゃんの日常そのもの。納豆や味噌、しょうゆ、麴やヨーグルトも手づくりで、もはや発酵食品づくりは特別なことではなく日常のルーティンです。
オンラインショップで自作の染め物を販売。自宅の一室を作業場に改装して、藍染めなど草木染を行う
お気に入りのかまどでごはんを炊く時間も、目の前に広がる自然豊かな庭で四季折々の草花の手入れをするのも、ひとつひとつが心躍るひと時です。
「20代、そして結婚して子どもを産んでからも、ずっと織り物や染め物に夢中で、料理をつくったり、植物の世話をするなんて、時間がもったいないと感じていました。でも、この歳になってみると、自分の食べる物を自分でつくったり、家に手を加えたり、草花の世話をしたりすることのすべての工程が、本当に心豊かな時間だと思えるようになりました」
染めた糸を糸巻きで巻いて、織り物に使用
蚤の市で手に入れたパッチワーク模様のブリキ缶の中には、色とりどりの糸が
最近のお気に入りは、草むしりの時間。無心で没頭していると、いつの間にか心もすっきりと。
「庭で草花に触れながら、『おはよう』と話しかけたりしています。そういう時間が、人生を豊かに彩ってくれている気がします」
季節を感じる旬の食材たち。実りの秋の訪れを教えてくれる
＜撮影／砂原 文 取材・文／工藤千秋＞
ウリウリばあちゃん
染織の仕事をしながら63歳でユーチューバーに。八ヶ岳での田舎暮らしを自分なりに愉しむ様子を精力的に発信中。https://www.youtube.com/c/yatsugatakestyle/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
＊ ＊ ＊
第1章 これからの「おいしい生活」のつくり方
料理家・大庭英子さんには、いまの自分にちょうどいい、レシピ6品と台所仕事の工夫を、スタイリストのchizuさんには、気負わず楽しむ、テーブルコーディネートのコツを教えていただきました。
第2章 おしゃれは心のビタミン！
中野翠さんのエッセイと、ぬ衣さん、山下りかさんの春夏秋冬のコーディネートを紹介します。
第3章 豊かな人生のための幸せの支度
山本ふみこさん、ユキ・パリスさん、中島デコさん、松場登美さん、横尾光子さん、坂井より子さんの暮らしの流儀を紹介します。
第４章 心身とお金を整えるために
家で簡単にできる体操や、節約のこと。
第5章 人生の豊かな「しまい方」
石黒智子さんがはじめた終活と、井上由季子さんが経験した家族の介護について、お話を伺いました。
