(別冊 天然生活『心と体が若返る小さな習慣』より)
何かを始めるとき、自信をもてるまで待とうとしない
自信がある、自信がない。それも自分の判断にすぎません。これから向き合う出来事に成果が出せるかどうかは、やってみなければわからないこと。
これまでに成果が出せたからといって、状況が変われば次もそれが通用するとは限らないのです。
人が自信を欲しくなる理由は、「自分はできると思いたい」という慢心か、「不安を打ち消したい」ための妄想です。
そこに気を取られてしまうと、「自信がないからまだやめておこう」などと決断を先延ばしにして、人生を前に進められなくなってしまいます。
もしくは、「自信をつけるためにがんばろう」と、自分にムチを打ってしまう。たとえば、次々に資格を取るような「もっともっと」が生じていきます。
「自分はまだまだだ」と思っている人は多いと思いますが、そういったネガティブな思い込みは、なかなか手放すことができないもの。
実態のない自信を追い求めるより、「いまできることは何だろうか」と考えるほうが、はるかに合理的ではないでしょうか。
確かめようのない妄想は追いかけない
人からどう見られているかを気にすることは、人生の妨げになります。
「周囲から浮かないように」とか「できない人と思われないように」などと考えていると、ありのままに振る舞うことができないからです。
不合理な思いに振り回されてしまう背景にあるのは、承認欲求です。
承認欲求があること自体は当たり前なのですが、嫌われているかも、この場に歓迎されていないかも……という具合に妄想が膨らんでしまうのは、とてもつらい心の状態だといえましょう。
自分の承認欲求が妄想を生み出していることを、まずは自覚してください。
妄想は、追いかけても追いかけても、確かめようがありません。それをどこまで追いかけるかは、自分次第です。
「とりあえず、やってみる」が人生を楽にする
何かを始めるときに役立つことがあるとすれば、「見通しが立てられる」ことかもしれません。
それは、行動、体験を積み重ねてこそ、わかるようになること。新しい物事への向き合いは、「とりあえず、やってみる」しかないのです。
もし、自分のなかで「失敗するかも」「周りに迷惑をかけそうだから」などのブレーキがかかるとしたら、それも妄想です。
できる、できないの「結果」に執着するのはやめて、行動に切り替えましょう。わからないことは、調べる、聞く。
教えてもらったら、お礼を言う。迷惑をかけたら、謝る。
それを続けるうちに体験を積むことができたなら、成果が出せるようになり、見通しも立てられるようになります。
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<監修/草薙龍瞬 構成・文/石川理恵 イラスト/しまむらひかり>
草薙龍瞬(くさなぎ・りゅうしゅん)
宗派に属さず、仏教の本質を伝えている僧侶。興道の里で仏教講座を開催。『反応しない練習』(KADOKAWA)、『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』(筑摩書房)、『消えない悩みのお片づけ』(ポプラ社)など累計著書が30万部を超える。日々に役立つ仏教についてブログでも発信。https://genuinedhammaintl.blogspot.com/
※記事中の情報は、別冊 天然生活『心と体が若返る小さな習慣』掲載時のものです