(『天然生活』2023年1月号掲載)
心地よく過ごせるように家族みんなで手分けして
島根・石見銀山に暮らし、5人の子どもを育てる、松場奈緒子さん。
洗濯だけでも大仕事。平日2、3回、体操着やシーツを洗う休日は4、5回します。
家事や仕事に追われるなか、松場さんの助けになってくれるのが子どもたち。
衣類の片づけ、夕食準備、お風呂掃除など、毎日ルーレットで役割分担を決めてお手伝いしています。
「私は器用ではないので、段取りは苦手。何もかもひとりで回すのは難しいから、夫や子どもの手を借りることになりますが、互いに協力し合うことで家族の絆が強まっているように感じます。お手伝いを通して、子どもたちに家のことが習慣づけばうれしいし、最近は自分から気づいて動いてくれるようにもなりました。いろんな役が回ってきて、男女偏りなく経験できるのもルーレットのいいところ」
乾燥機にかけた衣服はハンガーにかけてラックごとファミリークロークへ移動。これなら小さい子も楽しんでお手伝いできます。
小学6年生の長男はアイロンがけもできるようになりました。
「以前はたたんでいましたが、子どもが引き出しから出すときにぐちゃぐちゃにするのでやめたら片づけも着替えも楽になりました。この辺りは山間(やまあい)で洗濯物が乾きにくい。乾燥機を導入したことも大きかったですね。子どもの洗濯物はハンカチや靴下など小さいものが多いので、干す手間から解放されて時間ができました。テレビのオンオフやゲームの時間はアレクサで管理。夕食準備と子どもの時間管理が同時進行でできます」
できなくても大丈夫。大事なのは子どもとの時間
なんでも自分の手でやりたい。新米ママだったころはそう思っていたけれど、いまでは便利なツールも取り入れながら、効率よく。
そうして、一番大事な、子どもとの時間をつくっています。
「もし新米ママが悪戦苦闘していたら、“きっと大丈夫!”って声をかけたいですね。床が散らかったまま、また窓がふけなかった……とか、できなかったことにばかり目が向いてしまいがちだけど、大事なのは目の前にいる子ども。家事がうまくできなくても、笑顔で話せたとか、子守唄を歌えたとか、子どもと一緒に何かひとつ達成できればその日は大成功。幸せな気持ちで一日を終えてほしい」
松場さんは子育てしながら保育士の資格を取り、現在、学童保育を始めるべく活動中です。
「ここにも学童保育があれば、働くお父さん、お母さんも、もっと笑顔が増えるはず。仕事と家事の両立は大変。だから、エールを送りたいんです」
松場さんの以前までの段取り
● なんでも自分の手でやる
● 部屋ごとに照明をつけたり消したり
● 7人分の靴下をセット
松場さんの変化した段取り
● 乾燥機やアレクサを導入して効率よく
● 照明をセンサー式にして消し忘れ解消
● ひとり1色に統一して片づけやすく
〈撮影/渡邉英守 取材・文/宮下亜紀〉
松場奈緒子(まつば・なおこ)
結婚・出産を機に東京から島根・大森町にUターン。両親が創業した「石見銀山 群言堂」のスタッフを経て、放課後子ども教室の運営、保育園の理事も務め、地域の子育てをサポート。Eテレ「子育て まち育て 石見銀山物語」に家族で出演中。天然生活YouTubeチャンネル「松場さん家の手仕事つなぎ」公開中。
インスタグラム@naoko_matsuba
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです